2025年7月5日【経費の立替】で損をしない経理を考える
今日は土曜日ですね。 今日は主催している土曜日のウォーキング の会から、気持ちよい朝のスタートを 切りました。 朝7時開始ですが、 既にもう暑すぎますね… さて、本日の本題です。 ================== ■インボイス制度の影響により、 多くの事業者の方が消費税の課税事業者 となっていることと思います。 そのような中で注意すべき、 「消費税を意識した取引」について、 今日は見ていきたいと思います。 ■今回取り上げるのは、 「自分が負担しているものではない けれど、処理の仕方によって 税金の結果が変わる」 というお話です。 たとえば、33,000円の飲食代を 立替えて支払ったとしましょう。 これは、自分自身が主催している 懇親会などでよくあるパターンでは ないかと思います。 ■まず参加者から事前に会費として 33,000円を徴収します。 その後、その33,000円の飲食代を 飲食店に支払う、という流れですね。 このような際、どのように処理を するべきか、 というのが本日の本題です。 なお、この立替処理については、 インボイス制度の特殊な取扱い もありますが、 本日はシンプルな代表例をもとに 解説してまいります。 ■まず、ひとつ目の方法として、 飲食代をもらった際に、 借方:現金 33,000円 貸方:雑収入 33,000円 そして飲食代を支払った際には、 借方:接待交際費 33,000円 貸方:現金 33,000円 として仕訳を切ることを考えます。 なお、接待交際費については、 これに限定するわけではなく、 その他の経費の勘定科目でも 構いません。 ■次にもう一つの仕訳方法です。 借方:現金 33,000円 貸方:仮受金 33,000円 そして飲食代の支払い時には、 借方:仮受金 33,000円 貸方:現金 33,000円 として仕訳を切ります。 ■さて、これら2つの会計処理において、 法人税・消費税にどのような違いが 出てくるのでしょうか。 ---ぜひ考えてみてください。 ■まず法人税についてです。 まず前者の例で考えると、 雑収入33,000円を計上し、 接待交際費として33,000円を計上する。 そうなると、結果として、 損益は相殺されて利益ゼロです。 仮受金処理の場合、収入も支出も 計上されないため、 こちらも利益ゼロですね。 つまり法人税の観点では、 どちらの処理を選んでも、 結果は同じになるわけです。 ■次に消費税について 考えてみましょう。 前提として、飲食店がインボイス 登録事業者であるものとします。 ■まず、原則課税により消費税を 計算している場合を考えます。 前者の雑収入・交際費処理の場合、 収入33,000円に対して消費税3,000円、 支出33,000円に対して消費税3,000円 がそれぞれ計上されるため、 相殺されて納税額はゼロです。 一方、後者の仮受金処理では、 課税売上も課税仕入も計上されないため、 同じく納税額はゼロ。 したがって、原則課税においては、 どちらの処理を選んでも結果的に 消費税の納税額は変わらない ということに。 ■続いて、簡易課税の場合を 見ていきましょう。 今回は、この会費受取をサービス提供 とみなすことにします。 ■前者の処理では33,000円の 収入に対し、3,000円の消費税がかかる ことに。 サービス業の簡易課税における みなし仕入率は50%ですので、 支払ったとみなす消費税は 1,500円です。 ■つまり、預かった消費税3,000円から みなし仕入消費税1,500円を控除し、 【1,500円を納税する】 必要があります。 なお、簡易課税制度では、 支払った実際の消費税 (今回の飲食代に含まれる消費税) は考慮されません。 ■一方で、仮受金で処理している場合は、 課税売上を計上しないため、 簡易課税でも消費税の負担は ゼロになります。 ■このように、簡易課税制度を選択 している場合においては、 雑収入&経費処理をする経理を してしまうと、 消費税の負担が出てくる結果 となるわけです。(↓参考記事↓) <2021年4月10日消費税の計算方法の 決定は、くれぐれも慎重に!> https://note.com/muratax/n/ne52f446efcfc <2023年12月2日【原則・簡易・2割特例】 インボイスによる消費税計算の怪奇さ> https://muratax.com/2023/12/02/7192/ ■なお、2割特例では令和8年度までは 簡易課税でいうところの みなし仕入率80%(小売業と同じ)を 適用しますので、 やはり2割特例でも、結果的に 納税額が増えることになります。 ■このように、消費税については、 原則課税か簡易課税(2割特例を含む) かによって、税額が変わること、 そして、立替経理(仮受金として経理)は 経理の煩雑さが出てくることもあるため、 そのような経理の負担と税負担の影響の 両方を総合的に判断し、 自社にとって最も有利な処理方法を 選択したいものですね。 ================== 《本日の微粒子企業の心構え》 ・経費の立替があった際、法人税は 変わらないが、消費税は処理方法に よって結果が変わる。 ・原則課税では基本的に影響はないが、 簡易課税や2割特例では 収益&経費処理だと損をするため、 要注意である。 ・処理が煩雑になりがちな立替経費は、 経理効率と税務上の影響を総合的に勘案し、 経営全体で見たところでの、 自社にとっての最適な方法を 選択したいものである。 --------------- 今日も最後までお読みいただき、 ありがとうございました。