2025年7月15日【役員報酬と役員賞与の最適な決め方】について
福岡の今日はまた、強い暑さが 戻ってきたような感覚です。 昨日は雨のせいか すごく涼しかったのですが、 今日はすごく暑い… 気候の変化が激しくなっていますので、 これくれも体には気をつけながら、 今日も楽しんで頑張っていきましょう! さて、本日の本題です。 ================== ■以前の記事でもたびたび 書かせていただいている ことではありますが、 法人の決算に際しては、 次期の役員報酬と役員賞与 (事前確定届出給与)を 決定することになります。 ■どうやって決定していくのかといえば、 まず法人の次年度の予算を策定して、 その予算に基づく損益計算書から、 適正な役員報酬と役員賞与を 設定していくという具合なんですね。 ■基本的にスタートアップの状況や、 そこまで大きな利益が 上がっていない状況下であれば、 法人の利益がちょうど消え切る位の 役員報酬と役員賞与を設定するのが 一般的かなというところ。 ■それを越して大きな利益が 上がってくると、場合によっては 金融機関への融資も見据えながら、 法人に利益を適切に残しつつも、 役員報酬を最大限取っていくという ことが考えられます。 ■上述したように、役員報酬と 役員賞与のセットで 考えていくわけですが、 役員賞与の考え方については 事前確定届出給与とも言われ、 税務署に前もって 「何月何日にいくら支給する」と定めて その届出通りに支給しなければ、 損金(法人税計算上の経費)としては 認められないということに。 ■この事前確定届出給与については、 主に2つの視点があると考えられます。 具体的には、 ・社会保険料の削減 ・決算賞与的な支給 という視点です。 ■1つ目の社会保険料削減について。 賞与には上限があり、 特に厚生年金の上限は月150万円。 これを超える賞与を年1回設定することで、 厚生年金保険料(18.3%)の負担が 大きく変わります。 つまり、毎月の役員報酬を 極力少なくして差額を賞与に回せば、 厚生年金保険料の負担を 抑えることができるというわけです。 なお、健康保険料の上限は573万円。 これを超える賞与を設定することで、 健康保険料も削減できます。 <参考-福岡県協会けんぽの社会保険料額表> ■ただしこの方法には注意が必要で、 届出どおりの支給が できなかった場合、 そもそも経費計上が 認められないということに。 中途半端には支払えず、 全額かゼロか、という選択に なるということですね。 <2025年6月29日役員賞与(事前確定 届出給与)の設定方法を考える> https://muratax.com/2025/06/29/9127/ ■2つ目は、決算賞与的な考え方。 通常の月々の役員報酬を支給しておき、 利益が上がったら 年一度の賞与を支給する方法です。 これは社会保険料の削減が目的でなく、 利益に基づいた結果を見て賞与を 支給するという、 いわば「王道」の設計です。 このように、役員賞与の設定は それぞれの会社の状況によって 適した方法を選ぶことが重要です。 ■そしてもう一つ大切なのが、 個人と法人の税や社会保険料を トータルで最適化するということ。 役員報酬や役員賞与には、 所得税や住民税もかかるため、 総合的に見て負担が最小になる ラインを探るのが理想。
■とはいえ、 法人が個人にお金を移す手段は、 基本的に役員報酬・役員賞与しか ありません。 したがって、トータルの税負担が 多少重くなったとしても、 現金を個人に移す目的のために 役員報酬や役員賞与をあえて支給する ことも、選択肢となり得るわけです。 ■また、報酬・賞与以外でも 出張旅費や役員社宅など、 いわゆる「お金を使わない節税」も 組み合わせることで 法人から個人への資金移転が可能です。 <2021年6月5日役員報酬の決定で 必ず考えたい2つのこと> https://note.com/muratax/n/ndda042d70b12 ■こういったことを総合勘案して、 役員報酬や役員賞与の設計を 戦略的に行いたいものですね。 ================== 《本日の微粒子企業の心構え》 ・役員報酬や役員賞与は、 決算のタイミングでしか原則として 変更できないものと心得ておくべし。 ・役員報酬や役員賞与の設定は、 個人と法人の税や社会保険料を トータルで見た最適解を探ることが 重要である。 ・その一方で、個人が法人から現金を得る には、役員報酬や役員報酬がその手段と なるため、 税や社会保険料の負担を考慮しつつも、 自社に合った最適解を柔軟に 探っていきたいものである。 --------------- 今日も最後までお読みいただき、 ありがとうございました。