2023年9月17日インボイスでは【当方負担の振込手数料】に要注意!
今日はいつの間にか日曜日。
今週はコロナの余波で体力が回復しきれない
状況が続いていたように感じています。
そして、まだまだ体力が戻り切れて
いないのですが、
まず睡眠を第一、健康を第一に、
規則正しい生活を心掛けつつ、
通常の経営モードに戻していきたいところです。
さて、本題です。
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■先日の記事の中でインボイス制度の
細かい点についてお話をしてまいりました。
<2023.9.15インボイスの【2割特例】に
ついての誤解>
https://muratax.com/2023/09/15/6927/
今日もそのことに続いて、
少し細かい点ではあるのですが、
【実務上結構起こりうる取引について】
のお話をしていきたいと思います。
■今日のテーマは、
【振込手数料と売掛金を相殺】
した際のお話です。
先方との関係上、売上の請求書を発行して、
得意先に振込をしていただく際、
慣習として
【先方が本来負担すべき振込手数料分を
差し引いて入金される】
というケースがあるかと思います。
そのような際、どのような会計処理を
しているのでしょうか。
■弊所に関しては、先方が負担すべき
振込手数料をこちらが負担する際になった際は、
『支払手数料』で処理をしている状況。
支払手数料に関しては、
消費税の経費の分類でいえば、
『課税仕入れ』というものに該当します。
結局のところ、売上は課税売上げとして
【得意先から預かった消費税として認識】
をし、支払手数料に関しては
課税仕入れとして、
【経費を支払った際の消費税として認識】
をするわけですね。
■しかしながら、このルールが
【インボイス制度の創設により
大きく変わってくる】
ことには要注意です。
原則として、この振込手数料分に関しては、
『値引き』をしたものと考えられ、
その値引きに関しては原則として、
【インボイス制度上は返還をした
証明書が必要】
なんですね。
■具体的には、
『適格返還請求書』という書類なのですが、
この適格返還請求書がないと、
【税務署に納付する消費税から、
この振込手数料分の消費税を
差し引くことができない】
ということになってしまうわけです。
そして、適格返還請求書については、
少額のものとして
【振込手数料の税込金額が1万円未満
の場合は、この適格返還請求書交付が
免除される】
ということに。
そのことから考えると、
振込手数料の負担が1万円を超える
ということは通常あり得ませんので、
原則としてインボイスのことについては、
この振込手数料に関することは特に
考える必要はないものと、捉えられそうです。
■しかしながら、ここで問題になるのが、
上述した支払手数料での処理は、
『課税仕入れ』として
【支払った際の消費税】
として認識をすることになるんですね。
裏を返せば、これは『値引き』
という概念にはなっていないため、
適格返還請求書の分類にさえ
ひっかからないということに。
そうなるとこの振込手数料を
支払手数料として処理した場合は、
【先方からのインボイスが必要になる】
ということなんですね。
ではどのようにしてこれを値引き
という概念にするかというと、
【『売上値引』という勘定科目で処理を
するようにしたら良い】
ということになります。
■売上値引で処理をすれば、
一般的な会計ソフトに関しては、
『売上に係る対価の返還等』という
消費税の分類がされますので、
(専門用語でスミマセン・・・)
これが上述した
【適格返還請求書の対象となる
『値引き』の取引に該当する】
ことになるんですね。
そういった売上値引として処理
をすることにより初めて、
【適格返還請求書の交付が免除される】
ということになるわけです。
会計処理自体は、ちょっとしたこと
ではあるのですが、
こういった細かい点を理解しないまま
支払手数料として処理をしている状況では、
【消費税の申告を間違ってしまう】
ことになってしまうでしょう。
■また会計処理として、
支払手数料としての処理をするものの、
上述した売上に係る対価の返還等という
消費税の区分で分類をすることにより、
その場合でも
【消費税法上の売上値引として
考えることが可能】
となります。
しかしながら、会計ソフトを入力した際は、
通常支払手数料は『課税仕入れ』として分類
されますので、ミスに繋げないためにも、
【勘定科目は売上値引として処理をする】
のが無難です。
■というわけで今日は、
少々細かいお話ではありますが、
【先方が負担すべき振込手数料について】
のお話をしてまいりました。
【インボイス制度はこういった微細な
内容が案外散りばめられている】
ところがあります。
そのようなことから、
適切にインボイス制度を理解して、
正しい会計処理と消費税の申告を
していくようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・先方が負担すべき振込手数料を
当方が負担した場合に関しては、
【税込金額が1万円未満の場合には、
適格返還請求書の交付が免除される】
ということになる。
・一般的にこういった振込手数料は、
【支払手数料として処理をされるもの】
であるが、その会計処理をしてしまうと、
上述した
【適格返還請求書の分類に該当しない】
ため要注意である。
・したがって、上述してきた
適格返還請求書の要件に該当するために、
【先方が負担すべき振込手数料は
『売上値引』として処理】
をし、消費税の申告を正しいものにする
ことを心掛けたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。