2025年7月3日役員貸付金の「もう一つのコワさ」
今日も引き続き、源泉所得税の
納期の特例の業務に打ち込んでいきます。
どうしても、出張が入ると稼働日数が
短くなるため、
源泉所得税も終盤ということで、
追い込みをかけていきたいところです!
さて、本日の本題です。
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■先日の記事の中で、
役員賞与や事前確定届出給与の設定
についてのお話をさせて
いただきました。
今日も続けます。
■役員賞与については、
ゼロか100かという二択になるため、
想定しておかなければならないのが、
思いのほか利益が上がらず、
役員賞与を事前確定届出給与の届出
通りに支払えなかった場合
なんですね。
<2025年6月29日役員賞与
(事前確定届出給与)の設定方法を考える>
https://muratax.com/2025/06/29/9127/
今日はそのことについて、
前回とは少し違った視点で
見ていきたいと思います。
■前回の記事の中での、
役員賞与を支給できないデメリット
として、
法人で利益が上がりきれずに、
届け出た満額の役員賞与を支給できない
ことがあることを
お話しさせていただきました。
■そうなると、利益がいわば
「中途半端に」上がっている状態で
賞与の支給ができない
ということになり、
法人のその中途半端な利益に対する
法人税等の負担を強いられるという
ことになるわけですね。
■一方で、個人はどうでしょう。
個人については、
場合によっては生活費も加味して、
「年収」という概念から役員賞与を
設定していたケースも
あるかもしれません。
そうなると、定額で設定した
役員報酬との差額を、
年収と揃えるための役員賞与として
設定しているということですので、
この賞与が取れないとなると、
想定していた生活費を法人から
得ることができなくなる
ということが想定されます。
■上述したような、
毎月低い額の役員報酬を設定する前提
での役員賞与となると、
通常の場合、その賞与の額は
高額となりますので、
その分、個人に移すことができるお金も
大きく減るということに。
■そして、ここからが大切なところ
なのですが、
賞与を取ることができなかった
場合においても、
当然のことながら生活は通常通り
行われていくわけですので、
その生活費の支出も当初の想定から
大きく外れることはない
というものでしょう。
■そのようになると、どうしても生活費が
足りなくなることから、
他の収入がある場合を除き、
法人からお金を個人に持っていく
ほかない、ということになるはず。
そうなると、役員報酬以外のルート
からの、法人から個人へのお金の移動
となるわけで、
これは、以前の記事でもよく書かせて
いただいている、
「役員貸付金」に該当することに。
<【2022.3.25】法人で注意すべき
【現金出金】と【役員貸付金】のお話>
https://muratax.com/2022/03/25/5035/
■この役員貸付金の状況になると、
貸付金に対する認定利息を
計上しなければならないことに加え、
それよりも金融機関の評価が
大きく下がってしまうということに
つながります。
■結局のところ、
金融機関は融資をしたにもかかわらず、
これが代表者のもとに流れていくことを
大きな懸念材料として置いているため、
そのように役員貸付金が発生してしまう
状況においては、
その評価は当然のことながら厳しくなる
というものでしょう。
■このように、役員賞与を届出通り
支給できないことに関しては、
税務上のリスクのほか、こういった
金融機関の評価、
そして生活費という広い視野で
影響が出ることになります。
■したがって、役員賞与の設定の際には、
こういったリスクもくれぐれも加味し、
適正な役員報酬の額と、同じく適正な
役員賞与の額を設定することを
心がけたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・役員賞与は「事前確定届出給与」とも
呼ばれるように、
税務署に前もって申請をしたとおりに
支給しなければならない
という性質のものである。
・役員賞与が予定通り取れない
ことになると、
法人の税負担が思いのほか増すほか、
個人の生活費が取れないということに。
・とはいえ、個人の生活費はどうしても
必要であるため、
法人から役員報酬以外でお金を移す
ことにより、
役員貸付金になることが想定される。
・こういったことをトータルで勘案して、
役員報酬や役員賞与の設定の際は、
くれぐれも注意をして、
自社にとっての最適な策を
模索したいものである。
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今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。