2018年8月21日役員報酬の適正額ってあるの?
「役員報酬をそろそろ決めないと・・・」
法人の経営者の方は、毎年のお悩みごとではないでしょうか。
役員報酬の改定時期は基本的に年一回で、ちょうど決算を迎えるタイミングで頭を悩ませるのが、
【役員報酬をいくらにするか?】
ということですよね。
こんばんは。
福岡市中央区天神の【あなたの財布の見張り役】、
税理士の村田佑樹です。
1.役員報酬は年一度しか決めれない
冒頭の年一度というのは、
役員報酬の改定は、【基本的に】期首から3ヶ月以内となります。
このタイミング以外での改定は、利益操作と考えられるケースがあることから、
【基本的に】認められません。
基本的に・・・とあえて言っているのは、もちろん例外があるから。
例外としては、
・役員の職制上の地位の変更(平取締役から代表取締役になるなど)
や、
・経営状況が著しく悪化したこと
により、役員報酬を変えざるを得ない状況になった
というようなケース。
この判断は、客観的にそういった事実があることが要件とされます。
要は、自己判断では利益操作とみられるため注意が必要ですよ、ということですね。
2.いったいいくらにすれば?
結論から申し上げますと、「いくらでも好きなように」ということになります。
・・・というと無責任ですので、私なりの見解から言うと、
法人税など法人の税率が下がっている状況下では、
個人と法人の税負担がトントンになるラインが下がってくる
ことになりますので、
ある程度の役員報酬を払うと、個人と法人の税負担トントンのラインがすぐに見えてくるわけですね。
あくまでもざっくりした話ではありますが、
月50万程の役員報酬という設定にすると、大体法人と個人の税金がトントンに近くなる
ことが多いです。
ですので、税負担だけを考えると、
月50万円程度の役員報酬
を払えばいいでしょう。
逆に言うと、
これ以下の役員報酬では、【法人の税負担>個人の税負担】
となり、
これを超える役員報酬では、【個人の税負担>法人の税負担】
となるわけです。
ただ、個人事業とは違い、
法人では代表者自らがお金を法人から引き出そうとする場合、
原則として【役員報酬を自らに払うことによりお金を引き出す】ほかない
ことになります。
ですので、実際のところ個人の方が税負担が増えようとも、
生活に必要な分だけ、役員報酬を取る
というのが、最善の方法でしょう。
創業期でそこまで利益の上がっていない状況では、
月50万円の役員報酬を取る
ということを一つの目安にするとよいでしょう。
ただし、上記の方法を採る前提としては、
法人の利益がちょうど残らない程度の役員報酬を取る
ことです。
仮に、年400万の利益であれば、
400万÷12月=33万程の役員報酬
を取ればいいわけです。
これを月50万も払うとなると、
法人で必要のない赤字が生みだされる上、
個人で所得税や住民税の余計な負担が増えてしまいますね。
あくまでも、法人の利益を自分に対する役員報酬で打ち消すイメージで。
そうすることにより、法人の税負担を個人に転嫁することができるわけです。
役員報酬を決めるのは結構悩むもの。
まとめますと、
① 月50万の範囲で、法人の損益トントンとなる金額
② それを上回る利益が出るようだと、必要な生活費で金額決定
という大まかな方法で考えたら良い、ということになります。