2025年10月20日【前々年の売上が1千万円以下】でも納税事務者に?
昨日に引き続き、体調不良が続いています。
というものの、だいぶ通常に戻ってきたかなという感覚です。
状況として、体はだるいものの、喉の痛みや鼻の痛みなどはすっかりなくなっており、ようやく回復に向かっているのかなという感覚。
あとは体力を戻すだけのような気がするので、しっかりと最後まで油断することなく、完全回復を目指して頑張りたいと思います。
さて、本日の本題です。
消費税の納税義務判定の基本構造
今日は「消費税の納税義務の判定」についてのお話をしていきたいと思います。
消費税については、インボイス制度への登録をしていない前提ではありますが、そもそも消費税を納付することになる事業者かどうかは、「前々事業年度の課税売上高」により判断されます。
(例外もありますが、あくまでも一般的なものとして説明します。)
そして今日のテーマは、「前々事業年度が12ヶ月でない場合の判定方法」についてです。
例を挙げて説明しましょう。
仮に2023年8月に設立された法人で、決算月が10月のケースを考えます。
そして、この設立期(初年度)の課税売上高が300万円であったとします。
消費税の納税義務者は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者となります。
この部分だけを見ると、当期(2025年10月期)の前々事業年度(2023年10月期)の課税売上高300万円は1,000万円以下ですので、免税事業者であるように見えます。
前々事業年度が12ヶ月未満の場合の注意点
ただし、ここで注意が必要です。
法人の場合、「前々事業年度が12ヶ月未満」のときは、その売上を“年換算”して判定する必要があるんですね。
具体的に見ていきましょう。
設立期は8月から10月までの3ヶ月間で300万円の売上があるため、
300万円 ÷ 3ヶ月 = 1ヶ月あたり100万円の売上となります。
この100万円を12ヶ月分に換算すると、
100万円 × 12ヶ月 = 1,200万円。
つまり、年換算した課税売上高は1,200万円となります。
この結果、1,000万円を超えていますので、2025年10月期においては「課税事業者」となるわけです。
このように、法人の場合は前々事業年度が12ヶ月でないときには、必ず年換算をして判定するようにしましょう。
誤判定による思わぬ損失に注意
この判定を誤ると、例えば「課税事業者ではない」と誤認していたために本来選択できた簡易課税を適用せず、結果的に原則課税で進めて損をしてしまうという事態も起こり得ます。
なお、個人事業主についてはこの「年換算」という考え方はありません。
たとえば、前々年の8月に開業して12月までの5ヶ月間で500万円の売上があった場合、
この500万円と1,000万円を単純に比較するだけで判定します。
したがって、個人事業主の場合は年換算せず、そのままの売上高で免税・課税の判定を行うことになるわけです。
<参考-納税義務の免除-国税庁HPより>
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
慎重な確認により消費税損害の回避を!!
というわけで今日は、法人の消費税の納税義務判定において、特に法人において前々期が12ヶ月未満である場合の注意点についてお話ししてまいりました。
こういった納税義務の判定を誤ると、大きな損害につながることもありますので、十分注意をして慎重に判断するようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・消費税の納税義務は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下であれば原則として免税事業者となる。
・ただし、前々事業年度が12ヶ月未満である場合は、必ず年換算して判定する必要がある。
・個人事業主には年換算の概念はないため、法人のみに該当するルールであることを理解しておくべし。
・こういった納税義務の誤判定は大きな損害につながる可能性があるため、慎重に確認したいものである。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。