2025年9月11日【マイクロ法人の設立ラインとなる金額】について
早いもので今週ももう後半に入りましたね。
福岡は久しぶりに晴れてきたなという感覚です。
ここ3日ほどは曇り空や雨模様でしたが、数日経って日の光を浴びることができ、すごく気持ちよく感じて、感謝いっぱいの今日の日のスタートとなりました。
さて、本日の本題です。
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国民健康保険料が6月から変更となり、そのタイミングで何度かマイクロ法人についてのお話をさせていただいております。
<2025年6月5日/6月にこそ【マイクロ法人設立】を考える>
https://muratax.com/2025/06/05/9048/
大切な内容ですので、今日もそれに続けていきたいと思います。
マイクロ法人はどんな法人か
マイクロ法人という形態の法人については、基本的には【個人事業を営んでいる方が国民健康保険料の削減のために設立する法人】という位置づけとなります。
したがって、マイクロ法人という法人において利益を追求することは基本的にない、というのが通常の考え方です。
そして、この国民健康保険料の削減ということですので、具体的な金額が見えないことには、このマイクロ法人を設立する必要があるのかどうかということも見えてきませんよね。
この設立するかどうかのラインについては、その方の置かれている状況、扶養や同一世帯の親族がいるかどうかなどによって変わってきますが、今日はそのことについてざっくりとお話をしていきたいと思います。
事業所得300万円あたりが設立の目安
結論として、【個人事業での青色申告特別控除後の所得が300万円ほど】であれば、マイクロ法人を設立するタイミングかなというところです。
この300万円に対しての国民健康保険料は年齢や世帯人数によっても異なりますが、年間で40万円ほどになるかなというところです。
これに国民年金20万円というものも加味すると、年間で国民健康保険料と国民年金で60万円支払っているということになります。
マイクロ法人の運営コスト
その一方で、マイクロ法人を設立するとしましょう。
マイクロ法人については、読んで字のごとく、ごく小さな法人という意味合いで、法人で最低の役員報酬を設定し、その最低の役員報酬に伴う最低の社会保険料を負担し、それに見合う最小の利益を作って、法人の税負担も最小にするという仕組みです。
(まさに、すべてが「マイクロ」!)
これをすることにより、マイクロ法人での【健康保険料と厚生年金保険料の負担が年間で27万円ほど】になります。
この健康保険というものは、個人事業の場合の国民健康保険に該当し、厚生年金というものは個人事業での国民年金に置き換わるものと考えていただければ大丈夫です。
(正確に言えば厚生年金は国民年金の上に乗っかっているような仕組みなのですが、今日の本筋とはそれますので、そのことは割愛します。)
そのように考えると、個人事業の事業所得300万円では、国民健康保険料と国民年金保険料の合計で年間60万円だったのが、マイクロ法人に加入して健康保険料と厚生年金保険料を負担するとなると、合計で年27万円ほどとなるわけです。
これだけで、年間33万円分マイクロ法人の方がオトクということになるわけですね。
具体的な比較
しかしながら、マイクロ法人については法人ですので、法人としての利益が発生することになります。
ただ、最低の役員報酬と最低の社会保険料を設定して、そこに見合う最低の利益を設定することにより、法人の利益はほぼゼロにすることが可能です。
【具体的な利益のラインとしては、70万円から80万円ほど】になるかなというところです。
その利益を設定した上でのお話なのですが、法人の場合、たとえ利益が赤字で着地したとしても、最低限支払わないといけない法人都道府県民税と法人市町村民税の納税が発生します。
この税額については、地方公共団体により異なりますが、往々にして【年間で7万円ほど】かなというところ。
そして、法人として経理をすることが必要になりますので、この会計ソフト代として年間6万円ほどかかると仮定しましょう。
そうすると、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)の合計と、赤字の場合でも発生する均等割の税金である年7万円、そして会計ソフト代として年6万円を全て合計すると、年40万円ということになります。
そうすると、個人事業での国民健康保険料と国民年金の負担合計である年60万円と、このマイクロ法人の運用コストである年40万円を比較して、20万円がオトクになっていることがわかるでしょう。
仮にここに税理士報酬を加味したとしても、通常の場合はマイクロ法人設立の方が有利となりますので、このような具体的な金額を念頭において、ぜひマイクロ法人の設立を検討されることをオススメします。
まとめ:柔軟に判断し経営に投資
最後にまとめると、
・個人事業の最終的な事業所得で300万円
・国民健康保険料が年間で40万円
→月に換算すると、3万円から4万円ほどの金額
になっているようであれば、マイクロ法人を設立した方が良い状況になっているかと思われますので、自社の状況に応じて正確な判断をするようにしたいものですね。
こういったことは、単なる節税や社保の節約のみならず、このオトクになったお金を経営に投資できるわけですので、自らの経営のみならず、そこから派生する経済効果も大きくなるのではないかと、個人的には思うところです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・マイクロ法人設立のラインは、個人事業の事業所得が300万円、国民健康保険料が年間で40万円ほど(月3-4万円ほど)というところ。
・マイクロ法人に関しては、健康保険料や厚生年金保険料のほか、法人での均等割や会計ソフト費用などのトータルの運用コストを加味して検討すべし。
・具体的な金額のラインを参考に、自社の状況を柔軟に把握して、このマイクロ法人を設立するかどうかの判断を柔軟にすることを心がけたいものである。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。