2023年9月27日【小規模企業共済と倒産防止共済(経営セーフティ共済)の違い】について
昨日はお昼に女性版TEAM MURATAXを、
夜は全体版TEAM MURATAXを開催しました。
各4名のご参加で、今回はかなり少人数でしたが、
その分濃い話を楽しむことができました。
各回6名マックス位で開催できると
良いのかなという感覚があり、
もうあえて少し開催頻度を詰めることを
考えても良いかなということを考えています。
このあたりは仮設&検証が必要ですね。
さて、本題です。
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■ここ最近は
【個人事業主の方からの
税務相談が増えている】
ということを以前の記事で
お伝えをさせていただきました。
【個人事業主の方については
法人に比べ、節税策が限られている】
ため、どうしても限定的になる
ということが往々にして考えられます。
そんな中で、よく個人事業主の
節税策として取り上げられる
【小規模企業共済と
倒産防止共済(経営セーフティ共済)】
について今日は見ていくことにします。
■まず、
どちらも国が運営する共済なのですが、
小規模企業共済については事業所得
とは無関係で、『所得控除』と呼ばれる
部類に属します。
<小規模企業共済についてのサイト>
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/
所得控除とは、
【事業所得や給与所得などを計算した後の、
〇〇控除と呼ばれる『自分の経費』に
該当するもの】
なんですね。
具体的には、
『小規模企業共済等掛金控除』
という名称。
この所得控除には扶養控除や配偶者控除、
医療費控除や社会保険料控除などが
含まれるものですね。
まずこれが『小規模企業共済』となります。
■次に『倒産防止共済(経営セーフティ共済)』
については、
小規模企業共済とは異なり、
【事業所得の必要経費として
考えられるもの】
なんですね。
<倒産防止共済についてのサイト>
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html
したがって、
この倒産防止共済の掛金を支払えば、
【事業所得の経費になる】
ということになります。
■そしてもう1点、決定的なのが、
小規模企業共済についても
倒産防止共済についても、
【掛金を支払った額が
広い意味での経費になる】
という点は変わりないのですが、
【共済の受取の際の税務上の
取扱いが異なる】
ということなんですね。
■小規模企業共済については、
原則として、
【個人事業を退職などをしたタイミングで
退職金代わりとして受け取る】
という意味合いであるため、『退職所得』
として受け取ることができます。
退職所得となると、
退職金の必要経費が大きく設定されており、
なおかつ、
【退職金の収入金額から必要経費
(退職所得控除)を差し引いた残額を
さらに2分の1】
にしたものを退職所得とするんですね。
なおかつ、退職所得は『分離課税』となり、
所得税の超過累進税率を、
他の所得と合算することなく、
【退職所得単独で適用することができる】
ということに。
そういった点において、
小規模企業共済は、
【積み立てたタイミングで経費になり、
なおかつ、もらえるタイミングでも税制が
相当優遇されている】
という状況。
退職金については、こちらの過去の記事も
ぜひご参考ください。
<2022年7月30日退職金は【もらい方】
に要注意!>
https://muratax.com/2022/07/30/5467/
■その一方で、倒産防止共済については
受け取ったタイミングで、
【全額事業所得の収入としてカウント】
されてしまいます。
そして、これを受け取るタイミング
というのは、
【これまでに払ってきた掛金の総額を
全額解約】
して受け取らざるを得えませんので、
【受け取った年度に大きな税負担を
強いられる】
ということが想定されるんですね。
■法人であっても、
超過累進税率の考えで
法人税や法人住民税は設定
されてはいるのですが、
そこまでダイナミックに税負担が
変わるということはない状況。
税率の上がり方が緩やかなんですね。
その一方、個人事業主については、
【所得税の超過累進税率で最大45%】
まで設定されていますし、
【住民税は10%】
の税率がかかってくるわけですので、
どうしても倒産防止共済の解約の
タイミングで大きな収入があった場合、
【多額の税負担を強いられる】
ということに。
そういった面において、
個人事業主で倒産防止共済の
積立をすることは相当注意しなければ
ならないわけですね。
■しかしながら、単年度に多くの
利益が上がっている状況であれば、
【単年度に突発的に倒産防止共済
の前払い】
などをして積立てをし、
(最大240万円まで積立可能)
【その翌年度に倒産防止共済の
掛金を減額する】
ということも手法として考えられます。
減額することにより、
解約時の受取額が少なくなりますので、
先ほど述べたような
【超過累進税率での税負担の
増え方が緩やかになる】
ことになるわけです。
■このように、倒産防止共済と
小規模企業共済は同じ共済
ではあるのですが、
その内容は上述してきたような点で
大きく違ってまいります。
個人の節税策を検討する際には、
上述してきたことを念頭に置いて、
【共済金を受け取るタイミングで
損をしないよう、十分な考慮して、
共済に加入するかどうか】
を考えたいものですね。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・小規模企業共済も倒産防止共済も、
『共済』という名称は共通するものの、
【取り扱いが違ってくる】
ということは十分注意して
おいた方が良いだろう。
・小規模企業共済は、
【支払って経費になり、受取の
タイミングで退職所得としてカウント】
されるため、税負担は相当少なくなる
ことが想定される。
・その一方で倒産防止共済については、
【支払ったタイミングで経費化】
されるものの、
受け取りのタイミングで、
これまで積み立ててきた共済金が
【全額収入としてカウント】
されてしまうため、
【所得税の超過累進税率の面で
大きく負担を強いられる】
ことが想定される。
・上述してきたことを念頭に置いて、
両者の違いを把握しながら、
【自分にとっての適切な税務対策】
を心掛けたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。