2023年5月28日「役員報酬は変更できません!」は、実はウソ?
喉と耳が痛い…痛すぎる…
とは言え、風邪などではなく、
先日の人間ドックの際、
内視鏡検査で喉が傷付いたことによるもの。
喉の痛みが耳まで派生していて、
飲み込むことがなかなかキツイ状況です。
ただ、こういった苦難があるからこそ、
普通に食事ができるありがたさを痛感します。
そんな時に限って、
子どもたちは「焼き肉したい!」など。
タレがしみるんよ…
考えたらわかろうもん…
…というわけで、今日の本題です。
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■税理士として
いろいろな会社の決算書類を
目にすることがあるわけですが、
中でも最も大切なのが、
【経営においての血液は現金である】
ということなんですね。
もちろん税理士として
節税の提案をするのですが、
それよりも何よりも、まずは
【経営の血液である現金を
潤滑に回していく】
ことが重要であると言えます。
■そんな中、法人の場合、
【社会保険料がネックになって、
資金繰りに窮する】
ということも少なくありません。
法人については、代表者である
自らに支給する役員報酬について、
【原則として期首から3ヶ月以内に決定し、
その後は変更できない】
ということになっています。
■役員報酬決定の際は、
【当期の利益の予測を見越し、
それに見合った役員報酬を設定する】
ことが通常なのですが、
当然試算ですので、
目論見通りに進むということは
なかなか難しい面もあり、
結果として
【設定した役員報酬が
現実に適していなかった】
ということもあり得るわけですね。
■もし当初の見込みより利益が少なかった
場合はどうでしょうか。
当然、利益が少ないということは
基本的にキャッシュが少ない
わけですので、どうしても
【役員報酬を支払うことが難しい】
というものでしょう。
しかしながら、役員報酬は原則として、
年に一度しか変えることができない。
そうなるとどうでしょう。
一度決めた高額の役員報酬を
会計帳簿で(払えないのに)計上し続け、
また、その高額の役員報酬に対する
【高額な社会保険料の負担を強いられる】
ということになってしまうわけですね。
■こういった場合、
私が社長に提案させていただくのが、
「役員報酬を減額しましょう」
ということなんですね。
ここで疑問を持つのが、
「役員報酬は変更できない
と言っているにもかかわらず、
どうやって変更するんだ!」
ということですよね。
これについては、
役員報酬を変更できないということは、
税務上の決まりごと(法人税法の規定)であり、
逆を言えば
【税務以外の面では制約はない】
わけです。
■当然、税務の決まりごとを
破るわけですので、
【その決まりごとを破った金額】
については、経費にならなかったり
することにより、
法人税の負担は増えます。
とは言え、
【そもそも利益が出ていない状況】
ですので、経費が減ったからといって、
法人税が出るわけではなく、
(出たとしてもダメージは少なく、)
そこまで大きな影響はない
ということも少なくありません。
【経費が減って利益が出る】
という面よりもむしろ、
【手元から社会保険料により多くの
現金が消えていってしまう】
ということこそ、経営においては
危惧しなければならないことでは
ないでしょうか。
■上述してきたように、
役員報酬を変更することが
できないということは、
単なる税務の決まりごとに過ぎず、
それを無視すれば、
【変更することも可能】
というわけなんですね。
■ちなみに、税務の決まりごとを無視した
ペナルティーについては、
【増額した分が経費にはならない】
ということ。
ただ、この税務面のデメリットを
あえて享受することにより、
経営においても資金繰りが
改善するとしたら、
【これに勝るものはない】
と言えるでしょう。
■どうしても、
「役員報酬は変更することはできない」
という四角四面な考えに囚われて
しまいがちなものですが、
場合によっては柔軟に役員報酬を
変更することにより、
【社会保険料の負担を軽減する】
という選択肢も持って
おくようにしましょう。
■また、どうしても
【経費とならないことに抵抗がある】
ということであれば、
場合によっては、
【事業年度を変更】
することにより、
【役員報酬決定のタイミングを
早期にズラす】
ことも可能です。
↓参考記事↓
<2023.2.10法人税で困ったら
【事業年度の変更】を検討すべし!>
https://muratax.com/2023/02/10/6144/
■何はともあれ、
経営の血液とも言える現金の動きを
何よりも重視し、
有用な経営の一手を模索してみることを
お勧めいたします。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・役員報酬は年一度しか変更することが
できないものであるが、これは
【税務上の規定にすぎない】
ということを心得ておくべし。
・場合によっては、
【高額な役員報酬により高額な
社会保険料を負担している】
という現状があるのではないだろうか。
・役員報酬を減額することにより、
当初払っていた役員報酬と
その減額した役員報酬の差額分が
経費として認められないものであるが、
それをあえて受け入れ、
【トータルで見た際の資金繰りを潤滑にする】
という視点も併せ持っておきたいところ。
・経営において、
税務の決まりごとはもちろん
大切であるが、
それよりも大切なのが
【経営の血液とも言える現金】
ではないだろうか。
・つまり、経営においては
【現金の動きを潤滑にすること】
が何より大切であるため、
的確な経営と税務判断のもと、
適切に経営の舵取りをしていく重要性を
心に留めておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。