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トップページ ブログ > 税務について > 「事前確定届出給与」は諸刃の剣

2025年9月19日「事前確定届出給与」は諸刃の剣

今日はほぼ終日面談の日でした。

いずれもZoom面談ではなく、すべてが対面の面談で、いろいろな社長からたくさんのエネルギーをいただいた感覚です。

さて、本日の本題です。

9月決算法人の決算対策と節税対策

先日の記事でも書かせていただいたように、弊所においては7月決算法人が多い状況です。

それに、輪をかけて…というのも変なのですが、9月決算法人も8件あり、それなりに大変というところです。

そして、9月決算法人においては、この9月中に決算対策や節税対策をすることになります。

決算対策とは、税務以外の銀行評価の面で注意すべきことを整理して、9月中に実施する対策のことなんですね。

節税対策に関しては、9月中に実施した方が良い現金を使う節税を、場合によっては提案させていただくということになります。

事前確定届出給与(役員賞与)の基本

そんな中、場合によっては、事前確定届出給与という役員賞与を前もって税務署に提出していることがあります。

事前確定届出給与とは、読んで字のごとく事前に税務署に何月何日にいくらの役員賞与を支払うということを届出書として宣言しておくようなものなんですね。

逆に言えば、この届出書通りに支給されない賞与については、その届出書通りに支給をしなかった金額の全額が損金不算入…つまり、税金を計算する上での経費にならないこととなります。

その上、役員個人の給与所得としては課税されてしまうため、法人と個人で税のダブルパンチを食らってしまうようなものなんですね。

役員貸付金解消に活用する場合

そういった点が、この事前確定届出給与における税務の注意点なのですが、

これを提出した背景においては、もし決算期末で利益が上がった場合は役員の決算賞与として賞与を取りたいという意思の表れから来ているということもあります。

そのように考えると、利益が上がっていれば支給をし、上がっていなければ支給をしないということが税務の最適解としては考えられそうですが、

実のところ決算対策の面としては、これを覆すような決定をすることもあり得ます。

<2023年10月30日正確に把握すべき【最も手残りが良い役員報酬】の設定について>
https://muratax.com/2023/10/30/7078/

具体的には、期中においてもし役員貸付金(法人から個人がお金を借りている状態)が発生している場合は、

この役員賞与を利益に関わらずあえて支給して、役員個人にお金を持たせ、その役員が手に入れたお金を再度法人に返すという手続きをすることにより、この役員貸付金を解消できることがあるんですね。

金融機関の評価上、役員貸付金については大きなマイナスポイントとなりますので、

そのような点を意識して、事前確定届出給与を支給することにより、貸付金を解消するというのもまた一手であるというわけです。

<2020年9月24日事前確定届出給与の【融資】からの視点>
https://note.com/muratax/n/ne90b8a7ffc56

どうしても、こういった点は税務の最適解ではないため、税理士の提案する範疇ではないことなのかもしれませんが、

金融機関の融資を見据えている状況下においては、そのような決断をすることも少なくないかなという感覚です。

税務調査リスクへの配慮

そして、事前確定届出給与については、場合によってはそれなりの大きな額になっていることも少なくないでしょう。

そのような際に、当期は支給して、翌期は支給せず、そしてそのまた次の期には支給をするとなった際には、

年間の賞与を含めた役員報酬が経営成績に関わらずデコボコになってしまうことが想定されます。

そうなると、税務調査の目も厳しくなるというのは避けられないかなという感覚です。

事前確定届出給与については、金融機関の評価を見据えることはもちろんあるのですが、

税務調査の視点からも、あまりにもデコボコになりすぎる役員報酬や賞与の支給の仕方はリスクがあるということも念頭に置いておきたいところです。

自社に合った最適解を見出す

そのようなことから、事前確定届出給与については、戦略的に届出をしつつも、

その実際の支給においては、金融機関の評価の面、税務的な税負担の面、そして税務調査の視点をトータルで加味して、

自社にとっての有意義な最適解を選ぶことを心がけたいものです。

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《本日の微粒子企業の心構え》

・事前確定届出給与については、金融機関の評価の面、税負担の面の他、税務調査の視点から考えることが大変重要である。

・役員貸付金になっている状況においては、たとえ利益がマイナスになったとしても、貸付金の解消に寄与するためにあえて賞与を支給することも視野に置きたいところ。

・こういった状況は、その会社によってさまざまであるため、自社の状況を的確に俯瞰し、最も適した事前確定届出給与についての決定を心がけたいものである。

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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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