2021年9月22日【相殺】の会計処理、しっかりできていますか?
■ビジネスをやっていくにあたっては、 『そのお相手先が得意先であるとともに、 同時にこちらが顧客でもである』 という状況があるかもしれません。 今日はこのような状況に際して、 税務上注意しなければならない点について 見ていきたいと思います。 ■上述した通り、 『得意先でもあり、取引先でもある』 という状況下においては、 【その売上高と経費を相殺する】 といったことも商売の慣例としては 少なくはない状況です。 相殺ですので、その部分においての 【お金の流れはない】 ということになりますよね。 実際の現金の動きはない状況ですが、 これは会計帳簿を作成するにあたり どのように考えていくのでしょうか。 ■仮に、 『Aさんが上記のように 得意先でもあり経費の支払い先でもある』 という状況を考えてみましょう。 そうした場合に、Aさんに対し 商品やサービスを提供したことによる 売上高の請求が300万円あって、 逆にAさんから商品やサービスを 提供してもらったということにより、 支払う経費が200万円あったとしましょう。 そうなると、上述した商売の慣例により 『相殺』することを考えると、 【この300万円から200万円を引いた 残りの『100万円』をAさんから 売上金としてもらえば良い】 ということになりますよね。 ただ厳密に言えば、 【まず300万円の売上高が計上され、 その後に200万円の経費が計上され、 その結果の利益として100万円が残ってくる】 というのが本来の流れであると言えます。 とは言え、利益は同じ『100万円』 として変わらないので、 税金を計算する上では何ら問題ないように 考えられる というわけです。 ■しかしながら、 結論として、相殺をしてしまって 会計帳簿にこれを反映しないとなると、 【消費税においての問題】 が出てくることになります。 消費税においては以前の記事の中でも 度々取り上げさせていただいているように、 【その前々年度の課税売上高 (消費税の対象となる売上高)が 1千万円を超えているかどうか】 により、 その消費税の納税義務者になるかどうか ということが決まってくることになります。 また、簡易課税制度を選択する上では 【前々年度の課税売上高が 5千万円以下であるかどうか】 ということでしたね。 その前提から考えた際に、 上述した取引が相殺されていたとしたら どうでしょう。 相殺した結果のみ会計帳簿に計上となると、 【純額である100万円だけが売上高として計上】 されるということになります。 ■しかしながら、 本来の総額で考えた際には、 『300万円』の売上高。 つまりこの時点で 【200万円の売上高の差が生じてしまっている】 ということになってしまうというわけです。 このような状況を、 上述した消費税の納税義務者の判定や、 簡易課税制度の判定で考えるとどうでしょう。 【相殺するかどうかにより、 この売上高が変わってしまう】 ということは何だか変な感じですよね。 そのようなことから考えると、 【相殺をした場合であっても、 会計帳簿上は『総額』として 売上と経費を計上していくべき】 ということになるわけです。
■ということで、 今日は『相殺』において 会計帳簿で注意すべき点について見てきました。 上述したように、 この『相殺』は商売の通例として多い状況ですので、 しっかりと適切な処理をして、 その相殺の会計処理をしていくようにしましょう。 要は『総額』で計上すべき
ということですね(^^)。 ------------------ 《本日の微粒子企業の心構え》 ・商売の慣例において【相殺】 という取引は往々にして出てくるもの。 ・相殺の会計処理にあたっては、 【総額】で計上する方法、【純額】で計上する方法の いずれの方法においても利益は変わらないが、 その取る方法により、売上高が変わってくるため 【消費税】の観点からは要注意であると言える。 ・そのように考えると、 たとえ相殺で実際の現金の動きはないとしても、 【総額により売上高と経費を計上する 会計処理をしていくべきであるもの】 と心得ておくべし。 今日も最後までお読みいただきまして、 ありがとうございました。