2021年11月6日【現金出納帳】から発展した税務調査の末路
■「今日時点の現金の残高を
教えてもらえますか?」
帳簿を作成するにあたって、
【現金出納帳を付けていて、
実際の現金の残高を合わせている】
ということは往々にしてあるもの。
どうしても同族会社で
代表者やその家族しかいない状況であれば、
こういった
【現金を合わせる】
ということはされていないことも
あるのですが、
経理の担当者が社内にいて、
その担当者の方が現金を合わせている
ような状況であれば、
当然現金出納帳を作成していることも
あろうかと思います。
■どうしても、
家族経営の状況になると、
この現金については
【『プライベート』と『事業用』
とがごっちゃになってしまい、
なかなかその管理が難しい】
というもの。
しかしながら、経理や会計の状況を
明瞭にしていくためには、
【やはりこの現金の残高は
しっかりと合わせていく必要がある】
とも言えます。
■この現金出納帳については、
【実際の金庫や事業用の財布の中身と
この現金出納帳という会計帳簿の動きが
一致している状態】
である必要があります。
まずこのことを前提において
作成する必要があるのですが、
場合によっては、銀行の取引や
クレジットカードの取引を
この現金出納帳に記載している
ケースがありますので、
こういった点には注意が必要ですね。
あくまでも、財布の中の現金の動き
だけを現金出納帳に書いていく
ということになるわけです。
■状況によっては、
個人のクレジットカードを
法人の経費用に使用しているケースも
あろうかと思います。
しかしながら、
クレジットカードで決済した時点では
『現金』として考えない
(実際の現金は動いていない)ため、
【これは現金出納帳には記載しない】
ということになるわけです。
現金出納帳に記入するタイミングは、
【その個人のクレジットカードで
支払った経費を、
『実際に』事業用の財布から
その個人に支払った時】。
要は、
【個人が立て替えていたものを、
法人がその返金をし、精算した場合に
初めて実際の財布の現金が動く
ことになり、
そのタイミングで
現金出納帳に記入をしていく】
という流れになるわけですね。
■この、
【『実際の現金の動きと残高』、
そして『現金出納帳の動きと残高』
は一致することが大前提にある】
ことは、しっかりと
念頭に置いておきたいものです。
こういった
【経理が明瞭になっていく】
ということは経営にとっても
良いことですよね(^^)。
■しかしながら、
ここで冒頭のセリフに戻ります。
これは、
実際の税務調査の現場での一言。
この税務調査に入られた会社は
現金出納帳を付け、残高を合わせている
状況でした。
経理の担当者がいて
日々の現金の動きを出納帳に記載しており、
【この現金出納帳と
実際の現金の残高が合っている】
という状況だったんですね。
その『明瞭に現金を合わせている』
ということを税務調査官に話したところ、
「それでは、今の現金出納帳の残高と
実際の金庫の現金は合っていますか?」
ということで、
実際の金庫や現金の財布、
そして現金出納帳の残高を
その場で照合された
ということがありました。
■その調査においては、
その現金の残高と
現金出納帳の残高に相違があり、
これが税務調査において
揉める原因となった
という状況…
実際いろいろ調べられたところ、
【現金でもらっていた売上が
帳簿に記載されていなかった】
ということがわかり、
ここに焦点が当てられて
調査が進んでいったんですね。
結果として、過去にも同じことがあった
ことが判明し、その分についての
追徴課税がされるという結果に
終わりました。
これに関しては
【単なる現金出納帳への記入漏れ】
であったのですが、
【前日にその売上が上がっており、
たまたまこれを現金出納帳に
記入していなかった】
という状況…
■『現金出納帳を付けている』
ということは、こういった
税務調査の面においては、
裏目に出てしまう…
と言うと相当な語弊があるのですが、
実際は税務調査においても
注意しないといけないポイント
でもあります。
『現金出納帳』を付けるからには、
【しっかりとその現金の残高を
合わせていく】
ということ。
これはかなり重要なんですね。
■というわけで今日は、
『現金出納帳』についての
注意すべき点について
お話をさせていただきました。
実際の経理の現場と、税務調査の際は、
こういった注意点も念頭において、
その経理実務をする必要がある
とも言えます。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・『現金出納帳』は、
【事業用財布の現金や金庫の現金の
動きと一致している】
ことが前提にあるもの。
・『現金出納帳』を付けるからには、
【実際の現金の残高を合わせていく
必要がある】
と言える。
・特に注意をしたいのが、
【税務調査の現場で、
『現金出納帳』と『実際の現金の有高』
を確認されることがある】
ということ。
『税務調査を前提に現金を合わせる』
というものでもないが、
事実として税務調査の現場において、
【現金出納帳との差異を指摘される】
ことがあるということは、
念頭に置いておくべきであると言える。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。