2025年1月25日法人成りの年は要注意!【事業税の見込控除】について
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★あなたの税務・経営の伴走者★
税理士 村田 佑樹
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2025年1月25日
微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス【2001号】
こんばんは。
【あなたの税務・経営の伴走者】
税理士の村田佑樹です。
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今日はひたすら、年末調整・償却資産の
納品と請求書の発行を。
かなりの件数でしたが、ようやくひと段落
といった感覚です。
償却資産については、まだ最終的に
詰めないといけないお客様もいらっしゃる
ので、最善解を求めて、最後まで
取り組んでいきたいと思います。
さて、本日の本題です。
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■弊所においては、昨年法人成りをされた
お客様が複数いらっしゃいました。
法人成りをすると、当然、
個人事業として活動していた期間と、
法人としての事業期間が混在することに
なります。
そのため、令和6年中に個人事業として
活動していた期間分の確定申告を
行うことが必要になってきます。
■事業が拡大して法人化するのが
一般的ですが、
その際、個人事業での数ヶ月間
においても、
相当な事業所得が上がっていること
が少なくありません。
このような場合、経費をできるだけ
計上し、利益を圧縮したいと
考えるものです。
その際に忘れがちなのが、
『事業税の見込控除』というもの。
■事業所得に関しては、
個人事業税がかかりますが、
その個人事業税が経費として
計上されるのは、
実際に税額が確定するタイミング、
つまり翌年になります。
しかし、翌年は法人化して個人事業を
廃業しているため、
個人事業税を経費化するタイミングを
失ってしまうことに。
■個人事業税は、その年の事業所得に
かかる税金であるため、
令和6年度の事業税として計上すべき
ですよね。
そのため、経費として認識しないのは
会計上も税務上も問題となり、
事業税の見込控除という規定が
設けられているわけです。
■この規定に基づき、
令和6年中の個人事業税の見込みを、
その年の経費として認識しようと
いうのが、この『事業税の見込控除』。
単に事業所得を計算し、
そこから個人事業税を算出するだけでなく、
個人事業税を経費化することで、
所得税の納税額が減ることも考慮します。
そのため、見込み控除を計算する際には、
この点も加味して計算する必要があります。
■具体的には、こちらの国税庁の
事業税の見込控除の項目を確認して、
複雑な計算を行う必要がありますが、
この計算を行うことによって、
令和6年中の個人事業税を適切に計上
することができます。
<国税庁HP-事業を廃止した年分の所得に
つき課税される事業税の見込控除>
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/06.htm
■なお、個人事業税については業種により
非課税となるケースもありますが、
青色申告特別控除前の事業所得が
290万円に満たない場合は、
事業税自体がかからないことにも
留意しましょう。
この290万円というのは12ヶ月分の
数字ですが、
法人化して年度途中に個人事業を
廃業した場合は、
その年の1月から廃業月までの月割りで
計算する必要がありますので、
その点にも十分注意しておきましょう。
■また、青色申告特別控除については、
年度途中であっても65万円の控除を
受けることができます。
廃業年度においても青色申告の特典を活用
することが、非常に大きなメリットと
なるわけですね。
■というわけで今日は、
個人事業を廃業して法人化した場合に、
忘れがちな『事業税の見込控除』について
お話をしてまいりました。
こういった規定を知らないと、
大きな損をしてしまう可能性があるため、
十分に注意して計算と申告を行うこと
を心掛けるようにしましょう。
2年程前にも、ちょっと違う切り口で
同じような論点のことを
書いていました。
(この時は所内の状況が大変で、
心身ともにボロボロになっていた
時期でした笑。当時は決して笑えません
でしたが…(滝汗))
<2023年2月25日個人事業で忘れるべからず
の【個人事業税の見込控除について】>
https://muratax.com/2023/02/25/6193/
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《本日の微粒子企業の心構え》
・個人事業の廃業年度においては、
事業税の見込控除を適切に計上し、
税務上のメリットを最大化するべきである。
・また青色申告特別控除も忘れずに活用し、
申告の際に忘れずに反映させたいところ。
・個人事業税については、その月割り計算に
十分留意し、決して誤ることのないように
正確な申告をすることを心掛けるべし。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。