2022年2月7日【営業利益】は『本業での儲け』
■「本業の利益は何とかプラスに
持っていきたいですね。」
顧問のお客様とのご面談の中で、
最終的な決算の打ち合わせにおいて
上記のようなお話になることがあります。
何のことかと言えば、
【損益計算書】
に関することなんですね。
『損益計算書』は
【その事業年度の経営成績】
が反映されるもので、
【金融機関の評価上や
外部取引先の信頼関係上、
何とか良い状況を反映したい】
というもの。
その中で今日は、
【損益計算書の要素】
についてのことを
お話ししていくことにいたします。
■損益計算書で
まず第一に上がってくるのが
【売上高】
ですね。
そしてその売上高の直後に
【売上原価】
という項目があります。
売上原価の中身としては、
【売上に直結する仕入高や外注費】
などです。
売上と連動して増減する経費
というイメージ。
その他、製造業や建設業であれば、
【その製造や建設の現場で
直接売上に関わってくる経費】
(これを『製造原価』や『工事原価』
と言います)
が乗ってくることになるのですが、
この売上から
原価を差し引いた利益を
【売上総利益】
と呼びます。
そしてそこから
『販売費及び一般管理費』
を引いてその結果出てくる利益が
【営業利益】
というもの。
■その後も
『経常利益』、『税引前当期純利益』
『当期純利益』
…といった形で続いていくわけですが、
その中で特に重要視されるのが
【営業利益】
であると言えます。
結果としての利益は
税引前当期純利益から
法人税などの税金を差し引いた結果の
『当期純利益』。
もちろん、この最終的な
当期純利益をプラスに持っていくこと
はベストなことなのですが、
もしそれが叶わなかった場合、
その次に重視されるのが
【営業利益】
なんですね。
■というのも
『営業利益』は、
【売上から原価を引いた
その商品やサービスの利益から、
会社経営において通常かかってくる
『販売費及び一般管理費』
といった経費を差し引いた結果の利益】
となりますので、
【通常の会社の本業において儲けた利益】
ということになるわけです。
そのように考えると、
【この会社の本業である営業利益が
マイナスである】
ということはどうしても
心証としてよろしくないということに。
金融機関の評価においても、
結果としての最終利益が
マイナスであったとしても、
【営業利益がプラスである】
ということはそれなりの評価に繋がる
というものです。
■そんな中で考えたいのが、
【経費になっているものを
極力経費にしないことにより
営業利益はプラスになっていく】
ということ。
したがって、
【経費からマイナスできるものはないか】
ということを考えたいものです。
例えば、新商品の開発に要した経費が
この『販売費及び一般管理費』
に上がっているとしたら、
これを『開発費』という
資産の科目に持っていくこと
も良いかもしれませんし、
『減価償却費』が
多額に上がっているとして、
実際の耐用年数が税務署が定めている
法定耐用年数より長いとしたら、
あえて法定耐用年数で
多くの減価償却費を計上するのではなく、
【実際の耐用年数を用いて
減価償却費を少なめにしていく】
というのも一つの方法。
耐用年数が長くなると、
その分経費になるのが遅くなるんですね。
■そのように、
イメージとしては
【『経費』から
『資産』の科目に持っていく】
ということを念頭において、
この損益計算書を作っていく
というのも一つの有用な策である
と言えます。
これを、売上高を水増ししたり、
在庫を水増ししたりすることにより、
また経費であるにも関わらず
『仮払金』などの何の根拠もない
資産の科目に振替えることは、
【粉飾決算】
と言われるものとなり、
『犯罪行為』とも言えます。
当然そのような粉飾の状態にするのは
全くもってのNGなのですが、
【考えられる範囲で
経費を資産に振り替えていく】
ということは有用な策ですので、
金融機関に対する決算書の提出の際には、
こういった点に注意して
その数字を組み立てられてみては
いかがでしょうか。
■いずれにせよ、
そういった数字を作っていく
背景にあるのは、
【明瞭な会計処理】
であると言えます。
どうしても『どんぶり勘定』
となってしまっていては、
経営成績の実態が見えなくもありますので、
まずは
【そういった要素がないか】
を十分チェックして、
適正な数字を作るとともに、
外部から信頼されるような
決算書の作成を目指していきたい
ものですね。
------------------
《本日の微粒子企業の心構え》
・『損益計算書』は、
【その事業年度の経営成績を表すもの】
である。
・その中でも重視されるのが
本業の儲けを示す
【営業利益】。
・結果の利益が
マイナスであったとしても、
【営業利益が最低限プラスである】
ということは、
外部との信頼関係を構築する上で
望ましいことであると言える。
・この営業利益をプラスに持っていくために
【『販売費および一般管理費』
に計上されている経費を
『資産』に振り替えていくことを検討する】
ことは有用な策の一つである。
・【粉飾】をしてしまうことは
当然犯罪行為であるが、こういった
【経営の状況の実態に合わせて、
適切に経費を資産に振り替えていく処理は
適法で、なおかつ効果の高いものである】
ということを心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。