2022年7月1日【法人と個人間の貸し借り】には要注意!
■先日の記事の中で、
【従業員の車を法人が借り上げて、
賃貸借契約を締結する】
という税務的な方法を
お話しさせていただきました。
<2022.6.29【従業員のマイカーを業務で
使う場合】の注意点>
%url1%(https://muratax.com/2022/06/29/5358/)
先日は『従業員』のこと
ではあったのですが
今回は『同族会社』において
こういった賃貸借をする場合について
注意すべき点を
見ていくことにいたします。
■場合によっては、
【役員個人が持っている資産を
法人に貸し付けることにより
その法人から役員が賃貸料をもらう】
ということが
考えられるのではないでしょうか。
この時に注意しないといけないことが、
【年間20万円以下の所得であれば
確定申告は不要というルールが
『通用しない!』】
ということ。つまり、
同族会社とその親族の取引は、
租税回避行為にも繋がり
かねないため、
このような制限を設けている
ということなのでしょう。
■しかしながら、
場合によっては、
【法人から個人に
お金を移すことができる手段】
でもあるため、使い方によっては
有効に作用することが考えられます。
その際の判断材料の一つとして、
【法人の税負担と
個人の税負担を比べてみる】
ということが考えられるでしょう。
要は、『法人』の方が
税率が高いようであれば、
【法人から個人に
そのような賃借料を支払う】
ということが有用でしょうし、
逆に、『個人』の方が
税負担が高いようであれば、
【法人から賃貸料を
個人がもらうことにより、
それが収入としてカウントされるため、
個人の税負担が増えてしまう】
というもの。
■そして大きいのが、
この『賃貸借による支払い』については、
【給料や役員報酬ではないため、
社会保険料がかからない】
ということなんですね。
通常の場合、
法人と個人の負担を合わせて
給料や役員報酬の30%ほどの
社会保険料がかかるものなのですが、
この『賃貸借による支払い』になると
【この社会保険料が免除される】
というわけです。
【確定申告は必要であるものの、
給料としてもらうよりは
社会保険料分優遇されている】
ということですね。
これが
【30%の効果の差が出る】
となると、しっかりと慎重に
検討すべきである
ということが分かるかと思います。
■そのように、
【法人と個人の税負担を考慮する】
ということが大切ではあるのですが、
その前に、
【そもそも、法人から
個人に支払う役員報酬について、
その適正額を考えるべきである】
とも言えるでしょう。
場合によっては、
【事前確定届出給与】
という役員賞与も検討し、
【ある程度戦略的に法人と個人の
税負担を考えていく必要がある】
と言えます。
「これをせずに
賃貸借の論点はないのかな」
と私は思うところで、しっかりと
【まずはそのような
役員報酬をどう支払うか】
ということを考えるべきである
と言えるでしょう。
■ということで今日は、
【法人と役員間における
資産の賃貸借などにおいて注意すべき点】
を見てきました。
簡単なお話ではあるのですが、
こういった手法を戦略的に使うことにより、
【多くの負担が減少すること】
が想定されますので、
的確に知識を身に付け、
その税務判断をしていきたいものです。
------------------
《本日の微粒子企業の心構え》
・法人から個人にお金を移す手段として、
【個人の持っている資産を法人が借りる】
ということが考えられる。
・ただし、この方策を使う際は、
【年間20万円以下の所得は申告不要
という論点は外される】
ため注意が必要であると言える。
・大切なのは、
個人と法人のトータルの
税負担のバランスを考えて、
【そもそもこの策を実施するのかどうか】
ということを検討すること。
・まずは、
【適切な役員報酬を設定して
その後初めて、こういった
資産の賃貸借を検討する】
という順序を忘れずに、
この手段を検討したいものである。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。