2024年9月27日【サービス提供の売上計上時期】について
9月は怒涛の7月決算法人の申告でしたが、
無事に全ての申告を終えることができました。
今日も面談がかなり入っていますが、
楽しく取り組んでいきたいと思います。
さて、本題です。
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■弊所のお客様の中で、ここ最近になって、
オンラインでの売上が主流になっている
ということが少なからずあります。
コンサルティングによる事業であったり、
スクール事業であったり、
SNSを通じた何かしらのサービス提供
であったり…
事業の態様はいろいろと変化しているように
見受けられるというところですね。
■そんな中、
税理士として考えさせられるのが、
『売上の計上時期』についてのことです。
基本的に売上を認識するタイミングとしては、
商品については納品の日、
サービスの提供については、そのサービスの
提供が完了した日をもって売上高に計上
することが通常なのですが、
上述したような、スクール事業という
サービス提供だとか、
コンサルティングの提供に関しては、
前払いでその代価を頂戴するということが
少なからずある状況です。
■例えば3月決算の会社で、
3月に向こう一年分の受講料を売上として
いただいたものの、
その実際のサービス提供は翌期4月以降
であるということも少なくないでしょう。
そのような際に、上述したような原則に
照らし合わせて考えると、
サービスの提供が完了したタイミングで
売上を計上するわけですので、
3月に翌期4月分からのサービス提供に
かかる対価を受領したとしても、
それは、当期の売上となるわけではなく、
前受金として処理をすることにより、
売上からは除外するという考えを
取るわけですね。
■逆に、その前受金とした金額については、
そのサービス提供が完了した都度売上高に
振り替えていくというのが通常の流れ
ということになります。
■こういったことが原則ではあるのですが、
これが数多くの案件があり、
受講生単位での把握が相当大変であったら
どうでしょう。
その受講生一人ひとりの状況を考え、
前受金にするべき金額、
そして売上高として計上する金額を
その都度区分けする必要があるというもので、
現実的に考えると、相当事務手続きが
煩雑になることが想定されます。
そういった際に関しては、税務のルール
とは外れてしまうのですが、
入金があったタイミングで売上高に
計上してしまうことも、一つの方法として
覚えておくと良いでしょう。
■当然、税務のルールとしては
サービス提供が終わったタイミングで
売上高の計上をすべきではあるのですが、
実際のところ、入金があっているのは
その期であるわけで、
これを前受金として処理して、
翌期にこの前受金の消化をし、
そのまた翌期の決算で前受金を計上する
というような処理をしていては、
実際の現金の収支と損益にかなり多く
合わない部分が出てくることとなり、
結果として、納税の状況が見えにくくなる
ということも考えられます。
■そのようなことから考えると、
極力現金収入のタイミングで売上高を
計上することにより、
現金の増減と利益の増減の差が少なくなる
ということになるわけですね。
上述したように、税務のルールからは
外れてしまうのですが、
税務署としては、売上高が前倒しで増えて、
その分の利益が上がり、
納税が増えるわけですので、そこまで
突っ込まれる要素はないのかなというのが
正直なところです。
■こういった点においては、
利益調整をしているのではなく、
毎期同じような処理をすることにより、
その処理の継続性が担保され、結果として、
納税を前倒しでしているわけですので、
税務調査上は問題ないかな
という感覚なんですね。
それよりも、現金の収支と利益を極力
同じような状態に近づけて、
実際に納税をしていく方が、経営にとっても
かえって効率の良いことではないか
と考える次第です。
■どうしても原理原則通りに、
税務に関しての処理を進めてしまう
ところではあるのですが、
こういった点を総合勘案して、自社にとって
最も良い経理処理や税務処理の選択を心掛け、
経営にとって有用な判断をその都度して
いきたいものですね。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・売上については、商品については納品の日、
サービスの提供については、そのサービスの
提供が完了した日をもって
売上高として計上するのが原則である。
・しかしながら、対税務署においては、
売上高を前倒しで計上することは
実際のところ大目に見てもらえるものであり、
そのようなことから考えると、
あえて入金ベースで売上高を計上することは、
コンサルティングやその他のサービス提供
という事業において、
検討しても良いかもしれない。
・大切なのは、
経営においての経営成績と資金繰りを
極力合わせていくことであるようにも
考えられるため、
上述したようなことを総合勘案し、
自社にとって最も有益な税務と
会計の処理を検討したいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。