2025年6月21日【社宅家賃の経理処理】で消費税が変わる?
■以前の記事の中で、 お金を使わない節税として、 役員社宅のことについて、 お話しさせていただいています。 <2021年6月5日役員報酬の決定で 必ず考えたい2つのこと> https://note.com/muratax/n/ndda042d70b12 ■この役員社宅については、 通常の場合、 個人として契約している自宅の 賃貸借契約を法人名義で契約する ことにより、 基本的には法人の賃借料として 法人の経費にすることができる、 というものなんですね。 ■あくまでも個人が住む社宅なわけ ですので、当然その個人が、 この家賃の一部を負担する必要が あります。 ■しかしながら、その社宅が、 国税庁が規定する小規模な社宅 であるようであれば、 一般的には10-20%ほどの個人負担で 住むことになりますので、 法人の経費としては80-90%が 経費化できるということに。 これが、役員社宅の設定です。 ■「お金を使わない節税」というのは、 本来的にはお金を使ってはいるものの、 その節税をするにあたり、 「追加で支出をする必要がない」 という意味であり、 この役員社宅は、既にある支出を 法人の経費に置き換えることが できるため、 お金を使わない節税であるわけです。 <2025年1月22日 まずは【お金を使わない節税】から!> https://muratax.com/2025/01/22/8590/ ■そして今日の論点はここから。 この個人負担分の家賃については、 どのように会計処理をするのでしょうか。 基本的には、役員報酬の支払いの際に 天引きする、というのが一般的です。 この天引きの際、通常は 「雑収入」として処理されます。 ■例として、 役員報酬が10万円、 社会保険料や源泉所得税の負担が 一切ないものとし、 個人負担分の家賃が3万円 だったとします。 ■この場合の仕訳は、 借方:役員報酬 10万円 貸方:雑収入 3万円、普通預金 7万円 という形になりますね。 では、この雑収入3万円の消費税の 取り扱いはどうなるのでしょうか。 結論として、これは 「非課税売上げ」として処理します。 決して「課税売上げではない」、 ということに注意が必要です。 ■というのも、 住宅の貸付けについては、 消費税の非課税取引に該当するため、 法人が支出した家賃は非課税仕入れ、 そして法人が個人から徴収する家賃は 非課税売上げとして認識する 必要があるわけです。 なお、消費税を考える際には、 支払い:仕入れ 入金:売上げ という用語が使われます。 これは、会計上の仕入・売上よりも 広い概念であるため、 混同しないように注意しましょう。 この視点で見ると、 家賃の支払い → 非課税仕入れ 家賃の徴収 → 非課税売上げ という構造になります。 ■そして、非課税売上げが多くなると、 全体の売上高に占める課税売上げの 割合が95%未満になる可能性が あります。 この割合が95%以上であれば、 原則課税の場合、預かった消費税から 支払った消費税を差し引いた金額を 納税すれば良いのですが、 95%未満になると、 支出ごとに区分が必要になります。 ■具体的には、支出した消費税が、 課税売上げのための支出か 非課税売上げのための支出か 両方に共通する支出か ということを、を明確に分ける 必要が出てくることに。 相当煩雑ですよね…(汗)■このように、非課税売上げとして 処理するかどうかで、 課税売上げ割合が変動し、 結果として消費税の計算が煩雑に なることがあるわけです。 ■とはいえ、煩雑であることが 正しい処理であるということも ありますので、 家賃徴収の消費税の課税区分の処理 には、十分に注意が必要です。 ■どうしても、会計ソフトに あらかじめ設定された初期の課税区分 でそのまま処理してしまいがちですが、 今回のような家賃の扱いについては、 課税区分を見直すことを忘れずに、 決して誤ることのない会計処理を 心がけるようにしましょう。 ================== 《本日の微粒子企業の心構え》 ・住宅の家賃の支払いや徴収は 非課税取引になるものと 心得ておくべし。 ・場合によっては、この非課税売上げ の割合が高まることで、 課税売上割合が95%未満となり、 消費税の経費処理が煩雑になる ことも想定される。 ・このようなことを念頭に置いて、 今回の家賃の課税区分処理だけでなく、 消費税に関するトータルでの経費処理 も見直し、決して誤ることのないよう、 消費税の経理処理とその申告・納税を 進めていきたいものである。 --------------- 今日も最後までお読みいただき、 ありがとうございました。