2022年5月27日【出張旅費】の活用において注意したいこと
■弊所においては、
3月決算法人が多くあります。
そんな中、最終的な節税についての
お話になるのですが、
【3月決算法人については
3月中にその対策をしていくこと】
が原則として必要になります。
原則として、ということは、
『例外もある』
ということなんですね。
原則として、という背景には、
【お金を使う節税については
3月中にする必要がある】
ということ。
逆に、
【お金を使わない節税については
3月を超えても手を打つことができる
ものがある】
ということなんですね。
今日はそのお金を使わない節税の中の
最たるものとして、
【出張旅費】
について見ていくことにいたします。
■出張旅費については、
以前の記事の中でも
再三書かせていただいているので、
詳細は過去の記事に委ねるとして、
<2020.11.22上手に【出張旅費】を
利用していますか?>
https://note.com/muratax/n/n16d643393877
今日は顧問のお客様との間で
話題となった、
【その出張旅費の具体的な計上方法】
についてのことを
お話ししていきたいと思います。
■出張旅費は、
基本的に『日当』という形で、
【遠距離への出張があった際に、
その現地での経費精算を簡便的にする】
という意味合いで、
【『1日あたりいくら』という形で
定額で日当(手当)を支給する】
というもの。
そうなると当然、
【現地で使った食事代などの経費と
実際にもらう日当との差額が儲かる】
ということになりますよね。
サラリーマンであればそのように
会社から出張にかかる手当をもらい、
【実費との差額で浮いた分がラッキー】
というようなイメージ。
【それを自らが代表を務める法人で行う】
というのがこの『出張旅費』なんですね。
■しかしながら、
出張旅費が無条件で認められるか
と言えば、決してそうではないわけで、
その出張の距離や時間に制約があり、
そして当然のことながら、
【出張の事実を示す証拠】
がないことには、
その経費計上が難しいということに。
これに関しては、
【現地に行った】
という証拠が何より重要なんですね。
簡単なところでいけば、
【現地で個人的なものでも良いので、
コンビニの領収書などを取っておく】
ということ。
それで『その日に行ったこと』
の証明になりますので、
基本的には問題ない
ということですね。
そのような『出張の根拠』
がないことには、
【税務署側もそこに
疑いの目を向けてくる】
ということも考えられるわけで、
その実務上の手続きには
十分な注意が必要である
と言えます。
■また、
出張旅費に関しては、
そのように
【事後的に報告する】
というものですので、場合によっては、
3月決算法人で、
3月中に出張の事実があったものを
その3月決算において計上することにより、
たとえその精算は翌期であったとしても、
【3月の決算日までの旅費交通費】
として認められることになるわけです。
その精算の際には、
【出張旅費精算書】
などのフォーマットを
使うようにしましょう。
■出張旅費は、
税金面において、
多くの点で優遇されています。
まず個人のお話でいくと、
出張旅費は給与として
カウントされませんので、
【所得税や住民税がかからない】
ということ。
そして同じく
給与ではないですので、
【社会保険料も対象外】
ということに。
■そして、
法人については、
旅費交通費として経費が認められるため、
【法人税が軽減される】
ということ。
そして出張旅費は
【消費税法上の課税取引】
と考えられますので、
『課税仕入』として、
税務署へ納付すべき消費税から
その出張旅費にかかっている
(かかったと見なされている)
消費税分を差し引いて申告すること
ができます。
簡単に言えば、
【出張旅費を支給することにより、
法人税と消費税が少なくなる】
ということなんですね。
それに加え、給料以外の支払いですので、
個人の場合と同じく
【社会保険料も軽減される】
ということになるわけです。
■社会保険料については、
出張旅費の金額に応じて、
日当をもらえることにより、
役員報酬とは別に、法人から個人へ
お金を移すことができますので、
場合によっては、
その役員報酬を減額することにより、
【本来ここにかかってくる
社会保険料を削減する】
という戦略的な方法をとること
も可能となります。
そのような多くの良い面をもった
『出張旅費』。
しながらその実務上の手続きには
上述したような注意点がありますので、
その点には十分な配慮をし、
適切な出張旅費の活用をしたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・出張旅費についてはいわば
『お金を使わない節税』であるため、
【決算の状況を見てからの
対策も可能である】
と言える。
・出張旅費を使う場合には、
【その出張の事実を証明する
現地の領収書などを取っておくべきもの】
と心得ておくべし。
・出張旅費は
【個人においては
所得税や住民税、社会保険料が、
法人においては法人税、消費税、
そして個人と同じく社会保険料が
それぞれ軽減されるもの】
ということもまた押さえておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。