2018年5月25日外注費が給与とみなされると、こんなに多くの痛手が…
「給与になると、ダメージが大きいですね…」
前回の続きの話。
指揮監督命令を受けていると外注としての業務が認められず、
給与として税務上考えられてしまう
ということはわかっていただけたかと思います。
こんばんは。
福岡市中央区天神の【あなたの財布の見張り役】、
税理士の村田佑樹です。
今日は、そのことを受けて実際に給与として課税されると事業主側でどのような負担が発生してくるのか、ということを見ていくことにします。
1.源泉所得税の徴収漏れを指摘される
給与である、という前提になるため、給与からの源泉徴収が必須となってきます。
法人である以上は、源泉徴収義務者。
つまり、例外なく源泉徴収をしないといけないわけです。
ただ、個人事業主であっても従業員に給料払うという以上は、源泉徴収義務者となります。
これが外注費でなく給与として認定されてしまうと、必須であるはずの源泉徴収をしていなかったということになり、
源泉所得税に対する不納付加算税と納期限までに納付しなかったことによる延滞税などが、本税とは別にかかってきてしまうことに。
金額により、また遡られた期間により、ダメージの大きさは異なりますが、
いずれにせよ源泉所得税の不納付は、かなりのダメージを受けてしまいます。
2.社会保険の加入漏れ
法人である以上、従業員は社会保険に入らないといけません。
給与として認定されたということであれば、当然従業員とみなされるため、社会保険への加入義務もついてきてしまいます。
社会保険は、給与総額に対し大体15%程度の負担。
さらに、期間が遡られてしまうと会社としては大きなダメージに。
さらにさらに、給与として認定された相手に対し、本来相手が負担すべき部分の約15%の負担を強いることはなかなか難しいもの。
そうなると、法人において30%を負担しないといけなくなります。
社会保険料もなかなかの痛手ですね…
3.消費税の仕入税額控除も認められない
もう一つ大きいのが消費税の問題。
外注費であれば、支払い額に消費税が考慮されるため、
例えば108万円の支払いであれば、8万円の消費税を払ったということになり、その事業者が払う消費税からこの8万円を差し引いて申告・納付することができるわけです。
しかしながら、これを給与として捉えられたとしたら、外注費ではないため、この消費税の支払い(控除)が認められないわけです。
108万円支払ったとすれば、それはあくまで108万円の給料払ったということに過ぎない。
ここに消費税は無関係ですよね。
このように、消費税の面でも外注費が給与として認定されると消費税の修正申告が必要となってしまいます。
いかがでしたでしょうか。
外注費が給与とみなされてしまうと、いろいろなところで金銭面のダメージが多くのしかかってまいります。
このようなことから考えても、外注費か給与かという判断は、くれぐれも慎重にしていきたいものですね。
最近我が家では、毛糸でボンボン作りをすることがブームとなっています。
細い毛糸になればなるほど、これが毛虫のように見えてしまい、かなりリアルな恐怖感に襲われてしまいがちです。
外注かどうかの判定もすごく重要なわけですが、
我が家においては、「これ、害虫!?」という戦々恐々とした判断が日々繰り返されているわけです(滝汗)