2021年10月9日個人と法人の【預金利息の会計処理の違い】について
■個人事業主の方の
税務相談に乗らせていただく中で、
実際にご本人が入力している
会計帳簿を見せていただく機会があります。
その中でよくあるのが、
銀行利息を『雑収入』としている
場合について。
■個人事業主の場合、
金融機関からの利子は、
【その利子をもらっている時点で
15.315%の源泉徴収がされ、
そこで納税が完結】
していることになります。
したがって、
【この金融機関の利子については、
収入に含める必要はない】
ということになるんですね。
■その一方で、
法人についてはどうでしょう。
法人についても源泉徴収は
同じくされているのですが、
法人の場合はその源泉徴収額を
【法人税の前払い】
といった形で捉えていくことになります。
同じく利率は15.315%となりますので、
【実際の銀行への利息の入金額は、
この15.315%が控除された残額】。
そうなると、
【本来の『受取利息』の金額は
この銀行入金額ではない】
ということになりますね。
■ここで算式を書くと
少々複雑なので
割愛させていただきますが、
考え方としては、
①『受取利息』として15.315%の
源泉徴収前の総額を計上し、
②その次に普通預金への入金額を
『普通預金』として計上。
③そして受取利息と普通預金との
差額部分である15.315%の源泉徴収額を
『法人税等』として処理する
という流れになります。
上述したように
これは『法人税の前払い』ですので、
【仮に当期利益が出なくて
法人税が発生しなかった場合は、
これが還付される】
ということになるわけですね。
■法人についての多い誤りとしては、
単に銀行に振り込まれた利息の金額
そのものを『受取利息』として計上
しているという状況。
『受取利息と法人税等を両建て』
をする経理にしても、
『純粋な受取額を受取利息とする』
経理にしても、
トータルの利益は変わらないのですが、
上述したように
【法人税の前払い】
として源泉徴収額を考慮していくため、
【法人税の申告において、
この源泉徴収額部分を
多めに申告していることに繋がってしまう】
ということになりかねません。
■したがって、
法人の場合はしっかりと、
上述した
【『受取利息』と『法人税等』
の両建ての経理】
をするようにしましょう。
そして個人事業主については
上述してきた金融機関の利息は
申告不要ですので『雑収入』などに含めず、
【事業主借勘定】
として処理するようにしましょう。
■今日は、
『預金利息』の個人事業主と
法人の取り扱いの差異について
ご説明をさせていただきました。
これは個人事業主においても
法人においても誤りがちな処理ですので、
重々注意が必要ですね(^^)。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・個人事業主については
『金融機関の利息』は【申告不要】であり、
法人については【申告が必要】となる。
個人事業主については、
【源泉徴収が完了しているため申告不要】、
法人については
【源泉徴収税額は『法人税の前払い』
と考えるため、
これは適切に申告する必要がある】
と言える。
・法人においては、この源泉徴収部分を
【法人税等】として経理することにより、
【法人税の前払い】として、
処理をすることができるため、
しっかりと適切な会計処理をし、
同じく適切な申告納税を心がけたい
ものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。