2022年3月19日俗に言う【黒字倒産】を避けるには
■「仕入代金の支払いが厳しいんです。」
顧問契約の前には、必ず
税務相談や経営相談を
させていただくことになるわけですが、
その中で少なからず話題に上るのが
【資金繰り】
について。
そして、
【帳簿上利益が上がっているにも
かかわらず、お金がない】
という状況に陥っていることもまた
よくあることなんですね。
俗に言う
【黒字倒産】
というものは、もしかすると
あなたも聞いたことがあるかもしれません。
『黒字倒産』とは簡単に言えば、
【帳簿上利益が上がって
黒字であるにもかかわらず、
資金不足の状態で倒産をしてしまう】
ということ。
■よくあるのが
『建設業』などの例でしょうか。
一般的な建設業の下請けとなると、
その売上代金は『受取手形』などで、
【最短でもその入金が3ヶ月後】
という状況が少なくありません。
しかしながら、
『外注費や材料費の支払いは』と言えば、
先方に協力してもらったところで、
【長くて2ヶ月後】
というところではないかというところ。
逆に2ヶ月も先であれば
まだ良いのですが、
【通常は月末締めの翌月払い】
などというケースが多いんですね。
■上述したように、
『受取手形の入金が3ヶ月後であり、
外注費や仕入代金の支払いが、
うまくいったとして2ヶ月後』
となった状況考えると、
【外注費や仕入の支払いが
売上の入金に先駆けて1ヶ月先行する】
という状況。
そのような状況だと、
【売上がない状況で
支払が先行してしまう】
ため、資金繰りを考えると
大変厳しい状態となってくる
というもの。
■もちろん、
銀行融資などにより、
その1ヶ月分の資金
(これを『運転資金』と言います)
を調達できればまだ良いのですが、
もしそのような資金がない状況で
このような『受取手形』で
決済をしてもらっている状況では、
【資金ショートの危険がある】
ということが言えます。
場合によっては、
その得意先が『手形の不渡り』
などという状況になってしまえば、
【本来3ヶ月後に回収できるはずの
売上代金が回収できない】
ということに。
そうなると、
【経営はあっという間に
立ち行かなくなる】
というものでしょう。
これが黒字倒産の典型的なお話
なんですね。
■また、
こういった
経営上の資金繰りの面は、
【そのビジネスをスタートする段階】
である程度クリアにしておかなければ
なりません。
基本的な考えとしては、
【先行して出ていくお金がない】
という状況を作ること。
それに加え、
【入金は極力早い段階で】
ということもまた重要です。
場合によっては、
【得意先に前金で代金をいただく】
ということも一つの手かもしれませんし、
仕入先や外注先に対しては、
当然先方の迷惑にならない程度に、
信頼関係を失わない程度に…
というのが大前提なのですが、
【その支払いを、
極力先延ばしにさせていただく】
ということもまた検討したいところ。
■上述したように、
『資金繰り』を考える前に、
【まず人間関係があっての経営】
でもありますので、
【常識を超えた
無理なお願いは禁物である】
とも言えます。
しかしながら、交渉して通るような
お願いごとを、『しないまま』で
資金繰りが悪化しているようでは、
それは経営において
本末転倒であるのではないでしょうか。
【極力、売上代金は前もっていただき、
経費の支払いは極力先延ばしにすること】。
こういった点を念頭において
資金繰りを考えると、
意外とあっさりその問題が解決する
ということも少なくありません。
■しかしながら、
こういったことを決めずして
経営を進めてしまって、
その後にそのような打診をしたとしても、
なかなか従来のものを変えてもらう
ということが難しい面も考えられます。
したがって、
経営をスタートする前から、
経営における展望とともに、
【現実的な資金繰りの対策】
も検討しておくことが重要である
と言えます。
新規のビジネスをスタートする際には、
上述してきたようなことを念頭において、
その経営の思索をするようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・俗に言う『黒字倒産』とは、
【帳簿上利益が上がっているにも
かかわらず、資金繰りに窮してしまい、
結果として倒産してしまう状況】
であると言える。
・『資金繰り』においての基本的な考えは、
【入金は早めに、支払いは遅めに】
ということ。
・そのような交渉を
【新規のビジネスを
スタートする段階ですること】
が経営においては重要であると言える。
しかしながらその一方で、
【人と人との信頼関係があっての経営】
という面も念頭において、
バランスをとりながら
上述してきたような資金繰りの検討を
していきたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。