2024年6月29日【役員賞与の設定】にあたり、注意したいこと
今日は大きなひと仕事を終えて、
すごく肩の荷が下りた想いです。
ただ、源泉所得税の業務がかなり立て込んで
いますので、
この週末は気合いを入れて取り掛かっていき
たいところですね。
さて、本題です。
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■決算を迎える際に、次期の役員報酬や
役員賞与を検討させていただく
というお話を以前の記事でもたびたび
させていただいています。
今日はその中で、役員賞与についての
お話をしていきたいと思います。
役員賞与については税務的な用語で言えば
事前確定届出給与というもの。
読んで字のごとく、事前に賞与の金額を
確定させ、税務署に届け出たものに限り
法人の経費として認めますよ
というものなんですね。
■したがって、
事前に届け出た金額の通り、
そして支給日の通りに支給しなかった際は、
その支給した金額全てが経費として
認められないということになってしまいます。
したがって、この役員賞与の額を決定
する際は相当注意をしないといけない
ということなんですね。
■そしてこの役員賞与については、
給料の場合と同じく、
社会保険料(健康保険と厚生年金)の
限度額が決まっています。
この限度額を上回る賞与を支給すれば、
その上回った部分に対しての健康保険料率と
厚生年金保険料率分の社会保険料が
削減できるというわけなんですね。
ちなみに、こちらが福岡県の協会けんぽの
保険料率です。
福岡県・保険料率表
■そのような背景から、
法人の資金繰りを加味して、
社会保険料の削減を見込んで役員賞与の
設定をすることもあるでしょう。
この社会保険料の削減を目的としよう
とすれば、
当然毎月の役員報酬の額を少なくして、
賞与の金額を多くすることにより
そのギャップが大きくなり、その分
社会保険料を削減できることになりますが、
当然そのようにすれば、賞与がかなり
大きな額になりがちなもの。
■そういった際に、その多額の賞与を
十分に払えるだけの利益が上がっていない、
またはキャッシュが貯まっていないことには、
その賞与を払うことができないので
要注意であると言えます。
基本的に法人から個人にお金を移すには、
役員報酬や役員賞与としてしか移すことが
できないため、
期中の役員報酬を低くしている
ようであれば、当然そのもらえる額も
少ない金額となり、
そもそもの生活費に困窮してしまう
ということにもなりかねません。
■こういった点をトータルで考えて、
適切な役員賞与の額と役員報酬の額を
決定することは何より大切である
と言えるでしょう。
そしてこういった賞与を設定した際は、
毎月ごとの財務状況の定点観測もまた
必要であるというところ。
■そのような点を念頭において、
まず役員報酬の額や役員賞与の額を適切に
設定して、その設定した額を確実に
支払えるかどうかの定点観測をしながら、
法人の財務状況を観察しつつ、
経営を進めていきたいものですね。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人の役員に対する給料については、
役員報酬のほか役員賞与(事前確定届出給与)
を検討することが少なからずあるもの。
・役員賞与については、
その額を大きくすればするほど、
健康保険料や厚生年金保険料の限度額を
上回った分、それぞれを削減できるもの。
・ただし、役員賞与の額が大きくなると、
その分財務状況や損益の状況が
その役員賞与の額に見合うものまで
達していないと支払うことができないので
要注意であると言える。
・大切なのは、そういった額の設定のほか、
毎月ベースでしっかりと財務状況や
損益の状況を定点観測し、
役員賞与を支払えるような経営を
目指すことであろう。
・そのような点を念頭に置き、
経営を取り巻くいろいろなことを
総合勘案しながら、
適切な額を設定して、同じく適切に支給
できるような経営の体制を整えていきたい
ものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。