2022年5月7日【簡易課税で税抜経理】の場合の注意すべき点
■『消費税のインボイス制度』について、
以前の記事でもいろいろと述べさせて
いただいてきてはいるのですが、
その開始も1年半後ほどに
迫ってきました。
その中で今日は、
インボイスに限定される
お話ではないのですが、
『消費税の簡易課税制度』
を選択している場合についての
お話をしていきたいと思います。
■消費税の計算方法については、
以前の記事に委ねますが、
<2021.4.10消費税の計算方法の決定は、
くれぐれも慎重に!>
https://note.com/muratax/n/ne52f446efcfc
消費税の経理方法については
『課税事業者』の場合、
【税込経理か税抜経理か】
を選ぶことができます。
消費税は、
【お客様から預かった消費税と
経費などの支払いの際に支払った
消費税の差額を税務署に納付する】
という『預り金』的な
性質を有することを考えると、
税込にして消費税まで
一緒くたにしてしまい経理をするよりも、
【税抜経理をして
消費税の預かりと支払いを区別する】
という方が健全なように
私は感じています。
■消費税を
【預り金】
として考える場合、
お客様からお預かりした消費税は
【仮受消費税】、
支払った消費税は
【仮払消費税】
という勘定科目にて処理されることに。
『原則課税』の場合、
【その仮受と仮払の差額が
納付すべき消費税になる】
ということなんですね。
■その一方で、
『簡易課税』については、
支払った消費税は考慮しませんので、
仮受消費税だけを参考に
その消費税が計算されます。
そして、簡易課税制度を
あえて選択している状況ですので、
通常の場合、
【原則課税に比べ、
支払う消費税が少なくなっている】
という状況でしょう。
そうなると、
【仮受消費税より
仮払消費税の方が多くなっている】
という状況が想定されます。
■では、
その多くなっている差額は
どのように考えるのでしょう。
【原則課税より納付する消費税より、
簡易課税により納付する消費税の方が
少なくなっている】
ということから、
その少なくなっている部分を
消費税においては
【収益】
と考えていくことに。
そうなると仮払消費税と
仮受消費税、そして簡易課税により
納付する消費税との差額が
【雑収入】
といった『収益』として計上される
ということになるわけです。
■特に、
仕入のない『サービス業』
などの場合、
この雑収入の金額が
大きくなることが想定されます。
したがって、納税の試算などの際に、
【この雑収入部分を適切に把握し、
それを会計帳簿に表すとともに、
法人税などの納税額の試算をする
必要がある】
ということなんですね。
これが『簡易課税で税抜経理』
を選択している場合に
注意すべきことである
と言えます。
■ちなみに、
『税込経理』で経理をしている場合、
税務署に納付する消費税は最終的に
【租税公課】
として経費処理される
ということになります。
期中は利益が大きく見えるものの、
期末において『租税公課』
という経費が計上されますので、
【結果としては変わらない】
ということに。
しかしながら、
『資産の購入』など
【経費以外の仮払消費税が出ると、
利益の数字も変わってくる】
という特徴が税抜経理と
税込経理の間にはあります。
しかしながら、
それは本筋ではないので
今回の記事からは
割愛させていただきます。
ご興味があれば、
以前の記事をご参照ください。
<2016.11.1消費税の会計処理で
ソンしていませんか?②>
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2016/11/01/234200
■ということで今日は、
『簡易課税で税抜経理』の場合において
注意すべき点について述べてきました。
この『簡易課税で税抜経理』の場合は、
【消費税の浮いた部分について
『雑収入』という収益計上がされ
税金がかかってくる】
ということに十分注意し、
納税の試算などをしたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・消費税の計算方法には
【原則課税】と【簡易課税】
の2種類があり、
その経理方法には、
【税込経理】と【税抜経理】
の2種類があるものと心得ておくべし。
・『簡易課税で税抜経理』の場合は、
原則課税に比べて
消費税が少なく済んだ分の儲けが
【雑収入】
として計上される。
・したがって、納税の試算などの際は、
この【雑収入】も予測し、
適切な試算をするとともに、
会計処理にも適切に反映させる必要が
あることを心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。