2021年9月26日消費税の免税規定を【受けることができない】場合
■『法人成り』については
以前の記事からも
いろいろと述べてはきましたが、
今日は法人成りについての消費税のお話で、
これまでに触れてこなかったことについて
お話を進めていくことにいたします。
■まず大原則として、
【消費税の判定にあたり、原則として
前々年(法人の場合は前々期)の
課税売上高が1千万円を超えている場合、
その年から消費税の課税事業者となる】
ことになります。
しかしながら、その基準期間がない場合においても、
法人の場合はその期首における
【資本金または出資の金額が1千万円以上】
であれば、その年から消費税の課税事業者に
該当することに注意が必要です。
従来、株式会社を設立する際には
1千万円以上の資本金が必要でしたので、
(従来…と言っても平成17年位までのお話ではありますが…)
株式会社はこの設立一期目、二期目に
消費税の免税の規定を受ける
ということができなかったんですね。
しかしながら現在の株式会社は
1円から設立ができるようになったため、
1千万円未満であるケースが
往々にして見られ、
その場合は原則通り
【前々年の課税売上高で消費税を判定する】
ということになるわけです。
■ただ、
これが法人成りとなると、
【個人事業が順調に進んでおり、
その延長としての法人設立を…】
というケースが少なくありませんので、
そういった場合は
【設立時の資本金の額を1千万円以上で設定する】
ということもあるもの。
法人において
銀行の融資を受けようとする際には、
【資本金が多ければ信頼度が高くなる】
という背景もありますのでで、
会社の信用度合いを高めるという意味では
あえて資本金を1千万円以上にする
ということも考えられる
というわけですね。
しかしながら、
消費税の納税義務の判定からすると、
法人設立の際に資本金が1千万円に
なっている状況であれば、
その期から(つまり設立期から)
消費税の課税事業者となるため
十分な注意が必要である
と言えます。
■そしてもう一点注意が必要なのが、
上述した基準期間(前々年)の
課税売上高が1千万円以下
である場合においても、
その期のスタートから6ヶ月間の
【課税売上高が1千万円を超え】、
なおかつ、その6ヶ月間の
【給与の支払い額もまた1千万円超】
である状況であれば、
【その状況となった年の翌年から
消費税の課税事業者となる】
ということに注意が必要です。
こうなると免税となるのは実質設立期のみで、
【二期目から消費税の課税事業者となってしまう】
ということになるわけです。
■上述した
【課税売上高が1千万円超であり、
給与の支払い額が1千万円である】
という両方の要件を満たした
(満たすことになってしまった)状況で
初めて二期目から課税事業者となるため、
これを調整することは
消費税の免税を最大限に受けるためには
極めて有効である
とも言えます。
特に『役員報酬』は
多額になりがちですので、
【役員報酬の支給開始時期を遅らせる】
などということでも
この1千万円の制限から免れることができる
ということも考えられます。
当然、役員報酬は期首から
3ヶ月以内に定めないといけませんが、
その最大限の猶予期間を
精一杯活用することにより、
上述した二期目からの課税事業者を
免れることができますので、
そういった点にも注意が必要である
と言えます。
■というわけで今日は、
少々難解な論点ではありますが、
消費税の課税事業者について、
案外見落としがちなことについて
お話をさせていただきました。
『資本金』や『売上高』や『給与』が、
上述したように、
それぞれの状況において、
【1千万円を超えている】
のであれば、それなりの規模の事業
をしていることが想定されますので、
その納付する消費税も多額になるもの
と考えられます。
しっかりと、上記の知識を前提に、
消費税の免税期間をフルに活用できるように
しましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・消費税の判定にあたっては、
基準期間の課税売上高のみならず、
【期首の資本金の額や
期首から半年間の売上高・給与の支払い額】
についても十分な注意が必要であるもの
と心得ておくべし。
・上述したような金額の規模であれば、
その消費税の納税も多額になることが
想定されるため、
なおのことしっかりと、
上述したことを念頭において、
その有意義な消費税の対策を
したいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。