2022年8月10日【役員報酬の決定】にあたり忘れず考えたいこと
■法人成りを検討するにあたり、
役員報酬の額を決定する
必要があります。
その中で、場合によっては、
【自宅を法人契約の社宅】
とすることにより、
大きく税負担が変わってくることも。
社宅については、
原則として法人の持ち物
となりますので、
その支払いも法人の財布から
となります。
もちろん個人がそこに住むため、
個人からの家賃の徴収は
必要となるのですが、
これは以前の記事でも書かせて
いただいたように、通常の場合、
【この個人負担は10%から20%前後】
で済むという状況。
<2021.6.24社宅家賃の計算方法>
https://muratax.com/2021/06/24/4105/
■通常であれば、
自宅は個人負担であるため、
全額を個人で負担すべきものとして、
法人からその分の役員報酬(給料)
を取る必要があるのですが、
これが仮に10%で済むとなると、
本来10万円の役員報酬を取り、
家賃を支払うところ、
1万円の役員報酬を取り、
その家賃の負担をするだけに留まる
というわけです。
現に、家賃10万円という金額で、
法人と個人とのトータルで
手元に残るお金を試算してみると、
場合によっては、
140万円ほどの節税効果
(手元により多くのお金を残す効果)
があるんですね。
これを知っているのと、
知らないのとでは、
天と地ほどの差がある
ことは明白でしょう。
■これに加え、
日当(出張旅費)による節税を加味し、
なおかつ、
役員賞与による社会保険料の減額をも
考慮すると、
さらに法人と個人の
社会保険料を含めた税負担は
減ってくるというもの。
■役員報酬を決定するにあたっては、
こういった社宅などの節税を
適切に加味して、
年収トータルでの
役員報酬と役員賞与を考えるべき
であると言えるでしょう。
ちなみに役員賞与とは、
「事前確定届出給与」のこと。
<国税庁HP-事前確定届出給与>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/5104.htm
これは税務署に、
何月何日にいくら支払うかを明記して
その申請書を提出し、
その申請通りに賞与支払うことにより、
これを経費と認めてもらう
というものです。
賞与は、厚生年金保険料の上限が
150万円と決まっていますので、
これを超える賞与支払うことにより、
その分の厚生年金保険料が
通常より安くなる
ということなんですね。
■上記は税務についてのことなのですが、
このほかにも、個人で必要な
生活費を考慮する必要があります。
場合によっては、
住宅ローンを支払っているケース、
また場合によっては、
養育費を支払っているケース、
このようないろいろな
ケースが個人によって
考えられますので、
社長の生活背景を十分ヒアリングして、
さらに、上述した節税策を考慮し、
適切な役員報酬を設定することが
必要であると言えます。
■上述してきたように、
社宅や日当、社会保険料をトータルで
考慮していくと、
大変大きな節税効果が見込まれます。
これを考えずして役員報酬を
決定することは、
経営においても資金繰りが
大きく変わってくるため、
的確にこの効果を考慮し、
適切な役員報酬、
場合によっては役員賞与
を検討することにより、
手元により多くのお金を残すことを
考えたいものです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・役員報酬の決定にあたり、
生活費はもちろんのこと、
選択できる節税策を
くまなく確認することが
必要である。
・節税策とは、具体的に言えば、
社宅、日当、社会保険料の
負担軽減など。
・役員報酬の決定にあたり、
このようなことを
考慮しないことには、
利用できる節税策を無視した結果、
ある意味無駄な現金流出に繋がる
と考えられるため、
適切に、かつ、的確に
上述してきたことを検討し、
法人と個人に残るお金を
最大化していきたいものである。
今日も最後までお読みいただき、
ありがとうございました。