2022年7月30日退職金は【もらい方】に要注意!
■事業が順調に進み、
経営も軌道に乗ってくると、
やはり最終的に考えたいのは
『節税』ですよね。
法人に関しては、
最終的に法人にため込んできた
利益の累計を退職金として
支払うことにより、
税金として有利な形で
法人から個人へお金を
移すことができます。
(あくまでもざっくりです。)
■そして、
この退職金について考えたいのが、
【個人においての退職金の受け取り方】
なんですね。
基本的に、法人役員の方については
自社からの退職金のほか、
小規模企業共済に加入して、
そこから退職金をもらうということを
検討することでしょう。
それに加える形で、
場合によってはiDeCoに加入して
退職金に備えていることも
あろうかと思います。
■iDeCoに関しては、
運用益が非課税の上、
受け取る際は退職金として
捉えられますので、
上述した自社からの退職金と
小規模企業共済と同様に、
退職金として優遇された
税金(安い税金)で
そのiDeCoの解約金を
受け取ることができるんですね。
■しかしながら、
この退職金については、
『もらい方』に十分な注意が必要です。
退職金については、
【退職所得控除】
という『退職金の経費』が
認められているのですが、
20年の勤続年数で1年あたり40万円、
これを超える勤続年数になると、
1年あたり70万円の経費が認められます。
仮に20年の勤続年数があるとすれば、
トータル800万円の退職金の経費が
認められるということなので、
結構ありがたいですよね。
ただ、ここで注意が必要なのが、
この退職所得控除を使うことができる
期間についてのこと。
■これは、
複数社から退職金をもらうことにより、
意図的に受け取り時の税金を
安くしようとする
手立てに対応するための税制として、
【原則として、退職金をもらったら、
その次の退職金をもらうまでの間を
5年空けないと、
退職所得控除が使えない】
というルールがあります。
ただ、iDeCoについては、
仮にiDeCoをもらう前に
退職金をもらっていたとしたら、
その退職金をもらってから、
iDeCoの受取まで
20年の期間を空けて受け取らない
ことには、
この退職所得控除が
使えないということに。
iDeCoでそれなりの
運用益が付いていて、
これに退職所得控除を上手に
当て込むことができず、
結果として課税されてしまうと、
相当痛いこととなってしまうわけです。
■上述したように、
iDeCoに関しては20年という
制限があるのですが、
その他の退職金については
その空けるべき期間が
『5年』で済みます。
このようなことから考えると、
まずは自社の退職金、
または小規模企業共済からもらい、
その後5年経ってiDeCoを受け取る
という選択が
通常考えられるベストな選択
ではないかというところ。
これを何も考えずに、
通常の退職金や小規模企業共済から
受け取ってしまうと、
そこから20年の間iDeCoを
解約することができない
(退職金の経費を十分に使うことができない)
ことになるため、
十分な注意が必要であると言えます。
■節税については、
入口部分の税負担の軽減のみが
着目されるものですが、
真に大切なのは、出口を考え、
【入口から出口までのトータルで
いかにして節税ができるか】
ということなんですね。
よくある節税は、
単なる課税の繰延に
過ぎないことがあり、
入口から出口まで
一直線で見たところで、
結局は何も変わらない
ということが多い状況です。
何も変わらないだけなら
まだ良いのですが、
先行して現金を出しているため、
キャッシュフローとしては
悪化しているということが一般的。
節税をする際は、
こういった節税の本質的な部分に
しっかりと着目し、
有意義な対策を
するようにしましょう。
■最近は、節税を謳う
悪質な業者が跋扈している
ように見受けられます。
節税をする際は、
そういった情報商材に左右されることなく、
もしそのような話があったとしても、
どういったカラクリが潜んでいるのか、
本当に効果的なのか、
ということを、一度必ず持ち帰り、
何かしらの形で検証することを
お勧めいたします。
往々にして
世の中で売られているそういった
節税の商材については、
『詐欺的なもの』が多いのが
事実です…(汗)。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・節税の究極は、
法人から個人をお金を移す際、
『退職金』として上手に受け取ること
であると言える。
・一般的なものとして、
自社からの退職金のほか、
小規模企業共済やiDeCoへ加入して
退職金に備えることが考えられる。
・iDeCoについては、
iDeCoの受取前に退職金を
受け取っている場合、
そこから20年の期間を空けないと
退職所得控除のメリットを
十分に享受ができないため
十分な注意が必要である。
・節税において大切なのは、
入口と出口トータルでの税負担の
軽減であると言える。
間違っても、
向こうからやってくる節税の商材には
手を出さないのが得策であるため、
十分な注意をしておくべし。
今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。