2025年10月24日【法人成りの際の資産移転】の注意点
気のせいといいながらも、実のところは心配していた体調も無事に復活して、今日から大阪出張です!
今回は出張にからめて、母も一緒に旅に出ています。
実家時代を含めて、母とは家族旅行に行ったことがなかったので、今回は楽しく親孝行もしてきたいところです。
さて、本日の本題です。
個人事業から法人へ・・“法人成り”のタイミング
事業が順調に伸びてきて、個人事業のすべてを法人にもっていく、いわゆる「法人成り」をすることがあります。
なお、個人事業から法人という流れについては、
(あくまでも税務からの最適化という観点からですが)
まずマイクロ法人、そして次の段階で法人成りをしていくということが一般的なところ。
今回お話しするのは、マイクロ法人ではなく、「完全な法人成り」のお話です。
個人と法人は「別人格」
法人成りとなると、完全に個人事業を廃業してその全てを法人に移行するということになります。
そうなると、これまで使っていた個人事業での資産などはどのようになるのでしょうか。
個人事業と法人については、個人と法人はあくまでも別人格であるため、
たとえ同じような感覚で事業を続けていたとしても、それは全く別人格としての活動になります。
したがって、基本的に個人事業から法人に事業を移行していく場合、個人から法人に資産を移すという流れになるんですね。
資産の移転は“時価”で行う
移すというと単に移動するだけ…というように考えてしまいがちですが、
移すということは、通常の場合「個人が法人に譲渡する」ということになります。
では、どのような価額で譲渡するのかということになるのですが、これについては、その資産を移す(譲渡する)際の価額…つまり「時価」により譲渡をするということになるんですね。
その時価については、その移す際の中古市場の査定金額であったり、簡便的に個人事業で減価償却をした後の帳簿価額をそのまま利用することもあります。
そのような金額で譲渡をすることになりますので、法人が個人からその資産を時価で購入する(個人から見ると、時価で譲渡する)ということになるわけですね。

資産移転の際に生じる課税関係
では、この時の課税関係はどうなるのでしょうか。
まず、法人については購入した金額で資産として計上して、これを減価償却を通じて経費にしていくことになります。
(金額が10万円未満(青色申告の場合30万円未満)であれば、全額経費にできます。)
一方、個人については、事業所得の一環としての資産の譲渡ではあるものの、これは事業所得ではなく「譲渡所得」として課税がされることに。
(一部例外はありますが、基本的には譲渡所得になります。)
この土地や建物以外の譲渡所得については、譲渡金額から50万円の控除が設けられているため、50万円以下の譲渡金額であれば、所得税はかからないことになるんですね。
ただ、資産の譲渡にはなるので、もし個人事業で課税事業者であった場合は、この譲渡について消費税の課税対象となります。
忘れてはならない2つの申告
そのようなことから、個人においては、
・譲渡所得の申告
・譲渡についての消費税の申告
を忘れないようにしましょう。
法人成りについては、譲渡についてのこのような論点を見逃しがちですので、法人成りの際はこういったことに十分注意をして、申告漏れがないように進めていくようにしたいところですね。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人成りに際しては、【個人事業とマイクロ法人の並走】→【法人成り】の順で検討したいところ。
・法人成りの際は、個人事業での資産の譲渡が絡むため、個人と法人での課税関係に注意すべし。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。






