2024年6月19日【インボイスの登録をするかどうかの判断】について
昨日今日と、県外からお見えになった同士と
食事を多く共にしていました。
もつ鍋、鳥皮、ラーメン・・胃もたれ気味では
ありますが、いろいろと有益な時間でした。
リモートで話すことは多いのですが、
リアルで会って話すと、その場のエネルギーも
大きくなり、すごく良い場となりますね。
さて、本題です。
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■インボイスが開始してもうすぐ
9ヶ月ほどになろうかと思います。
インボイスの開始前やその最中においても、
様々な経営者の方の相談に乗らせていただいて
いました。
その中で、初めての税務相談という
ケースもあるのですが、
「インボイスについて
案外理解されていないな…」
ということが少なからずある状況です。
その中で注意すべきなのが、
【本来的にはインボイスに登録する
必要がないのに、知らず知らずに
登録してしまっている】
という状態なんですね。
今日はそのことについてお話を
していきたいと思います。
■インボイス制度については、
基本的に自社に対して何かしらの対価
を支払っていただくお相手の方が消費税の
課税事業者であれば、
場合によっては、自社がインボイスの
登録をしていないと、お相手の事業者の方が
消費税の納付の際に損をしてしまう
というものなんですね。
したがってそもそも、お相手の方が
課税事業者でない方ばかりであれば、
インボイスの登録をする必要がない
ということが言えます。
■もし、お相手の方が消費税の課税事業者で、
インボイスの登録の要請があれば、
こちらがインボイスの登録をすることにより、
消費税分も堂々と請求することができ、
相手の方も損をすることがないという状況。
そしてそれとともに、自社にとっては
納税義務が出るということになり、
多少なりとも消費税の負担をしなければ
ならないということが通常です。
■ただその一方で、
相手側がインボイス登録の要請に
応じなかった場合はどうなるでしょう。
インボイス開始から向こう3年間は特例的に、
インボイスの登録をしていない方への支払い
であっても、
【本来差し引くことのできる消費税の80%は
特例的に差し引いてもらえる】
ということになっているんですね。
つまり、100%と80%の差額である20%分のみ
その方が負担しなければならないという
ことで、
消費税の税率10%対する20%ということで、
『売上の2%分』を、支払った相手方が
負担することになるわけですね。
■これをどう捉えるかなのですが、
場合によってはその方の負担を避けるため、
2%からそれ以上の消費税分の減額をすれば、
自社がインボイスの登録をしなくても、
相手に損させることがないということ
になるでしょう。
この点について考えたいのが、
インボイスの登録を要請してきている
相手方については、多数なのか、それとも
少数なのかということ、
そして、その登録によるダメージが
値引きにより対応できるのか、
それともインボイスの登録をせずに
値引きをした方がこちらの方の
損になってしまうのか…
また、インボイスの登録をしないことにより、
相手先から取引を打ち切られることは
ないだろうかなどということを
総合的に判断する必要がある
というものなんですね。
■そのような事情ですので、
ただ単に相手方からインボイスの登録を
要請されたという理由のみで
インボイスの登録をしてしまうのは
早計であるように思う次第。
適切に上述したようないろいろな
ケーススタディーを想定して、
自社にとって最も手元により多くのお金が残る
ためにはどのような選択をすれば良いか
ということを考えるべきでしょう。
■インボイスについては、
制度自体が複雑であること、
そしてその登録をするかどうか
ということも、上述したような
いろいろな考えがありますので、
自社の置かれた状況を的確に判断して、
その真の打つべき一手を考え、
『手元により多くのお金が残るためには
どうすれば良いか』と思索して、
最善の一手を考えたいものですね。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・インボイスについては、
たとえ取引先から要請があったとしても、
その1社のために登録をすべきなのか、
それとも売上の値引きをして
対応すべきなのかということを
十分に検討して、
最善の一手を選択したいものである。
・どうしてもインボイス制度が
一人歩きしていて、
必ず登録しなければならないと思って
しまいがちなものであるが、
実際の自社の状況を総合勘案して、
登録するかどうかを検討したいものである。
・インボイスの登録をすれば、
消費税の負担を強いられることになるのが
通常であるため、十分な材料を元に
トータルで検討して、
自社にとって最適な『手元により多くのお金を
残すための一手』を模索したいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。