2021年10月17日【簡易課税で税抜経理】の方は要注意です!
■先日、
コンサルティングのお仕事で
とある経営者の方とお話をしていました。
その方は、消費税の計算において
『簡易課税制度』を採用しているのですが、
その簡易課税を選択していることが
功を奏してか、
原則課税に比べ数十万円もの
消費税の節税に成功している様子。
今日はそんなことから
お話を続けていくことにいたします。
■そもそもは、
単発の税務相談を
お受けしたことからの繋がりで
税務顧問はしていない状況なのですが、
その際に
「消費税の計算方法として
簡易課税を採用した方が良い」
とのことをアドバイスさせて
いただいたところ。
やはり蓋を開いてみると、
その選択は誤っていなかったようで、
上述したように
『結果として
原則課税に比べ数十万円もの
消費税の納付が少なくなっている』
という状況のようです。
■よくよくお話を聞いてみると、
その方は経理をご自身でされており、
「最終的な決算対策や節税対策までは
手が回っていない」
ということでした。
顧問のお客様ではないため、
今回の場でお話を伺ったに
過ぎないのですが、
この『原則課税』と『簡易課税』との間に
大きな差がある場合において
注意しないといけないのが、
【その浮いた税額の差が
会計としては『収益』として上がってくる】
ということなんですね。
■これは、
『税抜経理』を採用をしている
場合なのですが、
税抜経理は、
お客様から預かった消費税を
【仮受金】
として、
経費の支払いに際して
支払った消費税を
【仮払金】
として経理します。
いったん預かったもの、
いったん払ったもの、
といった意味合いですね(^^)。
そして『原則課税』の場合、
【そのお客様から預かった消費税と
経費で支払った消費税との差額】
を税務署に納付するため、
「仮受金-仮払金」がほぼ納付すべき
消費税の金額と一致することとなり、
そこまで大きなズレなく、
消費税額が算出される
という状況です。
■しかしながら、
『簡易課税』だったらどうでしょう。
簡易課税は
【売上の消費税のみ】
しか考えないため、
単純に
『仮受金と仮払金の差額』
とは言えませんよね。
というよりむしろ、
簡易課税により有利になっている
状況を考えると
仮受金から仮払金を引いた
残りの税額よりも少ない税額として
税務署に納付する税額となることにより、
【その差額部分が『雑収入』
として収益計上されてくる】
ということになるわけです。
■このように、
税抜経理で『簡易課税』
を採用している場合で、
原則課税と比べて納付する消費税が
少なくなっている状況においては、
その儲かった消費税分が
『収益』として乗ってくることになり、
そこに対して、個人事業主であれば
所得税や住民税、事業税、場合によっては
国民健康保険料も上乗せされるわけですし、
法人であれば法人税等が
そこに課せられる
ということになってきます。
これを決算対策や節税対策に
折り込まずに計算してしまうと、
【蓋を開くと想定していた利益より
多くの利益が計上されている】
という結果となりかねないわけです。
当然、消費税が浮いてくるのは
嬉しいものなのですが、
【これにより得をした税金部分に対して
さらに税金がかかってくる】
ということは案外考えられていない
のではないでしょうか。
■というわけで今日は、
『簡易課税で、かつ、税抜経理』
を選択している場合について
注意すべき点を書かせていただきました。
いずれにせよ、
そのように消費税の納税義務者で、
なおかつこのように多額の税額が
増減するような側面においては、
(これは私でなくても良いのですが、)
【税理士の定期的な顧問契約をされること】
をオススメいたします。
というのも、
『毎月払っていく税理士の報酬』と
その『節税効果』を考えると、
【場合によっては節税効果の方が大きくなる】
ということが想定されるからなんですね。
また、
【経営者として、専門外の
税金や会計の分野に認知を奪われる】
ということもなくなりますので、
そういった
【経営者としての時間を生み出す】
といった面からも
こういった思考は大切であるように
思います。
お金を使う際は(納税も含めて)、
トータルの支出とリターンを考慮し、
その使い途を考えたいものです。
(自戒を込めて…(汗)。)
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《本日の微粒子企業の心構え》
・税抜経理で『簡易課税制度』
を選択している場合には、
【原則課税と比べて
浮いた消費税に対して
その消費税分の収益が計上される】
ということを想定しておくべし。
・その計上された『収益』に対しては
【個人事業主であれ法人であれ
税金がかかってくるもの】
と心得ておくべし。
・決算や節税対策においては、
上述してきた
【簡易課税を選択したことによる
収益と税金についても
しっかりと試算の中に入れ、
その対策を適切にしていくべき】
であると言える。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。