2025年7月31日「税務署に通った!」は、ただ答案を提出しただけ
あっという間に、今日で7月も終わりですね。 月末になると、私たち税理士の仕事としては、 決算申告が無事完了しているかどうか、 そして申請書関係が期限までにきちんと提出されているか、 という点の最終確認が欠かせません。 この月末の最終確認はどの業界においてもかなり重要なのではないでしょうか。 通常業務と並行しながら、抜かりなく取り組んでいきましょう。 (物販の方は在庫のカウントもお忘れなく!) さて、本日の本題です。 「通った」=「大丈夫」ではない?申告後の誤解 私が多くの経営者の方とお話しする中で、 「税務署に通ったことがある」といった話を耳にすることがあります。 この「通った」というのは、 だいたいの場合「確定申告書を税務署に提出して、その後特に何の連絡もなかった」 という意味合いで使われていることが多い印象です。 ただ、ここにはちょっとした誤解が含まれているかもしれません。 --------------- 学校で言えば、試験の答案を提出しただけの段階で、 「合格した」と言っているようなものかなというところ。 提出はしたけれど、まだ採点(=チェック)されていない、 という状態とも言えるわけです。 税務署に申告書を提出したとしても、 後日その申告内容に基づいて税務調査が入ることがあります。 言い方は悪いかもしれませんが、 その税務調査は、提出した答案が「赤点」で返ってくるようなものです。 もちろん実際には、調査=赤点というわけではありませんが、 少なくとも「何も言われなかった=完璧だった」とは限らないということです。 書類を提出して2年後に税務調査が入る、なんてことも現実的にあります。 したがって、「通った」という言葉で、「調査を受けて問題なかった」と思い込むのは、 少し危ういと言えるでしょう。 よく「適当な申告でも問題なかった」といった話が出回ることがありますが、 これは根拠のない情報であることがほとんどです。 --------------- また、税務署に事前相談をしたうえで申告書を作成し、 「OKをもらった」という感覚になってしまうケースもあります。 ですが、これもあくまで「申告書を提出しただけ」であって、 その後に調査が入らない保証はどこにもありません。 実際、相談して作成した申告書に対して税務調査が行われることも珍しくなく、 「税務署に相談して作ったから安心」というのは、実は全くの別問題ということなんですね。 しかも、その時はその内容で大丈夫、と言われていたものの、 いざ調査に入られるとそのことを指摘されるということもかなりある状況。筋の通らない話ですが、こういった事実もあり、 ここは意外と見落とされがちなので、ぜひ注意しておきたいポイントです。 --------------- 大切なのは、法律の条文や判例、通達などをしっかり読み込み、 自ら理論的な解釈をした上で申告を行うことです。 「税務調査なんて、ほとんど来ないでしょ」と油断していると、 あとで思わぬ痛手を負うかもしれません。 特にネットなどで見かける「税務調査に関する情報」には、 誤解や不正確なものが少なくありません。 だからこそ、表面的な情報に流されず、自分の頭で根拠を持って判断し、 申告書の提出にあたっては慎重に取り組んでいくようにしましょう。 ================== 《本日の微粒子企業の心構え》 ・「税務署に通った」の意味するところは、 単に申告書を提出しただけということがほとんどである。 ・提出後に税務調査が入る可能性は常にあることを心得ておくべし。 ・一般的に流布している情報は往々にして誤っているため、決して鵜呑みにせず、 法的根拠に基づいて自ら判断する姿勢を大切にしたいものである。 --------------- 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。