2020年5月24日白色申告が危険なワケ
こんばんは。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
==================
■「白色申告の方がラクで良いんでしょ?」
「白色って帳簿作らなくていいんでしょ?」
「白色っていい加減にやっても
大丈夫なんでしょ?」
よくあるこういった類の質問。
逆に私の方から
お尋ねさせていただくのが、
「そのような噂、
どこから聞いたのでしょうか?」
ということ。
まず結論から。
【白色申告をやっていて
良いことは一つもない】
と私はあえて言いきります。
■白色申告だったらラクだとか、
帳簿を作らなくて良いだとか、
こういった話を私自身よく聞くのですが、
決してそのようなことはありません。
確かに以前までは、
(簡単に言えば、)
そこまで利益の上がっていない
個人事業主については、
簡単なメモ程度の記録をすることにより、
白色で申告をすることができていました。
ただ、そのようなことは
6年ほど前に淘汰されていて、
今や、青色申告であろうと、
白色申告であろうと、
【帳簿は作らないといけない時代】
になっているんですよね。
■そして、もう一つ大きな誤解としては、
【白色申告はいい加減で良い】
ということ。
これはここまで書いてきた、
ラクをして良いだとか、
帳簿を作らなくて良いだとか
そういったことにもつながるのでしょうが、
もっと大きな危険な勘違いとして、
【白色申告であれば、
いい加減にやっていても、
税務署は通してくれる】
ということがあるんです。
ただ、私が税理士として
よくよくこのようなお話の根拠
を聞いてみると、
よくあるのが、
確定申告前に税理士会が主催している
無料相談会に、
(言い方は悪いですが)いい加減に作った
メモ程度の記録を作って、相談に行く。
すると、
その場にいる税理士が
親切丁寧に教えてくれて、
そのまま確定申告が完了するから
ということ。
これをもって
【税務署が通してくれた】
ということなんですよね。
■ただ、これは大きな間違い。
税務署は、そんなに甘くありません。
確かに、税務署はどんなものであろうと、
一旦は受け付けてくれます。
提出する際に見られるのは、
例えば印鑑がないだとか、
添付すべき証明書がついていないとか、
そういったこと。
そのような基本的なとこさえ
クリアしていれば、
(基本的に)どんな申告書でも
税務署は受け付けてくれるわけです。
税務署が確認する段階としては
大きく分けて2つ。
まず一つは、この
【申告書を提出する段階】。
そしてもう一つは、
【税務調査に入る先を選定する段階】。
…なんだか、話の雲行きが
怪しくなってきましたね…
続けていきます。
■よく誤解されている、
【白色申告でいい加減にメモ程度のものを
持って行けば、税務署は通してくれる】
ということは、
真の意味で言えば、
【単に受け付けてくれたに過ぎない】
ということ。
大学入試の際、東大より願書を手に入れて、
実際に東大を受験した
というだけに過ぎません。
当然、その後は厳しい採点が待っており、
採点に通ったものだけが合格
となるわけですよね。
では、税務調査における
【その後の厳しい採点】
とはどのようなものでしょうか。
ここであなたに考えていただきたいのが、
「あなたがもし税務調査官だったとしたら、
どのようなところに税務調査に行きたいか。」
ということです。
税務調査官は、(端的に言えば)
税務調査に入ることにより、
その調査先の帳簿に不備を見つけ、
それを指摘することに成功し、
追加の税金を取ることができれば、
出世の道を進むことになります。
ここでもう一度繰り返しますが、
『そのような前提で』
「あなたがもし税務調査官だとしたら、
どのようなところへ
税務調査に行きますか?」
当然、
【追加で税金を取ることができる先】
であることでしょう。
白色申告はいい加減で良い
ということが都市伝説として
もし世間一般にはびこっているとしたら、
当然そこにメスを入れようとする
のではないでしょうか。
上記の前提から考えれば、
【白色申告はいい加減な帳簿が多い
=帳簿の誤りが多い
=税金を追加で取ることができる】
という考えが
あっという間に成立してしまうはず。
■もう一点、プロとしての視点から言えば、
【税理士のサイン(署名)なき申告書】
も、次の選定先として狙われがちでしょう。
とは言え、
全体的な数字のバランスを見て、
問題がないようだったら
そこまで目くじらを立てられることはない
と言えます。
・・・一番怖い組み合わせは、
【白色申告】
であり、かつ、
【税理士の署名(サイン)がない】
申告書。
実際に税務署から見て、
それなりの売上が上がっていたり、
経費が多く見えたり、
そういったことで
『何かしら隠しているのではないか』
と思われ、
かつ、税理士のサインがない状況の
申告書であれば、
【あっという間に調査の選定対象】
となってしまうことでしょう。
実際に、
白色申告でかなり痛い目を見ている方々を
少なからず知っています。
当然、税理士の関与がないため、
どのように税務調査に臨めば良いか
ということなども知る由もありません。
一人航海に出て、
凶器を持った海賊に襲われてしまう
ようなもので、
何も手を尽くすことができない
という状況。
白色申告はいい加減で良い、
という一般的な噂は、
【たまたま税務調査に入られていない】
という前提でのお話なのです。
■…ここまで聞いて、
『まだ白色申告のままで行きますか?』
お金や税金のことについては、
世間一般的にささやかれている噂が、
大きな誤りを含んでいる
ことが少なからずあります。
インターネット上の無料掲示板などに
書いてあることも、
『いい加減なことを書いているな…』
ということがプロの目から見ても
本当に多い。
大抵の場合、
『このような話を聞いたんですけど…』
と言って見えられる方は、
その大元の噂を聞いてみると、
知り合いの社長だったり、
インターネットでの無料のざっくりした
情報であったり…
このような状況。
やはり、お金や税金のことに限らず、
情報を知りたいのであれば、
【その道の専門家であるプロの知識を乞うべき】
あると言えます。
■『タダより怖いものはない』
と言いますが、本当にその通り。
いい加減で良いと思われている白色申告。
実は、大きな危険をはらんでいるということ
を理解いただけたのではないでしょうか。
あなたの確定申告…
果たして大丈夫でしょうか?
--------------------
《本日の微粒子企業の心構え》
・白色申告の方が良いというのは都市伝説である
ということを自覚すべし。
・危険なのは
【白色×税理士のサインなき申告書】。
・白色申告は一般的にいい加減に作られている
という認識があるため、
税務調査に狙われやすい。
・経営者たるもの、目標達成のためにも
お金の管理と帳簿付けは
しっかりとすべし。
--------------------
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。