2025年9月9日法人から個人への【お金の移し方】を考える
今日はほぼ終日、所内の滞留業務をさばいていく予定です。
こういった日は定期的に設けることが必要で、意図的に何も予定を入れないことで高い集中力を発揮して仕事が進むもの。
今日はそんな前向きな心持ちで、業務に取り組んでいきたいと思います!(ハッ!)
さて、気合いを入れたところで、本日の本題です。
基本は役員報酬・役員賞与
法人から個人へお金を移す手段としては、基本的に役員報酬しかないということは、以前の記事でもたびたび書かせていただいているところです。
その他にも、法人から個人にお金を移す方法として、まず検討すべきなのが出張旅費や役員社宅でした。
<2024年9月19日お金を残すための【真の節税】について>
https://muratax.com/2024/09/19/8154/
それでもなお、役員報酬以外で法人から個人にお金を移す方法として、事前確定届出給与を利用することにより、社会保険料の負担を少なくしながらお金を移すことも可能であるということもお話ししてきました。
<2020年9月23日役員賞与の上手な使い方>
https://note.com/muratax/n/ne4c57998b641
本日は、その他の方法についても見ていきたいと思います。
配当金での移転はむしろ損になることが
これは実際の税務相談でもよくお問い合わせをいただくのですが、法人からの配当金として、株主である代表者個人にお金を移す方法も考えられます。
しかしながら、これについては配当金は税引き後の分配であり、法人税の経費(損金)には算入されないため、法人税の負担は変わりません。
その一方で、配当金は総合課税により、通常の役員報酬など給与所得に上乗せされる形で課税されます。
そのため、法人と個人をトータルで見た税負担や社会保険料を考えると、配当金をもらうことは逆に損になってしまうことが多いかなという印象です。
結論として、配当金をもらうくらいなら役員報酬として受け取った方が良いといえるでしょう。
賃借料を活用する方法
そしてもう一点検討したいのが、もし社長個人の持ち物を法人が業務に使用している場合、そこに対して賃借料として法人が個人へ支払うという方法。
具体的には、自宅を個人が所有しているケースで、法人がその一部を事務所として使用している場合に、法人から役員個人にその使用分を家賃として支払うことが可能です。
当然、個人としては家賃収入となるため、不動産所得として申告の対象になります。
この不動産所得も総合課税の対象となり、役員報酬などの給与所得に上乗せされる点では配当金と同じです。
ただし配当金と異なるのは、【家賃の支払いは法人の経費(損金)に算入できる】という点です。
このため法人税の負担を下げつつ、個人では所得税や住民税の負担は生じるものの、結果として法人から個人へ上手にお金を移転することが可能となります。
また、家賃については役員報酬ではないため、社会保険料の対象外(配当金も同じ)です。
こうした点をトータルで考えると、法人から個人への賃借料の支払いは一定の効果があると考えられるかなというところ。
申告漏れに注意
なお、「給与所得者の場合は年間20万円以下のその他所得については申告不要」という規定がありますが、同族会社の役員についてはこの規定は適用されません。
したがって、仮に年間20万円以下の不動産所得を法人から得ていたとしても、必ず申告対象となる点には注意が必要です。
まとめ:最適な移転方法を選ぶ
法人から個人にお金を移す際、どうしても役員報酬や役員賞与とすると社会保険料がかかってしまうため、その移し方だけでは、「真にお金を残すための節税」になっていないことが考えられます。
こうした観点からも、自社の状況を的確に俯瞰して、法人から個人への賃借料という方法も視野に入れながら、自社にとって最適な方法を検討することをオススメいたします。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人から個人にお金を移すには、基本的に役員報酬や役員賞与が中心となる。
・配当金でお金を移す方法もあるが、法人の経費にならずトータルでは負担増になることが多い。
・個人所有物を法人が利用している場合は、賃借料という形で法人から個人へ支払うことが、社会保険料や税負担の面から見ても有効な方法となり得る。
・法人から個人へお金を移す際には、自社の状況を俯瞰して最適な方法を選択することを心がけたいものである。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。