2022年4月4日同じ利益でも消費税の納税が増えることも
■最近になって、
税務相談の中でも『副業』
に関するものが多くなってきました。
やはりこのコロナ禍の状況において、
【本業とも言えるサラリーマンの給料が
大きく減少している】
ということは往々にして見受けられること。
そんな中、
【生活をしていくため、または、
自分自身のやりたいことを
形にしていくために副業をする】
ということはもはや珍しくなくなって
きているような感じすらしますね。
今日はその『副業についての消費税のこと』
についてお話を進めていきたいと思います。
■確定申告においては、
【売上から経費を引いた利益(所得)】
に対して『所得税』と『住民税』、
そして『事業税』がかかってくるのですが、
消費税の考えにおいては、
これが少し違ってくることになります。
仮にですが、いわゆる『紹介料』
などとして『年間300万円の売上』
をもらったとしましょう。
『紹介料』ですので、
ここでは単純明快に
【経費はないもの】
として考えます。
すると『売上も300万円』
『利益も300万円』となりますよね。
■その一方で、
『物品販売業』を副業として
やっている場合を考えてみましょう。
物販においては『仕入』のほか
場合によっては『いろいろな経費』
がかかることが考えられます。
その結果、1,200万円の売上に対して、
経費が900万円かかったとすると、
これも『利益が300万円』。
紹介業であれ、物販であれ、
同じ『300万円の所得』ですので、
上述した『所得税』や『住民税』、
『事業税』については
同じことになりますよね。
■しかしながら、
『消費税』についてはどうでしょう。
消費税については、
【前々年の課税売上高が
1千万円を超える事業者は
その年において消費税の課税事業者】
となってきます。
<2021.9.2売上高が1千万円前後の
自己判断は危険>
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2021/09/02/061033?_ga=2.33268542.1465616803.1649021649-1218984281.1647465190
<2018.5.10今年は消費税を納めなくて
大丈夫ですか?納税義務の判定のお話。>
https://muratax.com/2018/05/10/695/
仮に、上述した例でいくと、
紹介業の方は300万円の売上ですので
売上高は『1千万円以下』。
したがって、
【翌々年度においても免税事業者】
ですよね。
しかしながら、物販の例でいくと、
『1,200万円の売上』になっていますので、
【その翌々年度は
消費税の課税事業者となる】
ということに注意が必要なのです。
■当然、
『消費税の課税事業者』ですので、
原則として
【税務署には預かった消費税から
支払った消費税の差額を納付する】
必要があります。
極端な話でいけば、『売上高が1,200万円』、
『経費が1,200万円』かかっているとしたら、
【所得はゼロ】
となりますので、
【サラリーマンにおける副業で、
年間所得が20万円以下は確定申告不要】
というルールに該当しますので、
【原則として確定申告は不要】
となります。
■しかしながら、
消費税の判定においては
『売上高』で判定しますので、
やはり
【その翌々年については
消費税の課税事業者となる】
ということなんですね。
そして消費税の計算は上述したように
【売上で預かった消費税から
経費で支払った消費税をマイナス】
しますので、
【上述した経費1,200万円のうち
経費で支払った消費税分しか
差し引くことができない】
ということ。
経費であっても例えば
『住宅の家賃は非課税』であり、
この非課税分は支払った消費税に
含まれないんですね。
したがって、通常の場合
【原則として税務署に
消費税を納付する必要が出てくる】
ということになるわけです。
■『副業』と言えども、
【売上自体が大きくなる】
という業種も少なからず
あるのではないかと思います。
そんな際に注意すべきなのが
この『消費税』のお話なんですね。
したがって、
【売上高が1千万円を超えそうかどうか】
という状況になったら、忘れることなく
この『消費税』の論点を考慮して、
その副業の申告の仕方も
上手にしていきたいものです。
■税務相談に見えられるお客様の中でも、
【このお話を知らずに
申告をしないままになっており、
結構危ない状態になっていた】
ということもありました。
【取引額が大きくなってくるほど、
税務上で見えない論点もたくさんある】
という事実もまたあります。
このようなケースにおいては
【早めに専門家に税務相談や
経営相談をするようにすること】
を強くオススメいたします。
------------------
《本日の微粒子企業の心構え》
・『副業』においては、場合によっては
【売上高が1千万円を超える
規模になること】
も予想される。
・結果としての利益は変わらないにしても、
売上高が『1千万円』を超えている
状況であれば、
【消費税の問題】
が想定される。
・したがって、
【1千万円を超えそうかどうか】
という判断は早めにするとともに、
もし超えそうであれば、
【極力早い段階で、今後その事業自体を
どのようにしていくか】
ということも視野において
その副業の仕方を検討するべきである
と言える。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。