2022年5月9日赤字であれば税務調査は入らない?
■「このぐらいの規模だったら
税務調査は入らないですよね。」
税務調査の話題になった際、
このようなお話になることがよくあります。
結論としてこれは
【合っている面もあり、
誤っている面もある】
ということに。
■まず、
【やはり売上高や利益が
そこまで大きくない状況においては、
税務調査は入りにくい】
と言えます。
というのも、税務調査は、
【その調査に入ることにより、
何らかの不正や誤りを見抜き、
追加で納税をしてもらう】
ということが目的だから
ということなんですね。
したがって、
税務調査に入ったとしても、
その追徴税額が少なくなる
見込みであることや、
そもそも不正が見つかったとしても、
それを超える赤字が生まれているため、
「やはり追徴税額を取ることができない」
という判断を税務署がすると、
【調査自体が行われない】
ということが考えられるわけです。
■逆に、
何らかの数値が
極端に大きくなっていることにより
赤字になっているケース…
例えば『交通費』や『交際費』などが
明らかに多額になっていて、
その結果利益がマイナスになっている
ような状況下においては、
その交際費や交通費を
税務調査で否認することができれば、
ひっくり返って納税が出ること
もありますので、
【そのような観点からは
税務調査に入る可能性がある】
ということなんですね。
■また、
前々期の売上高が『1千万円』
を超えている状況では、
さらに消費税の追徴も
可能となりますので、
【消費税については
赤字かどうかにかかわらず狙われやすい】
ということが言えそうです。
したがって、
【とにかく赤字にして
申告をすれば税務調査が入らない】
というのは、
【実際のところ都市伝説である】
と言えます。
私自身が、税理士として
その会計帳簿や試算表、
決算書を拝見した際に、
同じようなことに目が行くとすれば、
税務調査官も、通常の場合
私と同じような視点でプロとしての
チェックをしてくるわけですので、
【そう甘い話ではない】
ということになるわけですね。
■そして、
【一度調査の対象になると、
さらにそこまで甘い話はない】
ということに。
「これぐらいの
プライベートの支出だったら
経費として入れておいても
問題はないだろう」
などというお話もよく聞くのですが、
税務調査は往々にして
【領収書から調べられる】
ということがあります。
【帳簿を開いて
金額が大きいものをチェックする】
ということももちろんあるのですが、
【手元にある準備された領収書を
ひたすらめくり、怪しい支出と帳簿を
照らし合わせ、その内容を追求する】
ということも少なからずあるわけです。
■そのように考えると、
【金額の多寡にかかわらず、
そのような税務調査上のリスクがある】
ということは十分承知して
経理処理をしたいもの。
もちろん、
【完全にプライベートであるものは
ブラックな支出(経費ではない)】
と言えますので、
そういったものを帳簿に入れ込むことは
全くもっての論外。
ただ、『グレーな支出』
と言われるもので、
【プライベートと事業用が
混在しているような経費は、
適切にその按分をして申告をし、
経費を増やし、節税をしていく】
というのは有用なスタンスである
と言えます。
しかしながら、
【税務調査で突っ込まれる
リスクは十分にある】
ということもまた
想定しておくべきでしょう。
とは言え、当然合理的な理由があれば
経費として認められるはずですので、
そういった点においては、
恐れることなく、適切に
経費としての処理をするようにしましょう。
■いろいろ述べてはきましたが、
今日は
「これぐらいの業績だと
税務調査は入らないよね」
ということに対する布石として、
【そうとも言えませんよ】
ということで記事を認めさせて
いただきました。
いずれにせよ、
経営をしていくにあたり、
【ある程度クリーンな会計帳簿にし、
適切な経営状況を把握していくこと】
は、経営の務めであるとも言えます。
『節税』ばかりに頭がいってしまい、
そういった本質的なことを
除外してしまっているようでは本末転倒。
『節税』と『本来の経営の思索のバランス』
を適切に考慮し、
【真っ当な会計と確定申告】
を心がけたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・『税務調査が入りにくい』
という論点については、
【一般的に誤った解釈がされているもの】
と心得ておくべし。
・たとえ赤字であったとしても、
【極端に大きな経費の支出や、
全体的に経費が多い状況下においては、
税務署も調査の対象として目を付ける
可能性がある】
ということもまた心得ておくべし。
・経営の本来の目的を見定めた上で、
『節税』も加味し、
【適切な会計処理と
経営の理念を追求するが如く、
そういった真っ当な経営者としての観点で
経営を進めていくべきである】
ということもまた言えるものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。