2025年5月28日【役員賞与の支給】はくれぐれも慎重に!
今日は東京出張で、 東京のお客様とのご面談。 いつもはZoomなのですが、 定期的にリアルでお会いすることで、 直接の温度感をお互い感じることが できるもので、 こういった機会はすごく貴重に感じますね。 また、東京のスタッフとも久しぶりに 会うことができますので、 これもまたすごく嬉しい時間です。 今日は東京からの配信です。 (なんとなく優雅な気分笑) さて、本日の本題です。 ================== ■法人の決算にあたっては、 数ヶ月前に利益の着地を予想して、 場合によっては節税対策をすることに なります。 その際に、弊所においては少なからず、 事前確定届出給与(役員賞与)届出書の 提出をしており、 これに基づいて、 最終的に役員賞与を支給するかどうか を決めていくところ。 ■利益が上がっていれば、 役員賞与を支給して、法人の利益を圧縮し、 法人税等の負担を下げたいところ ではあるのですが、 話はそう単純でない、 というのか今日の内容。 ■上述した「事前確定届出給与」の届出 については、読んで字の如く、 「事前に、いつ・いくらの賞与を 支払うのか」ということを届出書を 通じて「確定させて」、 その通りに支給していくというものです。 この 「事前に確定させておかなければならない」 ということがネックで、 必ず届出書の通りにその役員賞与を 支給しなければならないわけですね。
■「いつ・いくら」ということを 事前に決めているわけで、 この「いつ」の日が1日ズレても、 「いくら」の額が1円ズレてもいけない ということ。 これが、事前確定届出給与の厳しさ なんです。 ■ただし、当期の利益の状況をみて、 この事前に届け出た役員賞与の支給が 難しいようであれば、 株主総会でその支給が難しい旨の 決議をして、支給自体をしない (支給をゼロにする)という決定を することも可能です。 たとえばですが、 300万の賞与の申請をしていて、 少し想定より利益が少なかったから、 ということで、 これを200万の賞与にするのは NGということ。 ■もし、このように300万の届出に対して 200万の賞与を支払ったとすると、 この200万については、 会計上の損益計算書には経費(役員賞与) として表示はされるものの、 法人税の申告書上では、 この200万を「損金不算入」として、 処理をすることに。 この「損金」というのは、 会計上の「経費」に当たるもので、 法人税を計算する上での概念になります。 この損金に「算入しない」ということ ですので、 法人税を計算する上での経費にならない ということになるわけです。 ■さらには、この200万については、 個人の所得としてもカウントされることに。 個人の所得と捉えられると、 この200万が給与所得になり、 ここに所得税と住民税がかかってきます。 したがって、この役員賞与を届け出た額 とは異なる額で中途半端に 支払ってしまうと、 その中途半端に支払った額が、 ・法人の経費にならず、 ・個人の所得になり税負担が出る という、いわば「ダブルパンチ」で 法人にも個人にも負担が出てしまう ことになるわけです。 ■また、この役員賞与については、 通常の役員報酬と同じく「社会保険料」も かかってくることに。 この社会保険料が、ざっくり個人と法人 トータルで30%かかってきますので、 法人の税と社会保険料の負担、 そして、個人の税と社会保険料の負担を 総合的に見たところで、 トータルでの手残りを考える必要が あるわけで、このような視点から、 本当に役員賞与を支給すべきか どうかを検討すべきであるといえます。 ■とはいえ、役員賞与を取ることで、 この法人個人トータルで見たところでの 手取り額が減ったとしても、 役員賞与は法人から個人へお金を移す 手段でもありますので、 そのことも総合的に勘案して、 役員賞与を支給するか否かを 慎重に決定したいところです。 ================== 《本日の微粒子企業の心構え》 ・事前確定届出給与の届出をしている場合、 その届出通りに役員賞与を支給 することにより、 法人の経費(損金)として 処理することができる。 ・ただし、役員賞与には社会保険料や 税金がかかるため、 法人と個人トータルでの 手残りを考えるべし。 ・役員賞与は、法人から個人へお金を移す ことができる手段にもなり得るため、 そのこともトータルで見たところで、 役員賞与の支給をすべきかどうかを 検討したいものである。 --------------- 今日も最後までお読みいただき、 ありがとうございました。