2023年3月29日【融資に強い決算書】とは
■ここ最近は1月決算法人の
決算のご説明の面談が相次いでいる
というところです。
そんな中、大切なのが
納税にあたっての申告書の作成と共に、
【金融機関の評価を受けやすい
決算書の作成】
なんですね。
この評価を受けやすい決算書の
作成については、もちろん、
決算月である1月にその対策の
お話をさせていただき、
その部分に対する意見の共有
をさせていただいているわけですが、
3月の申告の段階においては、それを
【決算書に反映させていく
作業が必要となる】
というところ。
■結論から言えば、
節税を意識した決算書では
【金融機関の評価は取り付けにくい】
ということは
知っておいた方が良いでしょう。
当然、金融機関は融資をする一方、
【その融資をしたお金を的確に返還】
してもらわなければなりませんので、
【返還してもらえるような
会社の体力があるかどうか
ということを重視している】
というところ。
そのようなことを念頭に置いて
【金融機関の評価を受けやすい
決算書を作成する】
ことが極めて重要であると言えます。
■決算書の大きなものとしては、
【貸借対照表と損益計算書】
が挙げられます。
【単年度の経営成績については
損益計算書で把握】
することができるのですが、
【会社の創業から現在までの
累積の状況は、貸借対照表で把握】
することができるというもの。
したがって、
【損益計算書で単期の
経営成績を把握】
することに加え、
【法人設立後から現在の期までの
経営的な体力を貸借対照表で診断】
するというのが、
金融機関の評価の流れなんですね。
■まず
損益計算書のお話をしていきましょう。
何となくイメージがつくのが、
【最終利益がプラスになっている】
ということですよね。
最終利益がマイナスであったとすると、
【最初の段階でそこに評価の
目が向いてしまう】
というもの。
その次に、最終的な利益が
プラスであっても、
『営業利益』という本業での儲けが
マイナスになっているようであれば、
【評価の目も厳しくなる】
というところです。
【本業で儲けが出ていない】
ということは、
【その後の融資の返済にも
滞りが出る可能性】
がありますので、
当然といえば当然ですよね。
この『営業利益』は
【売上から仕入や販売費及び
一般管理費を引いた結果の利益】
を指すというところ。
■したがって、
この営業利益をプラスにするには、
【売上を上げるか、または販売費
及び一般管理費を減らすか】
という2択になるわけです。
仕入高は基本的に調整が効ませんので
ここでは割愛しています。
売上を増やすという方法は、
場合によっては
【売上を計上する
タイミングを検討する】
ことにより可能なのですが、
あまり現実的ではないかな
というところ。
■そうなると、
【販売費及び一般管理費に
計上されている経費を
どうにか少なくできないか】
というところを検討
すべきであると言えそうです。
当然、販売費及び一般管理費から
経費を抜くということは、
その経費がその下の
【営業外費用や特別損失に移動できる】
ケースであったり、
または、その経費を
【新規の事業の開発に利用した】
という立て付けなどで
【『開発費』という繰延資産の科目】
に持っていったり、またはあえて
【30万円未満の資産を経費化している
処理を、固定資産として計上】
することにより、
【単期の利益を増やす】
ということも可能となります。
■そして、
場合によっては
事前確定届出給与の届出をして、
【役員賞与を払っている】
ケースもあるでしょう。
役員賞与については、
【株主総会の決議を経て
臨時的に支給するもの】
ですので、場合によっては
販売費及び一般管理費ではなく、
『特別損失』
という選択をすることも
考えられるというところ。
上述しただけでも
販売及び一般管理費に
計上されている経費を、
『繰延資産』に持っていったり、
『特別損失』に持っていったり、
『固定資産』に持っていったり…
などという対策を検討することが
できるというわけです。
■このような
複数の対策を考察することにより、
場合によっては販売費及び
一般管理費を適切に減らすことができ、
その結果、営業利益がプラスになる
ということも考えられるかな
というところ。
実際のところ、そのように営業利益が
プラスになっている損益計算書は、
【金融機関の評価も得られやすい】
というものであり、
金融機関の融資担当者としては、
「よく評価の仕組みを理解して
作られた決算書だな」
と、評価の面でも通りやすくなる
というわけですね。
■そしてその次に
貸借対照表で言えば、基本的に
【純資産の部がプラスになっている】
ということが重要な要素となります。
純資産とは、
【資産から負債を引いた残額】
なんですね。
当然資産より負債の方が多ければ
【債務超過の状況】
ですので
【金融機関の目は厳しくなる】
というところ。
また資産に
【役員貸付金の科目】
が表示されていると、
融資をしたとしても、
その役員の個人的な使途に
流用されてしまうという目を
持たれてしまいますので、
こういった点にも注意が必要です。
■というわけで今日は、
決算書の作成にあたっての
金融機関の評価という面で
【有意義な決算書の作成の仕方】
について考察をしてまいりました。
決算書は単に税務署にその報告をして
終わりというわけではなく、
【経営の展開を適切に考え、
金融機関の評価に強い決算書】
を作成することをもまた重要である
ということを心に留めて、
その作成を有意義にしたいものですね。
------------------
《本日の微粒子企業の心構え》
・決算書の作成にあたっては、
税務署への申告というよりむしろ、
【金融機関の評価を取り付けるため】
という意識を持つことが重要である。
・損益計算書においては、
【最終利益がプラス】
になっているということ、
【営業利益がプラス】
になっているということが
重要視されるものと心得ておくべし。
・貸借対照表においては、
【最終的な純資産の額が
プラスになっている】
ということ、
【資産の部に役員貸付金の
科目が表示されていないか】
ということなどが重視される。
・経営の拡大にあたっては、
【金融機関の融資を適切に
取り付けること】
もまた重要な要素である。
上述してきたような金融機関の
評価の仕組みを理解し、
【適切な決算書の作成を
心がけること】
もまた、経営において有用な一手で
あるものと心得ておくべし。
今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。