2022年8月26日税務署が【役員借入金】を注視する理由とは
■「役員借入金が増えていますね。」
法人の決算における
最終的な面談において、
このような会話になることがあります。
『役員借入金』とはつまり、
【法人の役員(通常は代表者本人)が
その法人にお金を入れている金額】。
結局のところ、
親族で法人を営んでいる場合は、
個人の財布から法人に
お金を入れることが多く、
【その個人から入れられたお金で
会社経営をしている】
ということが少なくないわけです。
今日はこの『役員借入金』について
見ていくことにいたします。
■通常の場合であれば、
【普通預金から法人の経費の支払いに
必要な分だけを下ろして、
経費の支払いに充てる】
というものでしょう。
しかしながら、『自分の会社である』
ということから、
【ざっくり普通預金からお金を下ろして、
そこから経費の支払いに充てていく】
ということが少なくないんですね。
上述したように、
【ざっくり】
ということですので、
【そのざっくりした現金の状況は、
もはや分からなくなる】
というもの。
■また、
会社の資金が不足した場合は、
個人からお金を入れざるを得ません。
この場合に役員である代表者が
会社にお金を入れたことにより、
【その法人がその役員に対する
借金を負った】
というのがこの『役員借入金』
なんですね。
上述したざっくりした
お金の引き出しも、
この役員借入金の返済…つまり
【いったん個人がその現金を
もらったもの】
として処理をし、
【その個人から改めて
経費の支払いをした】
という処理をする場合に、
【経費が増えるとともに、
役員借入金が増える】
ということになるわけです。
つまり、『現金』という科目を
通さないのに便利なのがこの
【役員借入金】
というわけなんですね。
■ただ、
この役員借入金が動きすぎると、
・感覚的な儲け
・帳簿上の儲け
・現金の増減額
が分からないことに
なってしまいます。
そのようなことから考えると、
【極力現金を合わせるべく、
たとえ親族だけの会社であっても
現金出納帳を記録して
おくのが望ましい】
と言えるでしょう。
どうしても「難しいもの」
と考えてしまいがちなのですが、
習慣化さえしてしまえば、
【逆に現金が合わなくなるのが
気持ち悪くなる】
というものです。
■今日はそのことに加え、
【役員借入金について注意したいこと】
をお話ししていきます。
というのも、税務署はこの
【役員借入金の動き】
は意外と注視しているからなんですね。
仮にですが、
『役員報酬を極少にしている状態で、
会社の売上も上がっておらず、
その一方で法人の経費の
支払いに際して
個人の財布から多く法人への
支出をしている』
という状況を考えてみましょう。
そうなると、売上が上がらず
経費が増えていますので、
当然役員借入金は
増えていくことになります。
この
【役員借入金の増え方】
に税務署は着目している
というわけなんです。
■というのも、
【売上が上がっていない状況で
そこまでの経費が必要なのか…】
【生活費を経費に入れているのでは
ないか…】
というのが一つの視点である
と言えます。
そしてもう一つの視点が、
【本来的に必要な経費の支出を
しているとしても、
なぜこの社長は
ここまでの借入金が増えるほどの
個人資産を持っているんだろうか】
ということ。
『役員借入金が増える』
ということは、
『その社長が会社に入れている
現金が増える』
ということですので、
【どこかしら個人から法人へ
お金が動いている】
ということなんですよね。
■しかしながらその一方で、
【役員報酬は極少なので、
社長本人にはお金がない】
と考えるのが通常でしょう。
もちろん、
これまでの蓄財から
法人にお金を貸している
ということも少なくないでしょうが、
税務署が疑うのが、
「もしかすると会社の現金での売上を
個人が着服しているのではないか」
ということなんですね。
■現金の売上になると、
【帳簿に残さない】
という選択をすれば、
【現金の増加と売上の増加が見えない】
ことになってしまいます。
当然その現金は社長個人の
ポケットに入るわけですので、
社長個人の現金は増えていくことに。
その増えた現金を
何も考えずに会社にドカドカと
入れていっているようでは、
この役員借入金が増えていっても
仕方ありません。
■税務署は、
こういった『役員借入金の動き』
にも注視しているんですね。
「だから注意しましょう」
というわけではないのですが、
税務調査の視点として、
この役員借入金が注視される理屈を
しっかり押さえておきたいものです。
何はともあれ、会社の経理状況が
キレイな状態でないと、
本来の経営の状況が見えないので、
極力現金を合わせるとともに、
現金出納帳の記録もして、
【会社の経営状況の定点観測】
をしていきたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・税務署は、
【役員借入金の動きに着目している】
ということを心得ておくべし。
・税務調査で怖いのが、
【法人の現金売上を
個人が着服しているのではないか】
という税務署の視点。
・もしこの現金売上の除外となると
あっという間に【重加算税の対象】となり、
同時に【税務署のブラックリスト】
に載ってしまうことになる。
・税務調査というよりも、
『経営の適正な定点観測』として、
やはり
【現金は日々合わせること】
を心がけ、その経営を適正に
進めていきたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。