2021年11月4日【損失】なのに税務調査で否認された?
■「使っていなかった機械を
除却したのですが、
税務調査で否認されてしまいました。」
というのは、以前税務相談に
お見えになった方からのお話。
どういった背景かと言えば、
工場を経営されており、
その工場で使用していた機械で、
業者にお願いをし、その除却…
つまり
【使わなくなり、廃棄してもらった】
という状況だったのですが、
その廃棄したことの証明書を
業者から正式にもらい、
これを『損失』として処理をしたところ、
税務調査で否認をされてしまった
ということでした。
よくよくお話を聞いてみると、
実際に除却をした年度は『前期』であり、
税務調査の対象となった当期は、
【実際の除却をした翌期】
であった様子。
この事実を知った際、
「これは確かに税務調査で
否認されるのは仕方ないな…」
と私は思った次第です。
■『損失』については、
【その事実が発生した事業年度に
損失処理をする】
ということが要件となります。
逆に言えば、
【この損失が発生した事業年度ではない
事業年度で損失処理をしたとしても、
これは経費として認められない】
ということなんですね。
■これは以前の記事でも
述べさせていただいたのですが、
いわゆる『経費』は
3つの分類がされることになります。
↓以下、以前の記事のリンクです↓
https://everydayrunchange.hatenablog.com/entry/2021/07/06/054926
https://muratax.com/2021/07/08/4155/
その『3つ』とは、
【原価・費用・損失】
のこと。
『損失』については上述したのですが、
『原価』については、
【売上との直接の対応関係が必要】
なんですね。
例を言えば、
10個仕入れて3個売れたとすれば、
その『3個分の売上』が立っていて、
10個仕入れていますので
その『10個分の仕入』も
計上されていることになります。
しかしながら、
残り7個については売れていないので、
【売上が立っていない仕入】
となることに。
この売上に紐づいていない仕入は
『在庫』と考え、
【仕入から抜く処理をしなければならない】
ということなんですね。
要は、
【実際に売れた3個に対応する
3個の仕入のみが当期の経費(原価)】
というわけです。
■これは、
工事現場などにおける
『外注費』も同じことが言えます。
売上との直接の対応関係がある…
つまり、
【売上が上がるとその経費も上がる】
という性質のものについては、
この『原価』に分類されますので
注意が必要です。
■そして、
2番目の『費用』なのですが、
これは
【その期間での対応関係】
が要件となります。
つまり、
【実際にその事業年度において
商品やサービスの提供がされたものが
この『費用』になる】
という認識なんですね。
したがって3月決算の法人が
3月中に『4月に乗車する電車の乗車券』
を買ったとしても、
【これは当期の費用ではない】
ということ。
これが『期間に対応している』
というお話になります。
■このように、
いわゆる経費には、
上述した『3つの分類』が
されてくることに。
そのそれぞれの経費の性質を
しっかりと把握し、
その支出をしたり、
経費の処理をする前に、
【本当にこれが
当期の経費となり得るものか】
ということを的確に把握し、
その経理処理をしっかりと、かつ、
申告と納税も適切にしていくように
しましょう。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・いわゆる『経費』には
【原価・費用・損失】
の3種類があるものと心得ておくべし。
・『原価』は
【売上との直接の対応関係】が、
『費用』は
【その期間に商品やサービスの
提供を受けていること】が、
『損失』は
【その期にその損失の事実が
発生していること】が、
それぞれ要件とされるもの。
・それぞれの【経費の性質】を
しっかりと把握しておかないと、
思わぬしっぺ返しを食らうことになるので
要注意であるものと心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。