2021年10月5日【免税事業者】が特にインボイス制度に注意すべきである理由とは
■先日より、
消費税のインボイス制度について
述べてまいりました。
その中で、
【今回のインボイスについては
課税事業者よりむしろ免税事業者の方が
ダメージが大きくなるかもしれない】
といったことを
述べさせていただいたのですが、
今日はそのことについて
簡単に触れていきたいと思います。
■まず大前提として、
課税事業者が消費税の計算方法として
『原則課税方式』を採用している場合、
【売上で預かった消費税から、
経費などの支払いの際に支払った消費税を
差し引いた残額を税務署に納付する】
という仕組みですね。
しかしながら、2023年の10月の
インボイス制度が始まったのちは、
この経費の支払いに際して支払った消費税を
税務署に納付する消費税から
引いてもらう場合、
【その経費の支払い先の相手方が
インボイスの登録事業者であることが必要】
ということになります。
■そして、
このインボイスの登録事業者
であるためには、前提として
【消費税の課税事業者である必要がある】
ということに。
したがって、
【免税事業者については
インボイスの発行ができないため、
商品やサービスの提供先である相手方が
消費税の納付において損をしてしまう】
ということになるわけです。
■当然これは、
【原則課税により消費税を計算している】
という前提ですので、
【逆の『簡易課税制度』により
消費税を計算している場合には関係しない】
ということになります。
簡易課税の計算方法は
こちらをご参考ください。
(2016年の記事で、8%の消費税の前提で
記事を書いていますので、概要だけ…)
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2016/08/29/233638
そのように考えると、
たとえ『免税事業者である当社』の
『得意先が課税事業者』であったとしても、
【その得意先が簡易課税制度により
消費税を計算していれば、
その得意先にとってのダメージはない】
ということになりますよね。
■しかしながら、
消費税の上述した原理原則を
考えてもらいたいところなのですが、
消費税はその仕組み上、
【お客様から預かった消費税から
支払った消費税を差し引いた金額を
税務署に納付する仕組み】。
つまり免税事業者が
消費税分を得意先からもらい、
そのもらった消費税を税務署に納付せずに
自らの懐に入っていく
という状況は、
まっとうに消費税の計算をして
税務署に消費税を納付している
課税事業者にとっては、
どうも腑に落ちないこと
と考えられるのが一般的かというところ。
そのように考えると、
インボイス制度の発行を機に、
相手方が免税事業者であったり、
課税事業者であっても
簡易課税制度を採っている
などということにより
実際の消費税の納付額に影響がないとしても、
【免税事業者が消費税を上乗せして
請求していること自体が問題視されてくる】
ということが想定されます。
(あくまでも私見です。)
■したがって、
免税事業者の方については、
今の状況のように
【消費税を上乗せして請求する
ことが難しくなる】
ということになりそうですよね。
そうなると、選択肢としては、
【現状の免税事業者のままでいて、
10%上乗せしていた消費税を
今後上乗せしないこと】
または、
【課税事業者をあえて選択し、
税務署に消費税を納付する一方、
得意先に従来通り10%の消費税を
上乗せする方法】。
大きく分けると
この二つになろうかというところ。
■ざっくりしたお話ではありますが、
免税事業者にとっては
こういった過酷な制度がスタートする
ということなんですね。
そのように考えると、
このインボイス制度の実施は
2年後であるとは言え、
この2年前の現在からしっかりと
対策をしていく必要があるのでは
ないでしょうか。
【10%の消費税をカットする】
ということは、
あくまでもざっくり言えばですが、
【実質10%の値引きをする】
ということと同じ。
ただでさえ、
売上高が少ない状況の免税事業者が、
このような形で従来より10%の売上が
減ってしまうとしたら、
それはそれで大変なこと。
■そういった事情により、
しっかりとこのインボイスについては
綿密な準備を進めていくことが重要である
と言えます。
これについては、
今後私の方からもいろいろな情報提供を
していきたいと思っていますので、
そういった情報をもとに、
適切な対策を考えていくようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・インボイス制度により
実質的に大きなダメージを受けるのは、
課税事業者よりもむしろ
【免税事業者である】と言える。
・とは言え、消費税については
これを機に本来の原理原則の考え方が
実務の面でようやく一致するようにも
考えられる。
・そのように考えると、この原理原則に
大きな理解を示している課税事業者が、
【現在の免税事業者についての
消費税のあり方について疑問を持つ】
ということは避けられないように感じる。
・そのような事情から、
【免税事業者だからこそ、
インボイスについての適切な知識を持って、
最適な方法を模索して、
このインボイス制度に備えるべきである】
ということを心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。