2025年9月27日【個人事業主の必要経費】の考え方
9月も終わりに近づいており、個人事業主の方については残すところあと3ヶ月というところになってきました。
私が個人事業主の方からよく質問をお受けする中で、経費がどのような範囲内で認められるかということがありますので、今日はそのことについてお話ししていきたいと思います。
必要経費とは何か
そもそも、個人事業主における経費は「必要経費」と言われるのですが、読んで字のごとく、事業所得に関する収入金額を得るために直接要した費用の額のほか、業務上の支出というものが、この必要経費として定義されています。
上述した収入金額を得るために直接要した費用の額とは、物販における仕入れであったり、売上に伴って変動する外注費であったりするものが該当します。
そして、業務上の費用の額というものは、その他の通信費や車両費などの経費が該当するわけですね。
どこまで経費にできるか
そのような中で迷うのが、「どこまで経費にしてよいか」ということですよね。
これに関しては、上述したように、業務上の費用の額であれば経費とすることができるわけで、自分自身の事業において必要であった支出であれば経費計上が可能ということになります。
当然のことながら、業務に関係ないNetflixなどを視聴した場合においては経費とはなりませんし、同じく物販を営んでいる方が体力が必要ということでスポーツジムに通ったとしても、これは経費とはなり得ません。
しかしながら、例えば映画監督などがNetflixなどを通じて他の映画を研究する場合においては、そのNetflixの料金も必要経費と考えられますし、パーソナルトレーナーがそのトレーナー業務をする際にどうしてもスポーツジムの利用が必要となる場合には、そのようなスポーツジムの支出は経費となり得るわけです。
したがって、その営む事業の種類や個々人の状況によって、この必要経費の概念は異なるということになります。
家事関連費の考え方
そして、個人事業主で考えなければならないのが、いわゆる「家事関連費」なんですね。
家事関連費とは、事業としての経費という面とプライベートの支出という面の両面を併せ持っている支出のことです。
例えば、自宅の家賃を払っている状況を考えた際、これはプライベートの家として住んでいる面のほか、個人事業主として事業を営むための事務所として使用していることも考えられるかもしれません。
このような場合、事業とプライベートの両面を併せ持っているわけですので、これを家事関連費と呼び、事業として利用している分の支出を必要経費としてカウントするわけです。
こういったことについては、自動車の使用や水道光熱費に関しても同じことが言えるでしょう。
合理的な割合と根拠が必要
そのような事業とプライベートが混在している支出については、税務署に対して立証ができるような合理的な基準により、その割合を明確にして事業用の経費を算出する必要があります。
逆に言えば、そのような合理的な根拠と割合があれば、自信を持って経費にすることができますので、そのようなことを念頭において経費計上を考えるようにしましょう。
親族への支出と専従者給与
その一方で、同一生計の親族に対する支出については、原則として経費にはなりません。
しかしながら、同一生計であっても、青色申告をしている場合に限り「青色事業専従者給与」を支払うことにより、その親族への給与を経費にすることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
これは、税務署に事前に届出をしている場合にのみ認められるものですが、こういったことは戦略的に検討し、個人事業主の事業と家計トータルの税負担を少なくすることを考えたいものです。
当然のことながら、専従者給与という給与所得が発生しますので、もらっている親族は年末調整を通じて、その給与所得を申告することが必要となります。
そのような手続きは必要ですが、堂々と経費化できるものの一つとして、この専従者給与は考えられますので、こういった点も考慮して節税を考えるようにしたいものですね。
まとめ〜必要経費の範囲を見極める
というわけで今回は、個人事業主の方からよくお尋ねのある必要経費の範囲についてお話をしてまいりました。
上述してきたように、個人事業主の必要経費に関しては、その個々人が置かれた状況により解釈が大きく異なることが少なくありませんので、ご自身の状況を的確に把握し、自分自身にとって最も良い選択を心掛けるようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・必要経費は、その事業所得の業務上で必要となる支出のことを指す。
・必要経費は、その個々人が置かれた状況によりその解釈が異なるため、柔軟な判断が必要である。
・親族に対する支出は基本的に必要経費と認められないものの、青色事業専従者給与に関しては、税務署に事前の届出をすることで親族に給与を支払うことができる手段であるため、そのようなことをトータルで勘案して、最も適切な節税を心掛けたいものである。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。