2023年12月15日【実費の立替】があった場合に注意したい消費税のお話
今日も面談尽くし&通常業務も。
今日は不動産事業をされている方との
ご面談だったのですが、
減価償却費と借入返済の大きさによる
お金の残り具合の現状把握が難しく、
お金の残りが厳しいものの納税が多く出て
しまうという状況に、
お客様も私もかなりのショックを
受けていました。
このことは結構大事な論点ですので、
後日記事にどういったカラクリかを
書かせていただきたいと思っています。
(何度か寝落ちしそうになりながら、
今日の記事をしたためていますので、
変な箇所があったらすみません・・笑)
さて、本題です。
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■事業の中で売上が立つ過程において、
場合によっては
【経費の立替が発生】
することもあろうかと思います。
ネットビジネスなどにおいては、
GoogleやYahooの広告を運用する業者が
立て替えて、
これを得意先に請求するということも
考えられるかもしれません。
その他にも、依頼を受けた仕事に対して
それをさらに外注に回すなどにより、
【かかった外注費と同額を
お客様に請求する】
ということも考えられるでしょう。
そのような取引の中で、
会計処理と税務面での問題が
出てくることがありますので、
今日はそのことについてお話を
進めたいと思います。
■端的に言えば、
【消費税についての問題が出る】
ということになるんですね。
消費税については
【原則課税と簡易課税という
大きく分けて2つの方法】
により消費税の納付額を計算します。
『原則課税』について言えば、
売上からもらった消費税から経費などで
支払った消費税を差し引いて、
【その差額を税務署に納付する】
という仕組み。
■そして『簡易課税』の計算については
上述した経費などで払った消費税は
一切考慮せず、
【業種に応じて払った消費税とみなす率を、
売上に対する消費税に乗じて計算する】
ということに。
したがって、原則課税については
【経費で支払った金額を考慮して
消費税を計算する】
ものの、簡易課税については
【売上でもらった消費税のみを
ベースとして消費税を計算する】
ことになるということになるわけです。
↓参考記事↓
<2020年11月27日消費税の積立、
しっかりできていますか?>
https://note.com/muratax/n/n40810228e374
■そのような際、上述した
【実費部分をそのままお客様に請求する】
ということを考えてみるとどうでしょう。
実費部分をそのままということは
つまり、
【立て替えている】
という状況ですよね。
その立て替えたものを売上として計上し、
実際に立て替えた金額を経費として
計上すれば、
【その売上と経費は同額が計上される】
ことになりますので、結果としては
【立替分は利益には影響しないように見える】
というところ。
■実際のところ、
所得税や法人税においてはそうなるのですが、
これが上述した
【消費税の計算方法の面で
大きく変わってくる】
ということに。
結論から言えば、
【原則課税の場合は全く変わりはない】
という状況。
というのも、売上に対して消費税も
かかってくるわけですし、
立て替えた分の経費を払った際にも
消費税がかかっているわけですので、
原則課税においては売上でもらった
消費税と経費で使った消費税が相殺され、
【結果としてプラスマイナスゼロの状態】
になるわけですね。
■その一方で、
簡易課税の場合はどうでしょう。
簡易課税については上述したように
【売上でもらった消費税のみをベース】
として納税額を考えます。
したがって、立替分を売上に上乗せ
してしまうと、
【その上乗せした立替分についても
簡易課税によると消費税の負担を
強いられる】
ということになるわけです。
ちょっとした経理処理のお話なのですが、
実際のところ、こういった
【原則課税と簡易課税の違いを理解
しないまま通常通り経理をし計算する】
ことにより、
【簡易課税において大きく損をする】
ということも考えられるわけです。
■また、消費税の納税義務の判定においては、
前々年の課税売上高(消費税の対象
となる売上高)を基に納税義務者か
どうかを検討し、
【前々年の売上高が1千万円超えれば
当期において納税義務者となる】
ということになります。
その1千万円を超えかどうかの判定の際にも、
【この立替分を売上に上乗せするかどうか
により判定結果が変わる】
ということも考えられそうですよね。
また簡易課税においては
前々年の課税売上高が
【5千万円を超える年度】
においては、簡易課税が使えず
【原則課税で計算する】
ということに。
■そのように考えると、
簡易課税が有利なのに
上述したように立替金分を売上として
乗せることにより結果として
5千万円を超える課税売上高になって
しまえば、その分
【消費税の計算方法において損してしまう】
ということにもなりかねません。
消費税についてはこういった点に
細心の注意を払わないと、
【結果として大きな損害を被る】
ことが想定されます。
そういった面もトータルで考えて、
税金の負担や会計処理の面など総合勘案し、
【有用な経理処理や経営の対策、税金対策】
を考えるようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・消費税の計算方法においては
【原則課税と簡易課税】
に大別される。
・売上の際、経費の立替があった際、
これを売上に乗せることにより、
場合によっては
【簡易課税の計算が損になる】
ということは把握しておいた方が
良いだろう。
・また、消費税の納税義務の判定や、
簡易課税を適用できるかどうかの
判定に際しても、
立替分を売上に乗せるかどうかにより
【判定の結果が大きく変わってくる】
ことが想定されるため、
こういった点にも十分注意をして
消費税を含めた経理処理を
検討したいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。