2022年4月8日副業における【事業所得】での申告を再考する
■以前も何度か述べさせて
いただいていることですが、
【このコロナ禍により、
サラリーマンとしての
本業の仕事が少なくなってきている】
という傾向から、
『副業』をされている方も
割と増えてきたような感覚です。
そんな中、『副業』については、
【年間20万円を超える所得であれば
確定申告が必要】
となるのですが、今日はその
『副業の確定申告』について
見ていくことにいたします。
<2022.1.16【20万円以下は確定申告不要】
の盲点>
https://muratax.com/2022/01/16/4815/
■副業の確定申告については、
大きく分けて『ニ通りの方法』
があるということになります。
まず一つは
【事業所得として申告をすること】、
そしてもう一つは
【雑所得として申告をすること】
です。
『事業所得』とは
読んで字の如くなのですが、
【事業として行っているもの
に対する所得】
ということ。
逆に『雑所得』というのは
【事業ほどの規模はないが、
副業としての収入である】
という状況なんですね。
そもそも、副業においても
『事業的規模』ということ自体が、
税務上明確に規定されているものではなく、
なかなか判断が難しい…
というところ。
とは言え、その判断材料として、
【本当に儲かっているのかどうか】
ということは重視する項目の一つである
と言えるでしょう。
■では、
『事業所得』と『雑所得」においては
どのような点が異なるのでしょうか。
結論から言えば、
【事業所得の方がメリットが大きい】
ということなんですね。
メリットとして挙げられるのが、
まず
【青色申告特別控除が使える】
ということ。
<国税庁HP-青色申告特別控除>
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
事業所得で青色申告の申請をした事業者は、
【最大65万円の控除】
を受けることができます。
『控除』とは、
【事業所得の経費】
ということです。
これは相当大きいですよね。
■そしてもう一つ大きいのが、
【事業所得については、
給与所得との相殺ができる】
ということ。
つまり、事業所得において
『赤字』であったとしたら、
【その赤字と給与所得の黒字を相殺して、
給与所得を少なくできる】
ということなんですね。
給与所得については年末調整で
基本的に完了していますので、
その事業所得の赤字を
確定申告で申告することにより、
【その給与所得が少なくなった分
所得税の還付を受けることができ、
また住民税も少なくすることができる】
というもの。
■一方、
『雑所得』はと言えば、
【雑所得で赤字になったとしても、
その所得は0円】
として考えることになります。
したがって、
【もし雑所得の赤字が出たとしても、
給与所得には何ら関係しない】
ということなんですね。
そのような状況から考えると、
『基本的に売上が少なく
利益も上がっていないような状況』
の事業であれば、
【雑所得として申告するのが適切である】
ということは
見当が付くのではないでしょうか。
■しかしながら、
【あえて副業における所得を
『事業所得』として申告し、
わざとその事業所得で赤字を作り、
給与所得と相殺して還付を受ける】
という手法が横行している
という現実が…
道理として考えた際、
これはどう考えてもおかしな話
ではないでしょうか。
当然、
【副業を開始した初年度に経費を多く要し、
その結果、副業の所得がマイナスになる】
ということは考えられるでしょうが、
その後複数年にわたり
その所得が『マイナス』
となっている状況は、つまり、
【副業をして損をしている】
ということになりますので、
通常ありえない
というもの。
■しかしながら、
税務上の税金計算の仕組みとして
このようなことになっていますので、
【これを利用して
副業して還付を受けさせる
という業者が跋扈している】
という現状も見受けられます。
税務署がそのような点に
目を光らせていないはずはなく、
次第に、こういった『副業』が
多くなっている状況下においては、
【上述した手法により
還付を受けている個人事業主については、
その調査のメスが入る】
ということもあるでしょう。
■何度も申し上げますが、
道理としておかしいものは、
やはり税務署も目を光らせており、
【そんなにうまい話はない】
ということは念頭においておいた方が
良いでしょう。
私自身も、もう数年前のお話なのですが、
いわゆる『異業種交流会』において
名刺交換をした際に、
【そういった強引な副業をさせ
還付を受けさせて、その手数料を得る】
という業者の方に遭遇しました。
その方は、私の税理士の名刺を見て、
ギョッとした感じでしたが…
■副業においては、
こういった
【税務上の誤った解釈】
が横行している事実もありますので、
その申告の際は十分注意して
適切な申告をするようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・副業の確定申告の方法として、
【事業所得により申告する方法】と、
【雑所得により申告する方法】
が考えられる。
・『事業所得』については、
【最大65万円の青色申告特別控除】
が認められていること、そして、
【赤字の場合は
給与所得と相殺ができること】
がメリットとして挙げられる。
・しかしながら、実質的に副業が
副業としての体を成していない
にもかかわらず、
【あえて赤字の申告をし、還付を受ける】
という手法が横行している現状が。
・そのような状況に
税務署がメスを入れないはずはなく、
【そういった手法は次第に
淘汰されてくるのではないか】
と予想される。
・『副業における確定申告』については、
【まずそれが本当に事業所得と言えるほどの
売上と利益が上がっているのか】
ということを念頭におきつつ、
その適正な申告を心がけたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。