2024年2月9日【損失が出た際】に知っておきたい「2つの制度」
■法人においても
個人事業においても、
経営の状況はその年度において
変わってくるというもので、
【利益が出る年度があれば、当然利益が
出きれないという年度もある】
というものでしょう。
当然利益が出ればその分納税が出る
わけですし、逆に利益が出ずに
損失となってしまう状況であれば、
納税はないということになります。
法人については納税がないとは言え、
【年間約7万円ほどの均等割】
という最低限の税額は出ることになります。
■そんな中前年度は経営が低空飛行で
損失が出たものの、
今年度においては経営状況が変わり、
売上が伸びたり、経費が少なくなった
などという理由で、
【黒字の申告になる】
ということも考えられます。
そのような状況であれば、前年度の申告
においてはマイナス申告をしていますので、
青色申告に限定はされるのですが、
【この損失の部分を今年度に繰り越す】
ことができます。
(なお、災害による損失の場合は、
例外の規定もあります。)
■法人であれば『10年間』これを
繰り越すことができ、
個人事業主の青色申告をしている方
であれば、これを『3年間』繰り越す
ことができます。
法人においての10年間は個人の場合と比べ、
本当に大きいですよね。
そしてこのマイナスは繰り越されていくため、
【翌年度の利益からこれを差し引く】
ことができるということに。
こういった点は、前年度が損失の申告で、
今年度が利益が出ている状況での話
なのですが、
当然のことながら、
逆のパターンも考えられます。
■逆のパターンとはつまり
【前年度利益が出て納税が出たものの、
今年度において損失が出た場合】
のこと。
このような場合に関しては、先程の
マイナスの繰り越しとは逆のパターンで、
【今年度において損失が生じている】
という状況ですよね。
そのような場合に関しては、マイナスの
繰り越しが認められたのと同じような形で、
今年度のマイナスについて、
【前年度納付した税額のうち
一定額の部分を還付してもらえる】
ということが可能となります。
■法人においては『欠損金の繰戻し還付』
と呼ばれるもので、
【前年度納付した法人税等の税額のうち、
当期の損失の額から計算した一定の額】
について還付を受けることができる
という制度なんですね。
この欠損金の繰戻し還付という
制度については、
従来はこれを使う必ず税務調査が来る
などと言われていたのですが、
そこについてはもうかなり前のことに
なるのですが、改正が入り、
【還付をしてもらうとしても、そこまで
税務調査のリスクがあると考えなくて良い】
という状況になっています。
■往々にして、事業を継続していて、
『前年度は好調で利益が出ていたものの、
今年度は低空飛行になり、
結果として損失が出る』
ということは少なくないかと思いますので、
こういった点は十分に熟知して、
申告を進めるようにしたいものです。
そしてこの繰戻し還付については、
青色申告をしている個人事業主の方
についても
【純損失の繰戻し還付】
という制度が認められています。
<国税庁HP-純損失の金額の繰戻しによる
所得税の還付請求手続>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200002.htm
こういった還付の制度はしっかりと把握し、
損のないように申告をすることを
心掛けたいものです。
■上述してきた損失については、
還付をしてもらうということは
もちろんできるのですが、
冒頭に書かせていただいた通り、
損失を翌年度に繰り越すことができ、
【法人であれば10年間、個人事業主であれば
3年間繰り越すことが可能】
となります。
その翌年度に利益が出る状況であれば、
【今年のマイナスを繰り越して
そのマイナスを翌年度に利用する】
ということも検討して良いかな
というところです。
■しかしながら、翌年度も継続して損失が出る
見込みであるなどというケースにおいては、
適切に上述してきた繰戻し還付の制度を活用し、
経営においての血液とも言える現金を
極力潤滑にすることを心掛けて、
経営においての最善の選択
を心掛けるようにしましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人においても個人においても、
その年度において損失が出た場合は、
【その損失を翌年以降に
繰り越すことができる】
という制度がある。
・法人においての損失の繰り越しは
基本的に10年間、
個人事業主については3年間である
というところ。
・そして、前年度利益が出て
納税が出ている場合で、
今年度が損失になった場合は、
一定の額にはなるものの、
【前年度の所得税や法人税等のうち
その一定額を還付してもらえる】
『繰戻し還付』という制度がある。
・しかしながら、
あえて繰戻し還付をせずに、
その損失を翌年度に繰り越していく
ということも認められるため、
繰戻し還付を選択するのか、
それとも損失を翌年に繰り延べるか
ということをその状況に応じて柔軟に判断し、
適切に税務の最良な選択をすることを
心掛けたいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。