2022年4月14日節税だけではない!【財務諸表の魅せ方】
■以前の記事の中で、
【金融機関の評価の際に、
『貸借対照表』と『損益計算書』
の見え方が重要である】
ということをお話しさせていただきました。
この貸借対照表と損益計算書のこと
(正確には他にもあるのですが)を
『財務諸表』と呼ぶのですが、
今日もそれに続けていきます。
■今日は、
『損益計算書』についてのお話を
もう少し深掘りしていきますね。
企業の経営成績はまず
売上高から売上原価を引いて
『売上総利益』が算出され、
その後に『販売費及び一般管理費』
が乗ってきて、
その『売上総利益』から
『販売費及び一般管理費』
を引いたものが
【営業利益】
となります。
■この、
『営業利益』というものが
何より大事で、これは
【本業において儲けているかどうか】
ということを表す数字なんですね。
この後に金融機関の利息などの
『受取利息』、
その他の『雑収入』などが計上された
『営業外収益』が来て、
その後に金融機関の借入に対する
『支払利息』だとか、
その他の本来の営業以外の経費である
『営業外費用』を
プラスマイナスした結果、
【経常利益】
が算出され、
そのさらに下には臨時的な
利益や損失を計上する
『特別利益』と『特別損失』
が計上され、その結果
【税引前当期純利益】
が算出されるという流れ。
そこからさらに『法人税等』を引いて、
その結果が
【最終的な当期純利益となる】
という仕組みですね。
■上述したように、
【その企業が儲けているかどうか】
ということは、一般的に
【『営業利益』がプラスになって
いるかどうか】
により判断をされます。
当然、結果として
「利益なのか損失なのか」
を見るのも重要なのですが、
何より
【本業で儲けているかどうか】
ということを考えることが大切である
ということが、
想像が付くのではないでしょうか。
したがって、
【いかにして営業利益を
プラスに持っていくか】
ということが重要なんですね。
■例えば、
法人の節税に用いられる、
【自宅を法人の社宅にして節税をする】
という手法があるのですが、
<2021.6.24役員報酬決定の際の
社宅家賃の検討>
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2021/06/24/060040
その会計処理はどのように
されているでしょうか。
当然、会社の持ち物ですので
『地代家賃』としての
経費が出るのと同時に、
そこに住んでいる役員や従業員から
家賃を徴収した際は、
一般的には『雑収入』として
計上しているのではないでしょうか。
しかしながら、
『地代家賃』は通常
【販売費及び一般管理費】
に計上され、
『家賃の収入』に関しては
【営業外収益】
としての雑収入に計上される
ということになっています。
■そうなると、
家賃を払った方は、
【本業の利益が減る要素】
となっており、
逆に家賃を徴収して
法人の収益となっている部分は
【営業外の部分として計上されている】
という状況。
これは、何だか辻褄が合わないですよね。
そのように考えると、
この法人社宅の家賃を
【営業外費用】
に持っていくのか、または、
『営業外収益』として
計上している雑収入を
【販売費及び一般管理費に計上される
地代家賃のマイナス】
として計上するのか。
【そのいずれかにより、
営業利益が改善する】
ということなんですね。
■もう一つ例を挙げましょう。
『事前確定届出給与』として、
役員に対する役員報酬を事前の申請により
支給することができるのですが、
<2021.12.25役員報酬とセットで
【社会保険料も検討】する>
https://muratax.com/2021/12/25/4741/
これはどのように
処理をしているでしょうか。
一般的には、
【販売費及び一般管理費に属する
役員報酬】
に含めて処理しているのではないか
と思います。
しかしながら、(これは少々複雑な
お話になりますのであえて割愛しますが)、
これは『臨時的な損失』として
【特別損失】
の項目に計上することも
検討できるのではないか
というところ。
往々にして『役員賞与』は
その額も大きくなることから、
【販売費及び一般管理費の
役員報酬が多額になる】
ことが考えられます。
そうなると、大きく本業の利益である
『営業利益』を圧迫してしまいますよね。
そうならないためにも、
【特別損失に持っていく】
というのは金融機関の評価においては
有用な手法である
と言えます。
■上述してきたのは、
二つの事例なのですが、
その他にも
【考えようによっては
貸借対照表や損益計算書を改善する
手立てがある】
というもの。
どうしても、節税だけに目が行くと、
【どの部分に項目を持っていくか】
ということが
見えなくなってしまうのですが、
あえてこのようなことを念頭において
その表示項目を変えることにより、
【思わぬ形で数字の見え方が改善する】
というものです。
■『節税』も大切ですが、
経営の拡大においては、
場合によっては、
【融資を前提とした金融機関の評価】
も大変重要となります。
したがって、『金融機関の融資』
も念頭において、
【見栄えの良い決算書を作ること】
も考えるようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・『節税』においては関係しないものの、
『融資』においては
『金融機関の評価』において、
【貸借対照表と損益計算書の
見え方(魅せ方)】
が大変重要であると言える。
・まず考えたいのが
【損益計算書の表示箇所】
について。
通常の会計処理で計上される項目は
決まっているものの、
【その経営の状況をしっかりと加味して、
適切な箇所にその表示項目の移動を
することにより、
思わぬ形で数字の見栄えが
良くなることがある】
ということを心得ておくべし。
・経営の拡大においては、『節税』
というよりも場合によっては
【融資】
が必要となる局面も少なからず
見受けられるため、
上述してきたことを念頭において、
的確にその【融資対策】もしていきたい
ものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。