2022年8月8日【副業における確定申告】にメスが入りました!
■最近の事ですが、
副業について大きなメスが入りました。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239212
従来副業については、
事業所得で申告するのか、
または雑所得で申告するのか
ということで、
その区分がかなり曖昧だったものの、
今回の改正で、ある程度の方向性が
決まりそうです。
■副業が事業所得が雑所得かと
いうことを検討するにあたり、
少なからぬ場合、
【売上高を根拠にして】
その区分けをしていたんですね。
そしてこれが税理士によっても、
また税務調査に来る調査官によっても、
その判断はバラバラであり、
実際のところ私自身も、
すごくモヤモヤした気持ちで、
副業の事業所得の申告をしている
という状況もあります。
■ここに書いていることによれば、
この事業所得か雑所得かの判定は、
その所得がその人の主たる所得
(簡単に言えば副業)ではなく、
なおかつ、
その『収入金額が300万円以下』
である場合、
これは「雑所得と取り扱って差し支えない」
という言い回しになっています。
これでも私なりに
簡略化して記述したのですが、
なんとも歯切れの悪い文章ですよね。
■これは『通達』と呼ばれるもので、
いわゆる所得税法という
法律とは区分されるもの
なんですね。
今日は法律ではないため、
法律ほどの強制力はないもの。
とは言え、
法律に準ずるものであるものでは
ありますので、
これを全く無視するわけにはいかない
というところ。
■そして、ここにはその続きがあり、
「特に反証のない限り」という
注釈とも言えるものが
付記されています。
「特に反証のない限り」というのは、
納税者…つまり私たちからの反論
がない場合、雑所得としますよ、
ということなんですね。
逆に言えば、
何らかの合理的な根拠に基づく
反論をすれば、
必ずしも300万円以下の収入であっても、
これを事業所得と見られることも
考えられるということに。
■実際のところ、
300万円以下であっても、
客観的に見て、これは本気の事業だな
という解釈ができるケースもありますし、
場合によっては、
たとえ300万円を超えていたとしても、
その取引件数がごく少ないもの
であることから、
これは本気の事業とは言えないよね、
ということもあり得るわけです。
■あえて「本気」という言葉を
使いましたが、
結局のところ、
事業所得と雑所得の違いは、
本気で事業に取り組んでいるか
といったことに起因するように
私自身は感じているところ。
実際に、税務調査の現場においても、
この「本気で」ということが
調査官に伝われば、
この副業の論点に関しては、
認められることも少なからず
あるのではないかという
気がしています。
■いずれにせよ、
今回の通達において、
副業においての方向性が
ある程度見えたことは
否定できないでしょう。
まず第一関門として、
この300万円の収入というのが、
実際のところ、
大きなハードルとなりそうです。
■それにしても、なぜこのような
改正が入ったのでしょう。
それは事業所得として申告をすれば、
仮に赤字となった場合、
給与所得の所得(つまり儲け)と
そのプラスとマイナスを相殺でき、
給料から源泉徴収されている所得税を
還付してもらうことができるんですね。
そして、住民税も減税となることに。
これが雑所得となると、
マイナスの相殺はきかなくなる
というわけです。
実際のところ、
ありえない話なのですが、
実体のない副業をしているような申告をし、
所得税の還付を受けさせるという
業者のスキームが横行している
ということも背景にありそうです。
私のお客様にはもちろん
そのような方はいらっしゃらないのですが、
そのようなスキームを使っている人
については、
今回の改正は痛いところなのかも
しれませんね。
(社会通念上はありえない話ですが…)
■また、事業所得と認められないとしたら、
事業所得の場合に選択することができる、
青色申告も選択することができないため、
その青色申告の最大の得点である、
65万円の控除(つまり経費)
が認められない
ということにもなります。
それなりの規模感で
申告をしている人にとっては、
この青色申告特別控除が
認められないことは、
なかなか痛いことである
と言えるでしょう。
何はともあれ、
今後は副業に関しての申告にあたり、
上述してきたようなことに注意して、
慎重にその判断をしていきたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・副業に関して、
税務上の大きな改正が入った。
・内容としては300円以下の
収入であれば、
副業としての事業所得とみなさない
という改正である。
・しかしながら、合理的な根拠を持って
これに対して反論をすれば、
たとえ300円以下の収入であっても、
事業所得として認められる可能性は
あるものと心得ておくべし。
・税務の世界において大切なのは、
名目だけではなく、
「実体」であると言える。
・適切にその税務的な判断をし、
合理的な解釈を持って、
場合によっては理論武装をし、
税務申告を心がけたいものである。
今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。