-------------------------------------- ★起業準備中から起業5年目までの経営ドクター★ 税理士 村田 佑樹 --------------------------------------- 2022年9月9日  微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス【1132号】 こんばんは。 【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】 税理士の村田佑樹です。 ================== ■円安がまた一段と進んでいますね。    そんな中、  生活費や事業用のお金が必要  などの理由で  【持っている不動産を売却する】  ということも考えることが  あろうかと思います。  そこで今日は、  【不動産の売却に伴う消費税のこと】  についてお話をしていきたいと思います。 ■消費税の考え方として、  基本的に、モノを売った場合には  『消費税』がかかります。  しかしながら  【消費税がかかるケース】と    【かからないケース】  があるので、まずそのことを  知っておきたいものです。 ■『不動産』については、  基本的に  【土地】と【建物】  に分かれることになります。  それ以前に消費税の世界では、    【その不動産を売却する人が  事業者かどうか】  により変わってくるんですね。  というのも、消費税については  【国内で事業者が事業として  対価を得て行う資産の譲渡等に対しては  消費税を課する】  ということになっています。  ややこしいですよね…  これを分解して今一度見ると、  ・国内取引であること    ・事業者が事業として  行っているものであること  ・対価を得て行っていること  ・資産の譲渡等であること  この4つの要件が成立して初めて  消費税の対象になる  というわけなんですね。 ■ここで、  用語について説明をしておきたい  と思います。  まず『事業者』とは  【個人事業主と法人】  を言います。  そして『資産の譲渡等』とは  【モノを売ったり、貸付をしたり、  サービスの提供すること】  を言うわけです。   ■そこで、  『個人が不動産を売却する場合』  を考えてみましょう。  上述した4つの要件のうち、  その個人が  【個人事業主であるのか】  それとも  【個人事業主ではない  普通の個人であるのか】  によりその取り扱いが違うこと  が分かるかと思います。  まず、マンションの売却について、  持ち家を売ったとしましょう。  そしてこの持ち家については  特に事業としては使っていませんので、  【個人としての持ち物】  ということになり、  上述した事業主の定義から  外れることになるわけですね。  そのような状況下においては、    【たとえマンションを売ったとしても、  消費税は課税されない】  ということになります。   ■一方、  個人事業主が『不動産所得』として  賃貸していた不動産を売却した場合  に関しては、  上記の『事業者』に該当するため、    また国内において『対価』を得て行い、  なおかつ『資産の譲渡』  (マンションの売却)    に該当することになり、  4つの要件すべてに当てはまりますので、  【この場合は消費税の対象となる】  というわけですね。 ■消費税の課税対象となれば、  税務署に消費税を納付する  必要が出てきます。  しかしながら大前提として、  消費税を納付するのは原則として    【前々年の課税売上高が  1千万円を超える事業者である場合】  に限定されますので、  このマンション売却時点で考えるべきは  【前々年の課税売上高が  1千万円を超えているかどうか】  なんですね。  逆に、このマンションの売却による  課税売上高が1千万円を超えること  になると、  【翌々年については  消費税の課税事業者】  となるので注意が必要です。 ■上述してきたように、  不動産の売却については、  【個人事業主か、  個人事業主以外の個人であるか】  により、消費税の取り扱いが  異なることになります。   ■そしてもう一つ注意が必要なのが、  【消費税の課税がされるのは、  『建物』だけ】  なんですね。  不動産を売却する際は  『建物』と『土地』  とに分けて売却するのですが、  【消費税が課税されるのは  『建物』だけ】  になります。  逆に言えば  【『土地』については  消費税の非課税】  になるんですね。  特に『不動産』など  高価なものを売った場合に  税務署に納付する消費税を  心配するものなのですが、  【一般の個人の方については、  通常消費税を気にする必要はない】  と言えます。  特に上述した消費税の課税対象となる  要件については、  まず  【消費税がかかるかどうか】  を考える上での大前提になりますので、  しっかりと把握しておきたいものです。 ------------------ 《本日の微粒子企業の心構え》 ・消費税がかかってくるかどうかは、  【事業主かどうか】  によってその取り扱いが  大きく変わってくるものである  ということを心得ておくべし。 ・『事業者』とは  【個人事業者と法人】  である。  逆に、個人事業者に該当しない  『一般の個人』については、    【消費税を気にする必要はない】  と言える。 ・どうしても消費税はその前提の知識を  持ち合わせていないため  誤った解釈をしがちなものであるが、  上述した  【消費税のベースとなる知識】  を携え、適切にその消費税の課税の  取り扱いを把握したいものである。 今日も最後までお読みいただきまして、 ありがとうございました。