2022年3月7日【税金の前払い】を意識した納税イメージを
■「今年は税金こんなもんなんですね。」
法人の決算や確定申告のご説明の際、
【思いのほか税金が安くなっている】
ということが少なからずあります。
当然、その説明時に
そのことが分かるのではなく、
顧問のお客様については
『決算対策』や『節税対策』の際に
そのようなお話をさせていただいては
いるのですが、
往々にしてそのようなことがある
ということなんですね。
ただ、
【実際にはそこまで昨年と
利益は変わっていない】
という状況だとしたらどうでしょう。
■では、
『利益が変わっていないのに、
確定申告や法人の決算の際に
納税が少なくなっている状況』
というのはどのようなことなのでしょうか。
それは、
【予定納税】
というものに起因しています。
『予定納税』とは、
【前期または前年度の法人税や所得税、
消費税などの税額を基準にして、
一定額を超える税額であれば、
その翌年度の半年経った時点で
ざっくりとその前年分の半年分を
前払いする】
という制度なんですね。
所得税や消費税については、
その状況に応じて前払いする
回数と金額が変わるのですが、
【前年分の税額をもとに
今年度に前払いをする】
という点では同じというものです。
■上述した、
【昨年とそこまで利益は
変わっていないのに
今年の納税が少なくなった状況】
を考えてみましょう。
それはつまり、
所得税や法人税について、
前年大きく利益が上がり納税が出ていて、
その多く出た納税に対しての
前払いを当期または今年にしている状況
ですので、
【その確定申告や決算の際は、
年間の税額からその前払いをした税金
(これを『予定納税』と言います)
を引いた金額を税務署に納付する】
という仕組みの結果なんですね。
したがって、そのように考えると、
【今年度の納税については
前年度の半分で済んでいる】
ということになるわけです。
当然、中間時点でその半分を
支払っていることから
トータルの年税額は変わらないのですが、
「痛税感としては少なくなったなぁ」
という感じがするものなんですね。
■そこから続く話として、
『前年度大きく利益が上がり、
今年度は利益が少なかったり
マイナスだったりした場合』
を考えてみましょう。
すると、前年度については
大きく納税が出ていましたので、
今年度はその『前払い』
をすることになります。
しかしながら蓋を開いてみると、
今年度については
『利益が上がっていない状況』なので、
場合によっては
【その前払いした税金を下回る年税額】
ということも考えられますよね。
そうなると、
【その前払いした税金が返ってくる】
ということになるわけです。
そうすると、
『税金を支払う』というよりも
『還付』されるわけですので、
【その年度については
ちょっとした満足感を得られる】
というものでしょう。
■しかしながら、
『その翌年度に
大きな利益が上がった場合』
を考えるとどうでしょう。
当然今年度については、
利益が出ない位でしたので
【その翌年度の前払いの税金はない】
という状況。
そのような状況から考えると、
【来年大きく利益が上がった場合は、
その大きく利益が上がった状況に対しての
税金がかかってくる】
わけですので、その年間の税額も
大きなものとなります。
しかしながら、『中間の納税』
をしていないため、
【その年間の税額を全額
決算や確定申告の際に
納付しなければならない】
ということなんですね。
そうなると、
【相当税金の負担を重く感じる】
というものです。
■上述してきたように、
『予定納税』については、
【トータルの年税額は変わらないものの、
確定申告や決算においての
納税の負担が大きく変わってくる要因】
であるものと言えます。
したがって、決算や確定申告においての
納税額を考える際は、この
【予定納税】
をしっかりと視野においた上で、
その対策をしていくようにしたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・前年度の税額が一定額を超えると、
『所得税・消費税・法人税等』については
その翌年において
【税金の前払い】
が必要となる。
・この『税金の前払い』を
【予定納税】というわけであるが、
決算や確定申告の際に
年間の税額を計算する際は、
【この予定納税の額を差し引いて
税務署に納付する税額を計算する】
こととなる。
・『予定納税』は
【利益が大きく出た翌年】
は発生するものの、
【利益が出なかった年の翌年】
については出てこないため、
その決算や確定申告の際の税負担は
十分に念頭において、
その納税資金の対策を心がけるべきである
と言える。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。