2020年7月13日クレジットの明細書は領収書代わりになる?
こんにちは。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■今年に入ってコロナの影響により、
決済手段が
従来の『現金取引』から『電子決済』などの
決済に変わっていますね。
【電子決済】とは、
クレジットカードや電子マネーなど
による決済手段のこと。
これらの決済手段を利用することにより、
現金を手渡したりする必要がないため、
ウィルスの感染を防ぐことが
できるというもの。
私が税理士として
いろいろな方とお話をする中で、
よくいただく質問があります。
それは
「クレジットの明細書があったら、
領収書はいらないんですよね?」
ということ。
結論から言えば、
これは正解でもあり、不正解でもあります。
■どういうことかと言えば、
税金を計算する上での
【領収書】
と認められるものには、
次のことが記載されていることが
必要となります。
・相手方(お店など)の名前
・購入した年月日
・購入した物やサービスの内容
・購入した金額
・購入した人(つまり自分)の名前
これらの事項が記載されているものが
初めて【領収書】と認められることに
なるんですね。
■ここで、
あなたの利用した
クレジットの明細書を
見ていただきたいのですが、
クレジットの明細書
(お店から発行される利用明細を含む)
には多くの場合、
『内容が記載されていない』
ということに気付くのでは
ないでしょうか。
例えば、
ファミレスや飲食店に行った時は、
そのお店の名前しか
書いていないものなんです。
これだと、
『飲食代』という内容が
記載されていないため、
税務的な領収書の要件を満たしている
とは言い難く、
そのようなことから、
厳密に言えば、
クレジット明細しか保存していなくて、
領収書がないとしたら、
【税務調査でその経費が
否認されてしまう可能性がある】
ということなんですね。
■さらに言えば、
上記に書いた、
購入した人(つまり自分)の名前も
記載されていることが必要なので、
一般的にもらう
【レシート】
についても、
【税務上の領収書の対象外】
となってしまいます。
一般的なレシートには
自分の名前は書いていないですよね。
このような理由から、
レシートも税務上の領収書とは認められず、
万が一、
税務調査でこのことを指摘されるとしたら、
(原則として)言い逃れができない
ということになってしまうことに。
■とは言え、
税務調査において、
『レシートが領収書として認められず
経費にならない』
ということで否認された事例は、
少なくとも私が知っている限りでは
今のところありません。
また、
クレジット明細についても、
『クレジット明細のみの保存で、
領収書がないもの』
があったとしても、
それがそのまま経費として認められない
といった事例も
今のところない状況。
■しかしながら、
『極端に高額な物をクレジットで購入し、
それについての内容が記載された
領収書がない』
ということになると、
その内容を疑われてしまうということは
現実としてあるもの。
そういった事情で、
本来であれば
税務上の領収書と認められないことから、
やはりこれも
原則として、
『クレジット明細とともに
領収書は保管しておくべきである』
と言えます。
ただ、
『レシートの代わりに領収書をもらう』
ということがあるかもしれないのですが、
この領収書だけだと、
内容が記載されていない
ということが多いため、
これだと逆に、
『領収書の要件である
内容の記載がない』
ということで、
経費として認められにくくなります。
我々税理士の立場からしても、
どういった内容かを掴めないため、
判断が結構大変なのです(汗)
■このように
一般的に考えられている『常識』でも、
税務の本当の世界では
『非常識』であることが少なからずあります。
ぜひ、これらのことに注意して、
会計資料の作成と保存に努めて下さいね(^^)
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《本日の微粒子企業の心構え》
・一般的に『常識』としてまかり通っていること
でも、税務の世界では『非常識』
であることは多い。
・クレジット明細のみの保存は
基本的に経費となり得ず、
【クレジット明細+領収書の保存】
が原則として必要。
ただ、税務調査の実務としては、
『クレジット明細しかないため
経費が否認される』
ということそんなにはない。
しかし、極端に高額なものを経費に
しようとしている際は、
やはり領収書をしっかりと備えておくのが
無難であると言える。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。