2024年8月6日【法人と個人の決定的な違い】について
過日のことですが、親子でペン習字のような
ものを習いに行きました。
日頃自分なりに書いている文字ですが、
その道の専門家による理論的な書き方を学び、
それを基に書いてみると、
文字が生まれ変わったような不思議な感覚
になったところです。
文字にも型があり、ある程度の型にハメる
ことにより、その魅力が増すのでしょうね。
経営も同じく型があり、ある程度の型を学び、
基本に従うことにより、確度の高い経営に
変わっていくのかな、と思ったところでした。
さて、本題です。
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■税務相談をお受けする中で、
よく「個人と法人の違い」ということを
お尋ねされることがあります。
まず大前提として、個人については
【個人事業主である側面と、プライベートの
自分自身の両面を持ち合わせる人格】
というところですね。
これに対して法人は、
【「法の下の人」という法律が作った人格
のあるもの】
となりますので、
上述した個人とは全く区別された存在
ということになります。
■また税務の面においては、
個人事業主の場合は代表である
自らに対して給与を支払うことができない、
または同一生計の親族に対する給与に
関しては、
青色専従者給与の届出を出して初めて
給与として支払うことができ、
基本的には代表者自ら、
そして親族に対する給与は認められない
ということになっています。
その一方、法人については、別の人格で
あるものから、自分自身や親族に給与を
払うことになりますので、
この給与は経費として認められる
ということになるわけですね。
■上述したように、
個人と法人についてはその概念が
全く異なっているものであり、
個人がプライベートの要素を持ち
合わせている面があるのに対し、
法人に関しては、法の下の人ということで、
『完全に100%事業を営む前提の人格』
であるということになります。
■そうなると、
当然法人が行うすべての行為は、
その事業を行うためのものということに
なるわけですので、
プライベートという概念は存在しない
ということに。
そのような中でよく車についての
ご質問があるのですが、
車についても同じことが言えて、
法人としての名義で契約した車については、
減価償却などについて、個人事業主のように
家事按分するという概念ではなく、
全額経費(減価償却費)として計上する
ことが可能となります。
■そのようなことから考えると、
たとえ法人名義の車を少々プライベート
で使用したとしても、
それは法人の事業用として使用している
という前提になるわけです。
こういった点においては、
法人の方が経費として認められやすい
ということになるのかなという感覚ですね。
■そして、
この法人の方が経費になりやすい
というものを捉え違いをしてしまっている
ケースがあり、
この捉え違いの代表例が、
「飲食代については法人であればこれが無尽蔵
に経費として認められる」
ということなんですね。
当然、自分自身のプライベートの
昼食代などについては経費となる
はずもありませんし、
基本的に親族との飲食代も経費として
認められることは難しいと言えます。
■こういった点まで含めて
「法人は経費化しやすい」ということを
言われがちなのですが、
実のところは上述したような制約があり、
必ずしも世間一般に知れ渡っている情報
とは異なる場合がある
ということは念頭に置いておいた方が
良いかもしれません。
■というわけで今日は、法人と個人について、
その経費の認識の違いについてのお話を
してまいりました。
こういった知識を正しく持ち合わせて、
法人と個人の違いを認識し、
有用な税務判断をしていくようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・個人と法人の決定的な違いは、
個人についてはプライベートも併せ持つ
一つの人格である一方、
法人については個人とは別人格の
法の下の人として独立した存在である
ということであろう。
・したがって、法人については、
その営む行動の全てが、事業目的として
捉えられるため、
例えば車の購入などについては、法人名義
であれば全額経費計上が可能となる
というところ。
・そのような形で法人が取る行動は
基本的に事業目的であるものの、
そこに『完全にプライベートな要素』が
入ってしまえば、
それは当然その法人としての
支出であっても経費として認められない
ということになるもの。
・上述してきたようなことを
しっかり念頭において、
法人の場合と個人の場合の税務の
考え方の違いを正確に認識し、
決して誤ることのないように税務判断を
していきたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。