2020年5月15日個人事業主の仕事とプライベートの区分けの仕方
こんばんは。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■「おとうしゃーん!!」
外出していて自宅に戻ってきた際、
このように言って近づいてきてくれる
娘たちは本当にかわいいものです。
ただこれが、
私がずっと家にいる状況で、
妻が仕事から帰ってくると
「おかあしゃーん!!」と…
さらには、
おやつを持っておばあちゃんが
家にやってくると知ろうものなら、
「おばあちゃーん!!!」と。
みんな身内ではあるのですが、
ただでさえ細々と身を潜めるように、
女性だけの社会の中で何とか地位を
保っている状況において、
なんとなく自分の家の中での立場を
奪われたような気がして、
この瞬間は何とも寂しいものです(汗)。
■そう、人はその状況に応じて
いろんな顔を持っています。
状況に応じてそれぞれの顔を持って
対応していく。
(もちろん、小さな娘たちには
そんな邪念はないんじゃねん…?)
これは、税金の世界でも同じで、
個人事業主に関しては、
昨日の記事でもお伝えさせていただいたように、
事業主としての顔と、
プライベートとしての顔の
両方を併せ持っています。
万一税務調査に入った際は、
税務調査官は、経営者の顔色を伺いながら、
そのような2つの顔の線引きをしようと
試みるものなのです。
昨日そのような内容を配信したところ、
「事業とプライベートの経費の
配分ってどんなふうにするんですか?」
という質問を複数の方から
いただきましたので、
今日はそのことについて
お話を進めていきたいと思います。
■具体的に、
仕事で使っているものと
プライベートで使っているものが
混在している経費と言えば、
あなたはどのようなものを
思い浮かべるでしょうか?
私が一番に思い浮かべるのは、
人によって声色を上手に使い分ける
3人の娘の顔…ではなく(汗)、
【自宅の家賃】
です。
と言うのも、
私自身が4月から3人の娘たちと
在宅ワークに入っているため、
ここ最近は、
毎月家賃を払って借りている事務所に
ほぼ行っていない状況。
逆に、仕事のために家にいる時間が
増えてきています。
(…というより、24時間ほぼ家(汗)。)
今までは、と言うと、
私は家に仕事を全く持って帰ってこない
というスタンスで仕事をしていたため、
自宅で一切仕事をしていなかったことから、
自宅の家賃は全く経費にしていませんでした。
ただ、今はほぼ全ての時間を
家で過ごしているという状況。
そうなると、
もちろん経費に対する考え方も
変わってきますよね。
自宅で仕事をしているのだから、
少しでもこの自宅の賃料を経費にしたい…
あなたが私の立場だったとしたら、
きっと同じように思うのではないでしょうか。
そのように、
仕事とプライベートが混在している
ケースとしては、
同じく自宅部分の水道光熱費であったり、
車に関する経費であったり、
電話代であったり、
インターネット代であったり、
…本当にいろいろなものがありますよね。
今日はそんな経費をどういう風に
配分していくかということについて、
お伝えしていきますね。^^
■まず、自宅の経費について。
これは一般的な考えとして、
自宅の総面積の中で、
自分が仕事として使用している部屋の面積
部分の割合で、
自宅経費を按分していきます。
例えば、
60㎡の自宅の面積のうち、
15㎡の部屋を仕事として使用している
としたら、
25%(15㎡/60㎡)になりますね。
仮に1ヵ月の賃料が100,000円だとしたら、
100,000円×25%で、
25,000円が必要経費になる
ということです。
ちなみに、『必要経費』という言葉が
個人事業主の税金の世界では
よく出てくるのですが、
これは事業に必要な経費…つまり
「税金を計算する上で
経費と考えて良いですよ」
という支出になります。
これはなんとなくで良いので
覚えておいてくださいね。^^
では、自宅の水道光熱費はどうでしょう。
いろいろな考え方はあるのですが、
電気代であれば、
すべての部屋についている
コンセントの差込口の数のうち、
【仕事で使用している部屋にある
コンセントの差込口の数の占める割合】
で、経費となる金額を考えていきます。
水道代に関しては、
これはなかなか配分の難しいところ
なのですが、上記と同様に、
【総面積のうちに仕事で使っている部屋の割合】
で考えることが多いですね。
ガス代に関しては、
なかなか仕事でガスを使用することはないため、
(基本的に)経費にするのは難しいと思います。
ただ、
自宅で仕事上の打ち合わせをするために、
ガスを使って料理をし、
その食事をつまみながら
打ち合わせをする
といった場合には、
経費となり得ますね。
■では、車に関してはどうでしょうか。
厳密に仕事とプライベートの部分を
配分するとしたら、
仕事として使用する際に
メーターをゼロにして、
目的地に着くまでの走行距離を把握し、
プライベートで使用する部分の走行距離を
同じような方法で把握し、
逐一、
わざわざ、
貴重な時間を使って、
神経をすり減らしながら記録し、
一年間で走ったトータルの走行距離のうち、
仕事で使用する部分の走行距離を考え、
ヒヤヒヤして冷や汗をかきながら、
手を震わせて、
仕事で使用する部分についての経費を
電卓を叩いて計算する
という方法が考えられます。
厳密に言えばこのようなことが必要なのですが、
はっきり言ってかなり辛いはずです。
そこで、私がお客様にお勧めしているのは、
【一週間のうちに何日仕事として
車を使っているか】
ということを考えていただき、
その割合で経費化していく、
という方法です。
大抵の場合、
一週間のうちに平日のみ使用している場合は
5日/7日で計算し、
一週間のうちに土曜日を含む6日間
使用している場合には、
6日/7日で計算して、
経費となる割合を考えていく
という方法を採ることが多いですね。
そして車の経費にも
かなりいろんな種類があります。
・ガソリン代
・自動車保険料
・オイル代
・車検の費用
・タイヤ代
・洗車代
・自動車税
・その他の修理代
このようなすべての車両に関する
経費について、
上記のようなルールで計算していきます。
■そしてこれは、
電話やインターネットでも
同じことが言えますね。
電話もインターネットも
経費として使っている割合を考えることは
なかなか難しいので、
上記のように一週間のうち何日間
仕事として使っているかということを
ざっくり考えて、
経費となる金額を考えると良いわけです。
■そして、ここからが『要注意』!
青色申告で申告している人であれば、
これまで書いてきた方法を採ることが
できるのですが、
これが白色申告で申告している人となると、
上記の方針全てが採用できるわけではなく、
上記のうち一部だけしか経費にならない
ということになってしまいます。
どういうことかと言えば、
白色申告の人は、
【その支出のうち、
仕事として使っている割合が
50%以上でないと、
経費としては認めないですよ】
という『決まりごと』があるのです。
ですので、自宅家賃は特に、
50%を超えることは通常なかなかないため、
自宅経費については全額が
経費にできないことになってしまうのです。
上記で言えば2万5000円の12ヶ月分…
つまり年間30万円が経費として
認められないことになってしまうため、
青色申告を採っていないだけで、
結構大きな損害ではないでしょうか。
税額にすると約50,000円ほどです(汗)。
所得によって変わってくる
国民健康保険料を含めると、
その額はもう少し上がってくると思います。
■いろいろ述べてはきましたが、
ある人にとっては、
「これも経費になるんだ!」
と思われたかもしれませんし、
またある人にとっては、
「今まで経費にしていたけど、
本当はダメなんだ…」
という不安な想いに包まれた方も
いらっしゃるかもしれません。
お金の世界を見渡してみると、
知っているか知らないかで、
結果として払う税金に、
ひいては手元に残るお金に、
大きな差が出てしまいます。
ある程度しっかりとした知識を持って、
税金のことは考えていきたいものですね。
私は、しっかりと
三人の娘の顔を伺いながら、
上手に父親としての顔を
配分していきたいと思います。
・・・あ、
もちろん妻にも(滝汗)。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・個人事業主は仕事とプライベートの区分けを
しっかりとして、
上手に経費を計上すべし。
・厳密に計算して、経営に充てることのできる
はずの時間を消費することは
本末転倒。
経営者にとって最大限大切なのは、
【時間】である。
・人によって、仕事とプライベートの区分けは
異なる。
人に説明できるような根拠のある区分けをして
税務調査に備えるべし。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。